あのよう、知ってりゃーすか
税のミニ歴史講座
大島良満さんのお話し
(元愛知県評役員・消費税をなくす愛知の会代表世話人)

【1】税の誕生 【2】日本の税の歴史 【3】酷税と民主主義
【4】所得税のはじまり 【5】日中・太平洋戦争と税 【6】間接税の歴史

【4】所得税のはじまり
 
 時の権力者や支配者は、人民・国民を脅かしたり、ちょうらかしたりして、年貢、税金を取り立てとったんだわなも。明治になると、年貢米などを中心とした物納から、原則として現金による金納制度に変わっていっただわなー。

アダム・スミスの「国富論」

 所得税は、資本(元手)を使って、商品を作って売るんだが、収入・売上から、原価・経費を差し引いた残りの利益を所得として、課税する仕組みだわなも。
資本には課税せず、利潤の一部に課税すれば、資本も蓄積され、拡大再生産がやれるという考え方だわー。この理論を生み出したのが、「国富論」を書いたアダム・スミスさんだと。

戦費調達の歴史

 所得税は、戦費調達の歴史といわれとるぜも。戦争はなも、いつの時代でも、まわしのときからも、やっとる最中も、終わってからでも、ぎょうさん金がいるんだわ。
 イギリスでは1798年、対ナポレオン戦争のために。
 アメリカでは、1862年南北戦争の時に北軍側が実施。
 フランスでは、1914年、第一次世界大戦の戦費のために創設したんだわなも。
 19世紀末、日本の所得税の課税対象は、高額所得者に限られ、「名誉税」とも言われたんだわね。1887年(明治20年)松方正義大蔵卿は、「清国(現・中国)の日本への進攻に備えるため、海防費の充実に使うため」といってなも、課税対象者を大幅に広げることを所得税率3%で提案したんだと。

軍備増強より善隣外交を

 これに対し、「民貧しければ、国貧し。軍備増強より善隣外交が大切」と反対論を神田孝平元老院議官が発言しとりゃーすよ。そして「所得税は、はじめ富者に課せられるも、やがて貧者にも課されるであろう」と、冷酒を飲んだときの酔いのまわりを例に反対しとらっせる。
 このやりとりは、東京都千代田区の北の丸公園にある国立公文書館に、会議録として保存されとるげな。
 庶民増税派や憲法改憲論者に、一度読ませてやらないかんわなも。

いつの時代も取りやすい所から

 1895年(明治28年)日清戦争では、酒税が創設され、戦争に使われたんだわ。
 1904年(明治37年)日露戦争では、煙火(たばこ)に課税された。現在も高率な大衆課税となっとる。
 税金は取りやすいところから取るのがいつの時代も支配者の手口だわなも。

(つづく)