男女賃金格差―是正・解消に向け前進させよう([赤旗」26日主張)

2024年1月31日
【赤旗】1月26日<主張>男女賃金格差―是正・解消に向け前進させよう
 昨年は女性活躍推進法にもとづく男女の賃金格差の公表実施が進みました。厚生労働省のウェブサイトで男女の賃金格差を公表した企業は1万3千社を超え、公表義務のある常用労働者301人以上の規模の事業所の8割が公表しています。国・地方自治体も職員の賃金の男女格差を公表しました。
◆大企業ほど差が著しく
 公表した企業全体でみると、規模にかかわらず、女性の賃金は正規雇用・非正規雇用いずれも男性の75%です。一方、1001人以上の企業の女性の賃金は全労働者で男性の67%、正規雇用で73%です。企業規模が大きいほど全労働者でも正規雇用でも格差が大きくなっており、大企業の責任が厳しく問われます。
 大企業の正規雇用における格差の背景には、管理職や上位階層に占める女性比率の低さとともに、コース別人事があります。男性の採用が多い総合職に比べて、女性が圧倒的多数となっている一般職は賃金・待遇が低く据え置かれています。この制度がある企業の割合は、千人未満規模では3割ですが、規模が大きくなるほど増え、5千人以上では6割を超えます。
 経団連役員企業のうち女性の賃金が男性の5割以下の企業では、有期雇用労働者が全員女性という実態もあるなど、著しい差別があります。雇用形態による差別が大きな格差の要因であることが改めて浮き彫りになりました。
 公務分野の格差も深刻です。女性の賃金が男性の6割台にとどまる府省は非常勤職員の割合が高く、その6割から9割を女性が占めます。地方自治体の非正規職員である会計年度任用職員の75%は女性で、多くが年収250万円以下で働いています。官製ワーキングプアの拡大路線から転換し、公務でこそ正規化と均等待遇、雇用の安定化を進めるべきです。
 公表が進んだことは、労働者の運動と、それと結んだ日本共産党の論戦の成果であり、重要な一歩です。さらなる公表の徹底、公表制度の改善・拡充が必要です。
 欧州連合(EU)で昨年採択された男女賃金透明化指令は、男女間の平均賃金に5%の格差があり、それがジェンダーにもとづくものでないことを使用者が証明できない場合は是正しなければなりません。
 国の監視機関の設置や違反企業への罰則も求めています。韓国では正規と非正規の構成比の公示を義務づけ、非正規雇用者の待遇改善や正規化の促進を図っています。
 日本共産党が提案する「雇用形態・賃金格差公示制度」は、企業に男女別の構成比、正規・非正規の構成比と、それぞれの賃金格差の開示を義務づけます。事業所ごとの格差の原因が詳しく分析でき、是正に向けたてことなります。
 何より、格差解消を正面に据えてこそ是正が進みます。企業に是正計画を作らせ、国が指導・督励する制度を確立し、同一価値労働同一賃金と均等待遇、間接差別禁止を関連法に明記させましょう。
◆今年の春闘の大きな課題
 春闘は職場の賃金格差をただして賃上げを勝ち取るとともに、政治を動かす上でも重要です。全労連・国民春闘共闘は、男女賃金格差是正、非正規労働者・ケア労働者の賃上げ、最低賃金時給1500円など、ジェンダー平等をめざす要求を掲げています。実現へ職場・地域で声をあげましょう。