広がる「スキマバイト」,軍事国債2兆円超―戦前の反省無視

2025年2月1日
 【赤旗日曜版】2月2日 経済―これって何―広がる「スキマバイト」―手軽な版面、労働法令違反も横行
 最近「スキマバイト」と呼ばれる「新たな働き方」が広がっています。 
 誰もがスマホを使って、面接や履歴書なしに時間単位や1日単位の隙間(スキマ)時間を生かして働ける簡単で便利な働き方として注目されています。タイミー、シエアフル、メルカリハロなどの紹介業者が提供するアプリに登録し、適当な求人情報を検索して応募します。求人・求職のマッチング(組み合わせ)が成立すると、関連文書にスマホ上で同意し、指示された職場で就労すると、即日、口座に賃金が振り込まれて収入を得られると宣伝されています。 
 正社員の副業や、若者から高齢者まで登録者は既に2千万人を超え、物流、販売、飲食など「人手不足」の業界に加え、保育や介護など自治体の利用も増えています。
 しかし、「簡単•便利な働き方」の半面、リスクや多くの問題点が指摘されています。「仕事の内容や場所が違う」「突然キャンセルされた」「時間を短くされた」「名前でなくアプリ名で呼ばれる」「ほぼ最低賃金で仕事に見合わない」「危険な作業でケガをした」「移動の費用が出ない」「苦情を言ったらアカウントを削除された」などです。とくに「闇バイト」の求人が掲載されていたことで業者が弁明に追われています。 
 スキマバイトは労働法令の不順守・違反など問題が少なくありません。業者は、職業安定法の「有料職業紹介事業」として厚生労働相の許可を受けています。「職業紹介」は、求人者と求職者の間で「雇用関係の成立をあっせんすること」です。しかし、アプリによるマッチングでは求職者に面接・履歴書が不要なー方、求人者•企業への訪問も仕事内容や法違反の有無の確認もなく、「職業紹介」と言えるのか根本的な疑問があります。 
 求人企業は労働安全衛生法上、雇い入れ時の安全教育(作業手順など8項目)を義務づけられています。しかし日•時間単位のスキマバイトの場合、ほとんどの使用者は、多くの時間が必要な安全教育を実施していません。他の労働法令違反についても、弱い立場の労働者は声を上げられず、泣き寝入りしている例が多いと推測されます。
 スキマバイトの実態は、遅刻管理や賃金支払い代行など労働者を支配・管理する労働者派遣事業と類似しています。しかし労働者派遣法で「日雇い派遣」は原則禁止です。スキマバイトが有料職業紹介を「偽装」し派遣法や職安法の規制を回避するものであれば、業者に許可を与えている政府・厚労省の責任は重大です。
 政府は、営利的民間ビジネスの利益追求ではなく、労働者の保護と権利実現を重視する政策に転換するべきです。とくに労働法令の違反・不順守への厳しい姿勢、監督強化が急がれます。
 労働環境が劣悪化した日本で、スキマバイトのように不安定でリスクが大きく質の悪い働き方を広げるのでなく、人間らしく働き暮らせる良好な雇用・社会保障を実現することが最も重要です。 
            脇田滋(わきた・しげる 龍谷大学名誉教授)
スキマバイト


【赤旗】2月1日 軍事国債2兆円超―戦前の反省無視―禁じ手”使う―借金漬けの大軍拡
 自公政権は異次元の大軍拡のため、“禁じ手”である「軍事国債」の発行を拡大しています。2025年度の軍事費(防衛省予算案)約8・7兆円のうち、7148億円が公共事業費を賄う「建設国債」の発行対象になっていることが財務省資料で分かりました。24年度当初予算の1・4倍に増え、23年度以降の通算で2兆940億円に達しました。
 戦時国債の乱発で侵略戦争に突き進んだ戦前の反省を踏みにじり「国家財政の軍事化」に突き進む動きです。
 大軍拡の実態は借金漬けであることも鮮明になりました。防衛省はすでに、高額兵器などの購入額を将来に先送りする「軍事ローン」=後年度負担を拡大していますが、利子をつけて償還しなければならない国債にも手をつけたのです。
 財務省が予算案の国会提出に伴い公表している「予算及び財政投融資計画の説明」によれば、防衛省本省や防衛装備庁、自衛隊基地の整備費に加え、「艦船」「潜水艦」「警備艇」の建造費が建設国債の対象です。
 自衛隊史上、最も高価な艦船であるイージス・システム搭載艦も対象。同艦の建造費は20年時点で2隻5000億円とされていましたが、現在は8648億円と1・7倍以上に膨れ上がっています。
 財政法第4条1項は、「国の歳出は原則として国債又は借入金以外の歳入をもって賄うこと」と規定しています。その趣旨について、旧大蔵省の『昭和財政史』は、戦時中の公債の乱発が財政・経済に危機的状況をもたらしたことへの反省があるとしています。
 同項のただし書きでは、公共事業費の不足分について国会が議決した範囲内で公債(建設国債)の発行が認められていますが、軍事費を対象とすることについて、歴代政府は「防衛費は消耗的な性格を持つものであり、建設公債の対象となる公共事業費から除外する」(福田赳夫蔵相、1966年2月25日、衆院大蔵委員会)として否定してきました。
 ところが、岸田前政権は軍事費の大幅増額を求める米政権の要求に応じ、2022年12月に決定した安保3文書で、わずか5年(23~27年度)で軍事費の2倍化=11兆円規模(国内総生産比2%)に拡大する方針を決定。その不足分を埋めるための建設国債=「軍事国債」の発行を一方的に決めました。米国の要求に応じるための、なし崩し的な財政規律の破壊です。
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