シリーズ 消費税実施20年目の今を追う(1)
消費税の逆進性と貧困
【1】消費税の逆進性と貧困 【2】日本の消費税は5%でもすでに世界一の酷税 【3】日本の軍拡ささえる消費税
【4】 雇用を悪化させ、グローバル企業の繁栄を支えた消費税 【5】 消費税増税を競い合う政党による政権選択では、増税はストップできない  

【1】消費税の逆進性と貧困
 
 消費税が実施されて20年目に入りました。消費税がどんなに国民の暮らしと営業を脅かしてきたか、実施から今日までをシリーズでふりかえります。第一回は、「消費税の逆進性と貧困」です。
 消費税が導入された1989年はバブル景気の真っ盛りでしたが、現在は「広がる格差と貧困」が大きな社会問題に。給料や年金は目減りするばかりのもと、さまざまな負担増、物価の値上がりとも相まって、97年に3%から5%にアップした消費税は、導入の時と比べて、今、いっそう重くのしかかる税となっています。

朝日訴訟から50年 今再び「生存権裁判」
 「家賃と光熱費を払い、子どもの学校の費用を払うと毎月のお弁当のおかず代や食費をひねりだすのがやっと。毎日の暮らしにかかる消費税は本当に痛い。『高齢化社会のため』と言いながら、福祉には使われてこなかったことは明らか。今まで払った消費税を返せと言いたい」。
 離婚して、2年前に生活保護を受け、高校生のひとり息子を育てる札幌市の菊地繭美さん(43歳)は言います。
 菊地さんは生存権裁判の原告の一人。国は、社会保障費2200億円を毎年削るとして、2004年度から老齢加算や母子加算の削減・廃止など、生活保護基準を引き下げました。これに、北海道など9都道府県で、110人が立ち上りました。国民の最低生活保障、憲法25条の生存権の確立を求める裁判です。
 1957年8月から始まった「朝日訴訟」は、60年に東京地裁で、憲法25条「健康で文化的な生活」は、国民の権利であり、国は国民に具体的に保障する義務があること、それは予算の有無によって決められるのではなく、むしろこれを指導支配しなければならないという判決が下され、ほぼ完全勝利しました。
 それから50年。再び、「生存権」を手にするために、裁判を起こさざるを得ない現在、これ以上の消費税増税いいはずはありません。

命を奪った消費税
 所得の低い人ほど負担割合が重く、所得の高い人ほど負担割合は低い――この逆進性と生活費課税こそ、最悪の不公平税制である理由です。それを如実に示すのが、1996年に東京・豊島区でおこった母子餓死事件です。  77歳のお母さん、ほとんど寝たきりの41歳の息子さん。2人は月額4万2825円という本当に低い年金で暮らしていました。調子が悪くても息子さんを病院に連れてはいけず、とうとう現金が底をつき、「これで最後の食事の買い物」「ムシパン白・黒二百 コッペパン百三〇九(九円足し)」と記して、数日後に亡くなったのです。(九円足し)とは、消費税のこと。96年当時は3%でした。所得税や住民税には軽減措置がありますが、消費税は、リストラされても、病気になっても、生きることについてくる税金です。一昨年も「おにぎりが食べたい」と北九州で50歳代の男性が餓死しました。生活が大変な人たちにとって消費税は命を切り刻む税なのです。
 一方、消費税を導入した竹下登元首相はどうでしょう。消費税スタート日に向かったのは銀座の高級デパート。1本1万5千円もするフランス製のネクタイと、3切2千円もする鮭を買って、そうたいした負担ではないという顔つきで、計510円の消費税を払ったのでした。
 今、増税派は、「消費税はみんなで負担する税金だから公平な税金だ」とさかんに宣伝しますが、こうした現実を目のあたりにすれば、同じ「税率」であることが、「公平」と言えないことは明らかです。「税における公平」とは、「所得の多いものは多く、少ないものは少なく」「生きていくために必要な生計費には税金をかけない」ことなのです。

消費税導入とひきかえに大企業・大資産家減税次々と
 全国の会の4月のシンポジウムで、パネリストの湯浅誠さん(反貧困ネットワーク事務局長)は、ホームレス支援や、派遣社員の暮らしぶりから、「消費税は貧困状態にある人の、その貧困状態をより悪化させてしまう、くぎ付けにしてしまうもの」「消費税は、国家的な貧困ビジネスだ」と指摘しました。消費税実施とひきかえに、この19年間、大企業や大資産家には次々と減税が実施されてきました。
 「国家が徴税権を行使するのは、『富の再分配を行う』という大義名分があるからではなかったか?しかしこの国では納税が『富の再分配』に役立っていないどころか、貧乏人からも容赦なく税を取り立てている分、逆に格差拡大の一因になってしまっている」との声がインターネット上でも広がっています。雇用、社会保障とともに、税制の改悪が貧困と格差拡大の要因であることは明らかです。

人間として大事にされる社会へ  廃止運動全力で
 7人もの尊い命が奪われた秋葉原無差別殺傷事件は絶対に許せません。同時に、犯人の青年が派遣社員で将来と自分への不安を強く持つなど、「使い捨て」社会の問題点がいっそう浮きぼりになってきました。
 消費税実施から20年目の今、消費税の増税反対・廃止の運動は、貧困をなくし、国民一人ひとりが人間として大事にされる社会をつくるうえでも、欠かせないものとなってきました。

(つづく)