安倍派と裏金―「派閥解散」で責任逃れ許すな(「赤旗」2月4日)
2024年2月4日
【赤旗】2月4日<主張>安倍派と裏金―「派閥解散」で責任逃れ許すな
自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件を受けて解散を決めていた最大派閥・安倍派が最後の総会を1日開きました。安倍派は1月31日、2018~22年の5年間で、所属議員らが関係する95政治団体に対する総額約6億7600万円の寄付を政治資金収支報告書に未記載だったと公表し、うち公開義務のある3年分について同報告書を訂正しました。しかし、同派幹部は裏金の実態や経過については口を閉ざしたままで、それぞれの議員も使途を明らかにしていません。派閥解散で、国民への説明責任を放棄することは許されません。
◆組織的な犯罪行為は明白
安倍派の座長・塩谷立元文部科学相は派閥解散に「断腸の思いだ」などと述べましたが、中枢幹部としての自身の責任には触れませんでした。「5人衆」と呼ばれる派閥事務総長の高木毅前国対委員長らも派閥を取り仕切ってきた幹部としての責任や議員辞職についての踏み込んだ言及を避けました。
安倍派ではほとんどの議員が裏金づくりをしていました。今回訂正した20~22年の3年間で見ても派閥のパーティー収入は約4億3600万円も増加しました。毎年1億円以上の資金が意図的に隠されてきたことになります。組織的な犯罪行為であることは明白です。関与していなかったという幹部の説明は納得できません。
塩谷座長は1月末の記者会見で、「慣行として行われてきたのは事実」と認めたものの、それ以降、詳細を全く語っていません。安倍派は清算管理委員会を設け、解散手続きに入るとしていますが、このまま幕引きを図ることは絶対にあってはなりません。
安倍派所属議員もそれぞれ不記載だった額を公表しています。しかし、裏金づくりをした目的や使い道などについては具体的に語られることはなく、不明のままです。不正な使い方はしていないと主張する議員もいますが、収支報告書に公開せず裏金化すること自体が違法行為です。そうしてねん出した資金の行方を曖昧にすることはできません。
誰が政治資金収支報告書の偽造を発案し、系統的に行われるようになったのか。ため込まれた裏金は何にどのように使われたのか。事件の全容を徹底的に明らかにすることは、金権政治を一掃する上での大前提です。
安倍晋三元首相が出身の安倍派は、改憲・大軍拡を推し進める自民党内の一大勢力でした。「伝統的な道徳心」を強調する同派議員が毎年多額の裏金をため込んでいた実態も今回改めて浮き彫りになっています。「美しい国」などの看板の裏で、違法行為を繰り返していた政治家の資格が問われます。
◆国会での徹底究明不可欠
派閥の裏金は安倍派だけではありません。国民世論の批判を浴びる中で、岸田文雄首相は実態把握をすると表明し、自民党執行部は2日から安倍派・二階派・岸田派の約90人の議員を対象に事情聴取を始めました。これとは別に、自民党の全議員にアンケートを実施する方針も明らかにしました。しかし、身内の調査で真相を明らかにできるのかとの疑問が相次いでいます。国会が解明の役割を発揮しなくてはなりません。裏金づくりに関与した政治家全員の証人喚問を行うことが不可欠です。