あのよう、知ってりゃーすか
税のミニ歴史講座
大島良満さんのお話し
(元愛知県評役員・消費税をなくす愛知の会代表世話人)

【1】税の誕生 【2】日本の税の歴史 【3】酷税と民主主義
【4】所得税のはじまり 【5】日中・太平洋戦争と税 【6】間接税の歴史

【3】酷税と民主主義
 
 税金をめぐる闘いの中から、民主主義が生まれ育ったということを知ってりゃーすか。
租税と刑罰の法定主義は、民主主義の根幹だわなも。

独立戦争、フランス革命

 イギリスでは、1215年に、最初の憲法といわれるマグナカルタ(大憲章)が制定され、国王が、国民を代表する議会が認めぬかぎり、課税できんようにしたんだわ。
アメリカは、当時イギリスの植民地のため、一方的な課税がされとった。イギリスの国会にはアメリカの代表はいないので、「権利なければ義務なし」と、1776年の独立戦争で、独立を闘いとったわ。
 フランスでは、1789年、酷税と圧制の王政を倒した大革命をやったわなも。これらはみんな税金がからんどる。

百姓一揆の30%が幕末に

 日本でも酷税と闘った歴史が、ぎょうさんあるでなも。
 百姓一揆は、総数全体の約30%が、徳川幕府が倒される幕末の前後に集中しとる。徳川幕府を倒したエネルギー源だわなも。百姓一揆の指導者には、過酷な弾圧が加えられたが、「義人」として現在も各地で尊敬されとるわ。

佐倉宗五郎、杉木茂左衛門…

 成田空港近くの佐倉市には、1652年に、子ども4人までが処刑された佐倉宗五郎が「大明神」として、押沢の木附神社をはじめ各地で祀られとる。
 1682年(天和2年11月5日)、利根川の河原で張付けで処刑された杉木茂左衛門は、「茂左衛門地蔵尊」として、群馬県水上町月夜野の千日堂に祀られとる。この二人が代表的な「義人」だわなも。
 映画『郡上一揆』の指導者が、決死の覚悟で署名した唐傘連判状は、高山市の陣屋跡で展示されとるが、実物は白山の登山口、下呂市白鳥町徹白(いとしろ)に現在大切に保存されとるげな。

「年貢半減」を掲げた討幕

 軍徳川幕府を倒し、天皇の政権をつくろうとした人たちは、「年貢半減」などを公約に掲げた人が多かっただげな。それだけ、民衆・農民の中で重税への怒りが強かったということだわなも。
 ところが、天皇政権ができると、農民の思いを裏切り、弾圧に転じたんだと。1884年(明治17年)の「秩父事件」は映画にもなり、今では知らない人はいないわな。
 今日の民主主義をつくった先人たちの命がけの闘いには感銘し頭が下がるなわも。小泉さんのチョー大増税計画に黙っとったら、私らは、次の時代の人たちに笑われるてしまうわなー。がんばろまいや。
 次回は、明治政府のもとでの所得税の誕生などについて書くでよう。ご意見があれば、教えてちょうだいませ。
(つづく)