企業・団体献金―「落としどころ」で温存の野合([赤旗」)、朝鮮人の虐殺 追悼文が「共生」の礎に(「東京新聞」)

2025年8月27日
【赤旗】8月27日<主張>企業・団体献金―「落としどころ」で温存の野合
 裏金問題で厳しい審判を受け衆参両院で過半数割れに追い込まれた自民・公明の与党が、金権腐敗の大本にある企業・団体献金を温存させるため、一部野党の取り込みに躍起になっています。
 そのため、自民、公明両党は8月5日の幹事長会談で、立憲民主党と国民民主党を含めた4党で企業・団体献金の「規制強化」を話し合う実務者協議を設置し、「秋の臨時国会で成案が得られるように汗をかく」(公明・西田実仁幹事長)との方針を確認しました。なぜこうした方針が可能になったのか。
■参院選公約と矛盾
 「公明党と国民民主党の案を軸にして、落としどころを一緒に協議していきませんか」。参院選後の4日の衆院予算委員会で立憲民主党の野田佳彦代表は石破茂首相に呼びかけ、石破氏も「そのようにさせていただきたい」と応じました。
 公明・国民案は3月末の国会審議の中で浮上したものです。企業・団体献金の温存を前提に、受け手を政党本部と都道府県単位の組織に限定する案です。政党支部は対象外とするものの、オンラインで政治資金収支報告書を提出すれば引き続き企業・団体献金を受け取れる余地を残しています。政党の本部、支部、都道府県組織も企業・団体献金を受け取れるなら現状と変わらず、自民党には痛くもかゆくもありません。野田氏の提起はこの案を「落としどころ」としたのです。
 しかし立民は、先の参院選の公約で「特定の企業・団体が政治・政策決定を歪(ゆが)めることのないよう、企業・団体による政党本部・支部、政治資金団体への献金を禁止します」と掲げています。企業・団体献金の温存をすすんで提案するのは、自らの公約に反する有権者への裏切りです。
 野田氏は「落としどころ」の協議について、「比較第1党(自民党)と比較第2党(立民)が真摯(しんし)に協議して結論を得る。結論を得て他党にも賛同を呼びかけることも覚悟を決めてやらなければいけない」とも述べ、石破氏も「大きな意味がある」と歓迎しました。特定の政党だけで事前に決めた企業・団体献金温存の枠組みを国会に押し付けることになりかねません。
■賄賂性を持つ害悪
 日本共産党は「しんぶん赤旗」のスクープと国会論戦で、自民党派閥の裏金づくりが、企業・団体が購入した政治資金パーティー券の収入を原資に組織的に長期間行われていたことを明らかにしました。賄賂性を持つ企業・団体献金の害悪も暴いてきました。
 だからこそ立民も「特定の企業・団体が政治・政策決定を歪める」とし、企業・団体献金禁止法案を他党と共同で提出してきたのではないのか。企業・団体献金禁止は「政治改革」の30年来の宿題です。「禁止か規制強化か」でなく、禁止の一択しかありません。
 選挙で厳しい審判を受けた自公が裏金問題の真相解明もせず、企業・団体献金の温存を主張すること自体許されないことです。「落としどころ」というなら、企業・団体献金の全面禁止に力を尽くすべきです。

【東京新聞】8月27日<社説>朝鮮人の虐殺 追悼文が「共生」の礎に
 1923年9月1日の関東大震災では、多くの朝鮮人らがデマのために虐殺された。犠牲者の追悼は、繰り返してはならない「負の歴史」を直視することであり、多様な民族・人種の人々との共生に向けた礎となる。政治家は、その先頭にこそ立つべきだ。
 大震災の直後、「朝鮮人が爆弾を投げた」「井戸に毒を入れた」などの悪質なデマが拡大。各地で官憲や民間で組織した自警団が朝鮮人らを殺害した。
 内閣府の中央防災会議は2009年にまとめた報告書で、犠牲者を千~数千人としている。日本の近代史上、国内最大級の民族大量虐殺(ジェノサイド)である。
 発生から102年がたち、歴史的事実の風化が危ぶまれる中、各地での追悼式典は、記憶を継承するための大切な取り組みだ。
 昨年、千葉県の熊谷俊人、埼玉県の大野元裕両知事がそれぞれ地元での式典に初めて追悼文を送った。今年も送付するか否かは検討中といい、続けるよう求めたい。
 東京都の小池百合子知事は、墨田区での式典に追悼文を今年も送らない方針を表明した。歴代都知事が1974年から送付し、小池氏も2016年は送ったものの、翌年から中止している。別の法要で全犠牲者を一緒に追悼していると説明するが、先人の努力を無にする行為ではないか。
 虐殺の背景には、大火災に対する驚愕(きょうがく)や恐怖に加え、植民地支配下の人々への差別、抗日運動への警戒感があったと考えられる。
 当時と状況は異なるものの、日本の国力低下や格差拡大で国民の不満や不安が鬱積(うっせき)しており、その矛先が再び、身近な外国人に向くことがあってはならない。
 7月の参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が「外国人が優遇されている」などと事実と異なる主張を展開し、神谷宗幣代表は朝鮮人の蔑称も口にした。
 埼玉県ではクルド人に対するヘイト行為が繰り返され、SNS上でも差別的な投稿が相次ぐ。
 小池氏は参院選期間中の記者会見で、排外主義やヘイトを「非常に危険だと思っている」として懸念を表明したことがある。
 「分断」ではなく「共生」を目指す姿勢は評価する。朝鮮人虐殺の事実を重く受け止め、哀悼の意を示してはどうか。政治家としての発信力の強さは、未来の蛮行を防ぐためにこそ使ってほしい。