年金減額 憲法判断を(10月4日)、経済再生プラン―30年の停滞を打ち破るために(10月2日)(いずれも「赤旗」)
2023年10月10日
【赤旗】10月4日 年金減額 憲法判断を―年金者組合 最高裁に統一審理要請
年金引き下げ違憲訴訟の勝利をめざして全日本年金者組合は3日、最高裁に、年金生活者の実態を直視せず請求棄却した堀木訴訟最高裁判決(1982年)の焼き直しではなく、生活実態を直視して正面から憲法判断を行うことなどを要請しました。最高裁前の支援者ら約100人を前に杉澤隆宜委員長は、すべての事案を大法廷に回付し、統一した審理と判断を行ってほしいと強調しました。
訴訟は2013年10月の国の年金減額決定が最低限度の生活を保障した憲法25条に反するなどとして受給者が15年に提訴。この間、39地裁で5千人超が原告となり審理が進められ、30事案が最高裁に上告しています。
弁護団の加藤健次共同代表は上告から1年半、運動を重ね裁判所が簡単に判断できない状況をつくりだしてきたと強調。コロナや物価高など国民生活が大変になる中で、「最高裁が社会保障を最低限の生活を支えるものとしてきっちり判断するのか、政治が決めることと逃げるのかが問われている。憲法に照らして年金引き下げはおかしいと判断してほしい」と訴えました。
埼玉県生活と健康を守る会連合会の小田美知代副会長は、生活保護利用世帯の半数が高齢者世帯で、特に1人暮らしの年金生活の女性が多いと指摘。働けなくなると年金収入だけでは暮らしていけないと述べ、「憲法25条の約束を守ってほしい」と話しました。
要請は6回目。個人署名2214人(累計4万7560人)などを提出しました。
【赤旗】10月2日〈主張〉経済再生プラン―30年の停滞を打ち破るために
日本経済が30年にわたって深刻な停滞に陥り、それに加えて物価高騰が国民に襲いかかっています。実質賃金はピーク時の1996年から年収で64万円も減りました。社会保障や教育への公的支出はきわめて低い水準です。こんな国は先進国で日本だけです。生活を守る緊急対策をとりながら、経済の落ち込みを打開する抜本的な改革を講じることが求められています。日本共産党は三つの改革で暮らしに希望をもたらす「経済再生プラン」を発表しました。
◆緊急対策と抜本的改革で
改革の第1の柱は、物価上昇を上回る賃上げと待遇改善を政治の責任で行うことです。人間を大切にする働き方に転換が急務です。
大企業の内部留保は10年間で180兆円近く増えました。ここに時限的に課税して財源をつくり、中小企業の賃上げを支援するのが日本共産党の提案です。最低賃金を全国どこでも1500円に引き上げることが可能となります。
経済再生プランは非正規ワーカー待遇改善法の制定を提案しています。賃金が上がらない最大の原因は、歴代政権が雇用のルールを壊してきたことです。非正規雇用は労働者の4割にのぼります。欧州連合(EU)や国際労働機関(ILO)条約の基準も踏まえてルールを確立する必要があります。
単発で働くギグワーカーやフリーランス、シフト制労働者には賃金の最低保障をはじめ権利を守る仕組みが不可欠です。
第2の柱は、消費税減税、社会保障の充実、教育費の負担軽減など暮らしを支え、格差を正す税財政改革です。
消費税導入以来3回の税率引き上げは経済が停滞する原因となってきました。消費税廃止をめざし、緊急に5%に減税することが求められています。
社会保障は国民の権利であるとともに、経済の重要な部分です。年金は物価上昇に応じて増えるものにすることが急がれます。
経済再生プランは、社会保障をはじめ持続的な制度を支えるために22兆円規模の財源を提案しています。大企業・富裕層が優遇されている税制の改革や軍事費の削減などで生み出します。最賃引き上げをはじめ緊急策には内部留保課税や国債の一時的増発で18兆円規模の財源をつくります。
第3の柱として、気候危機の打開、エネルギー・食料自給率の向上を掲げました。持続可能な経済社会を築く改革です。
省エネ・再エネの推進、脱炭素・原発ゼロの実現は世界5位の二酸化炭素排出国である日本の責任です。食料自給率の向上は世界的な食料危機を解決するために欠かせません。地域の循環型経済を発展させる上でも重要です。
◆危機脱却へ国民的討論を
岸田文雄首相も30年間の「コストカット型経済」を転換するとして対策を指示しました。財界の目先の利益を優先して雇用のルールを壊し、消費税を増税する一方で社会保障を削ってきたのは自民党・公明党政権です。古い政治の枠内では、暮らしの困難も経済の長期停滞も打開できません。
「失われた30年」からどうしたら抜け出すことができるのか。日本共産党は経済再生プランをたたき台に、日本を危機から救う抜本策をつくりあげる国民的な討論を呼びかけます。