消費税減税の実現―大企業・富裕層への優遇ただす(「赤旗」)、参院選 政治とカネ 抜本改革の決意を問いたい(「東京新聞」)

2025年7月5日
【赤旗】7月5日<主張>消費税減税の実現―大企業・富裕層への優遇ただす
 日本共産党は参院選で、消費税の廃止をめざし、緊急に5%に引き下げて1世帯年12万円の減税を実施し、インボイスは廃止すると訴えています。
 物価対策で最も有効なのが、すべての商品・サービスにかかる消費税負担を減らすことです。その道を開くのに必要なのは消費税減税を拒否する自民・公明を参院でも少数にすることです。
 5%への一律減税は、食料品のみ0%より低所得層でもほぼ2倍の減税額になります。食品だけ、しかも1~2年の期限付きでは不十分です。
 消費税を一律5%にすれば、複数税率というインボイス導入の口実もなくなります。フリーランスや自営業者、中小企業などに新たな消費税負担を課し、膨大な事務で苦しめるインボイスはきっぱり廃止できます。
■利益に応じた負担
 消費税減税の財源をどうするのかが大きな焦点です。日本共産党は、大企業と富裕層への行き過ぎた減税や税の優遇をやめることと一体で消費税減税を提案しています。
 自公政権がすすめてきた大企業減税は、年間11兆円にもなっています。大企業の法人税の実質負担率は10%を切り、中堅・小規模企業の約半分です。もっぱら大企業が使える優遇税制があるためで、あまりにも不公平です。
 アベノミクス以降の11年で大企業の利益は2・6倍なのに法人税は1・6倍にとどまります。利益は伸びているのに、大企業向け減税がバラまかれたためです。ところが、その利益が賃上げにも設備投資増にも回らず、内部留保が空前の規模に達しています。大企業には税の負担能力があります。日本共産党は、大企業に過分の負担を求めているのではなく、利益に応じた応分の負担を求めています。
 政府は大企業への減税は、賃上げや設備投資に回ると言ってきました。しかし、その結果が日本のこの30年の経済停滞です。石破茂首相も、「効果を上げなかった」「深い反省」と国会で答弁しました。効果のない政策はやめ、消費税減税で内需を活性化してこそ、日本経済を成長させることができます。
■共産党の躍進こそ
 石破首相は消費税は「安定的な社会保障財源」として減税を拒みますが、実際は、大企業や富裕層に減税した分が消費税に置き換えられただけです。「安定財源」というのは、どんなに景気が悪く、国民の暮らしが苦しくても、最低限の生活費にかかる過酷な税だということです。
 所得税では、大金持ち優遇の結果、所得が1億円を超えると税の負担率が低くなるという「1億円の壁」が残っています。日本共産党は、大もうけをしている大企業や大金持ち優遇の不公平な税制をただして消費税減税の恒久財源にします。
 財源を赤字国債に求める主張もありますが、▽巨額の利払いが暮らしの予算を圧迫する▽インフレを引き起こす危険▽大企業・富裕層への優遇という税のゆがみ、不公平を温存する―という問題があります。消費税減税を実行するため、日本共産党を伸ばしてください。

【東京新聞】7月5日<社説> 参院選 政治とカネ 抜本改革の決意を問いたい
 自民党派閥の裏金事件を受けた企業・団体献金の見直しは、与野党の意見対立から通常国会では実現しなかった。結論の先送りを重ねれば、政治不信はいつまでも解消されない。参院選では「政治とカネ」を巡る抜本改革の決意を、各党・候補者に問いたい。
 最も重い責任を負う自民党は、裏金の実態解明や再発防止の法改正に真摯(しんし)に取り組んできたとは言い難い。公約に「政治資金の透明化」を掲げるが、その核心は企業・団体献金の温存だ。裏金を巡り参院で責任逃れの弁明に終始した現職議員13人を公認したことが、反省していない証拠だろう。
 自民党が通常国会に提出した政治資金規正法改正案は企業・団体献金が政策をゆがめるとの疑念に答えず、献金透明化にも程遠い。年1千万円超を献金した企業名や金額を公表するとしつつ、公開義務を負うのは自民党支部の5%程度だ。こうした後ろ向きの姿勢を改めない限り、禁止を求める野党との接点は見いだせない。
 立憲民主党、日本維新の会、共産党はパーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止をそれぞれ公約した。立民、維新を中心に国会に共同提出した企業・団体献金を禁止する規正法改正案には参政、社民両党も名を連ねた。れいわ新選組も全面禁止の立場だ。
 公明、国民民主両党は企業・団体献金の規制強化と透明化を公約する。両党は今年3月、企業・団体献金の受け手を党本部と都道府県の組織に限定する規制強化案に合意したが、自民党との協議で党支部も許容。結局、法案は国会に提出されず、与野党論議の「たたき台」にすらならなかった。
 衆院で自公両党が過半数割れした昨年10月以降、政治資金を巡る改革が進んだのは野党の足並みがそろった場合に限られる。政党が政治家個人に支出し、使途公開が不要な政策活動費を全廃する改正政治資金規正法が同12月に成立したのは、野党側の一致した要求を自民党が拒めなかったからだ。
 金権腐敗の元凶と指摘される企業・団体献金の見直しは、30年前の「平成の政治改革」以来の積年の課題である。どの党・候補者に1票を投じれば、与野党に歩み寄りを促し、抜本改革が前進するのか、じっくり見極めたい。