税・財政改革―格差ただす役割を取り戻そう(「赤旗」主張)
2023年10月14日
【赤旗】10月13日<主張>税・財政改革―格差ただす役割を取り戻そう
税・財政が果たすべき役割は、国民の暮らしを守ることと、所得の再配分によって格差の是正を図ることです。自民党・公明党政権は消費税増税の一方、大企業や富裕層には減税し、日本経済が30年にわたって停滞する構造をつくりあげてきました。税・財政本来の機能を取り戻す改革が急務です。
◆停滞打ち破る積極予算を
消費税の導入(1989年)以来の税収は累計509兆円にのぼります。安倍晋三政権による2度の増税は個人消費を大幅に落ち込ませ、日本経済はいまだにその打撃から回復していません。
その一方、法人税や所得税・住民税の税収は累計で600兆円も減ってしまいました。大企業・富裕層への減税と景気悪化による減収です。消費税が穴埋めに消えてしまいました。国民に大増税と負担を押し付けながら、国の借金も増やしました。
89年に40%だった法人税率は次々に引き下げられ、今は基本税率で23・2%です。その上、大企業には研究開発減税、連結納税制度、海外子会社からの配当への非課税などさまざまな優遇があり、実質的な負担率は10%程度です。
所得税の最高税率も引き下げられ、株取引など金融所得に課される税も低く抑えられています。岸田文雄首相は就任前に公約していた「金融所得課税の強化」を投げ捨ててしまいました。
首相は、近くまとめる経済対策で「税収増等を国民に適切に還元する」と述べていますが、具体的に挙がっているのは法人税減税です。賃上げ支援のためと言いますが、大企業に減税しても賃金は上がりませんでした。
国民の暮らしと中小企業の営業を守る、負担は能力に応じて、という税・財政の原則が何よりも重要です。日本共産党が提案している「経済再生プラン」はこの考え方に立ったものです。
長期停滞を打開するには、従来型でない積極的な予算が必要です。経済再生プランは、社会保障や教育、消費税減税などの持続的な制度、暮らしを支え消費と需要を創出する経済対策に22兆円規模の予算を提案しています。中小企業の賃上げ支援や奨学金返済の半額免除などの緊急対策には18兆円規模の予算を提案しました。
緊急策の財源は、大企業の内部留保への時限的課税(5年間で10兆円)、大軍拡のための「防衛力強化資金」の取り崩し、一時的な国債増発によってまかないます。
社会保障をはじめ恒久的な制度を拡充するためには、税・財政構造を転換し、持続可能な財源を確保しなければなりません。
◆応分負担で恒久財源確保
大企業・富裕層への優遇を正し、中小企業を除く法人税率を安倍政権以前の28%に戻すなど、応分の負担を求める税制改革で年14・6兆円の財源を生み出すことができます。
歳出では、大軍拡の中止、大型開発や原発推進予算の見直し、政党助成金の廃止などで7・4兆円の財源を得ることができます。
国民の暮らしを支援する積極的な財政支出によって経済成長を図ることが欠かせません。国の借金問題もそのことを通じて解決することができます。財政赤字対策を口実に消費税を増税したり、社会保障をさらに削ったりすれば、暮らしも財政も悪循環に陥ります。