トランプ関税―一方的措置 撤回求め雇用守れ
2025年4月6日
【赤旗】4月6日<主張>トランプ関税―一方的措置 撤回求め雇用守れ
海外からの輸入品に一方的に関税を課すトランプ米大統領のやり方が世界に衝撃と怒りを広げています。これまで米国自身が主導して世界に押しつけてきた貿易の国際ルールにも反し、他国民の犠牲をいとわない身勝手なやり方です。石破茂首相は毅然(きぜん)と撤回を求め、日本経済や暮らしへの悪影響を防ぐ万全の対策を取らなければなりません。
トランプ政権は、すべての輸入品に一律10%の関税をかけた上で、各国が米国製品に課している関税や「非関税障壁」を言い立てて、国・地域ごとに異なる上乗せ関税をかけるとします。上乗せ関税の算定方法はでたらめで恣意(しい)的です。アジア諸国に、より重い税率を求めるものになっています。
■経済主権侵す暴挙
日本には合計24%を適用するとします。トランプ氏は「日本が米国産のコメに700%の関税を課している」などと根拠不明な主張をしたうえに、日本の安全基準を「非関税障壁だ」と攻撃しています。各国の経済主権・食料主権を侵害する暴挙です。
自動車については、すべての輸入自動車に、従来の税率(日本の場合、乗用車は2・5%、トラックは最大25%)に25%を上乗せする追加関税が3日に発動されました。
日本共産党の田村智子委員長は、第1次トランプ政権下の2019年の日米貿易協定の概要文書は「追加関税は課さない」としており、今回の措置は協定違反だと指摘、違反を米国に明確に伝えるよう政府に迫りました。(3月14日、衆院財務金融委員会)
石破首相は、日本は米国に多額の投資をしているなどとして個別の適用除外を求めてきましたが、成功しませんでした。米国の顔色をうかがうのでなく、世界経済全体に多大な悪影響をもたらす「トランプ関税」に毅然と抗議し、撤回を求めるべきです。
日本国民の暮らし、雇用、営業を守り、地域経済や下請け企業への影響を食い止める対策が急務です。田村氏は4日の与野党党首会談で、「08年のリーマン・ショック時の非正規労働者の大量解雇のような国民への犠牲転嫁があってはならない」と石破首相に強く求めました。
米国産農産物の関税引き下げや安全基準の規制緩和で米国に譲歩し、日本の産業や国民の安全をないがしろにすることは許されません。
■新たなルール必要
米国は、多国籍企業が低賃金・低税率地域へ工場や資金を移し利益を上げるために「自由貿易」体制をすすめてきました。それが米国内の産業の空洞化と雇用の破壊、中間層の没落という形で米国自身を直撃しました。新自由主義的な貿易システムは多国籍企業に莫大(ばくだい)な利益をもたらす一方で、各国の国民に貧困と格差をもたらしました。
極端な保護主義に走る今回の「トランプ関税」は、米国主導の「自由貿易」ルールの行き詰まりを示しています。
米国の身勝手なやり方は各国の批判と反発を招き、米国の道義的な力、外交的威信は地に落ちています。
各国の経済主権・食料主権を尊重する新たな貿易ルールの構築が求められています。