シリーズ 消費税実施20年目の今を追う(2) 日本の消費税は5%でもすでに世界一の酷税 |
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【2】日本の消費税は五%でもすでに世界一の酷税 「日本の消費税率は15%以上が主流の欧州諸国よりまだ低い」(「熊本日日」6月30日付け)の報道が相次いでいます。特別シリーズ(2)では、この国民の暮らしの実態を見ない、機械的な議論の問題点を見てみます。 欧州は生活用品は非課税、ゼロか軽減税率 欧州の付加価値税(消費税)を見てみましょう。イギリスは標準税率が17.5%ですが、食料品や子供服など日用生活品はゼロ税率で、非課税や軽減税率もあります。ドイツも標準税率は19%ですが食料品などは7%です。 「贅沢な生活をしなければイギリスでは消費税の負担は感じなかった。日本の消費税の方が負担が重く感じる」――イギリスで生活したことのある日本人の少なくない言葉です。
税収割合も課税割合も日本はすでにトップクラス それもそのはずです。日本は5%でも消費支出の89%に消費税がかかってます。イギリスは62%、スエーデンは58%と低いのです。日本は毎日の食料品を含めほとんどすべてに課税されていることを示すものです。 税収に占める消費税の割合も、日本が21.6%に対して、イギリスは22・5%、スエーデンは22.1% と、今でも大差はありません。 このように日本の消費税は5%であってもすでに欧州並みの負担となっているのです。
欧州は多くが医療費も学費もタダ また、日本と欧州とは社会保障や暮らしのセーフテイネットが全然違います。 欧州では、住宅補助が充実し、医療費や高校・大学の学費もゼロの国が少なくありません。老後も、「蓄えがなくても、年金で、充分暮らしていける」状況です。 こうした実態を無視して、負担率だけで「増税の余地があるかないか」を論じるのは、「社会の公器」としての新聞社の見識が問われる問題です。
(つづく) |