賃金大幅引き上げ―抜本的な中小企業支援 今こそ(「赤旗」17日主張)、田村貴昭氏 インボイス中止訴え(「赤旗」)

2023年3月18日
【赤旗】3月17日<主張>賃金大幅引き上げ―抜本的な中小企業支援 今こそ
 大企業労組の春闘要求に満額回答が相次ぎました。大幅な賃上げを求める労働者の声を受けた動きですが、多くの大手労組で要求自体が急激な物価上昇に見合っていませんでした。多くの中小労組でこれから春闘が本格化します。暮らしと経済を立て直すうえで、労働者の7割が働く中小企業での賃上げが決定的です。
◆大企業の内部留保課税で
 民間信用調査会社、帝国データバンクによる、中小企業を中心としたアンケート調査では「コスト上昇分を価格にまったく転嫁できていない」が18%、「コスト上昇分の5割未満を転嫁」が40%でした。調査企業全体のデータから計算したところ、100円のコスト上昇に対して36・6円しか販売価格に反映できませんでした。「中小企業で人件費の増加分を価格に転嫁することは難しい」との訴えも出されました。
 岸田文雄首相は15日、政府、連合、財界の「政労使会議」で中小企業の賃上げに向けて「環境整備」が必要と述べました。中小企業の人件費の価格転嫁について指針をまとめると言います。それだけでは実効性がありません。社会保険料の雇用主負担の軽減など、すべての中小企業に届く、思い切った支援が欠かせません。
 日本共産党は、アベノミクスで増えた内部留保に時限的に5年間課税し、10兆円の財源をつくって中小企業の賃上げ支援を抜本的に強めることを提案しています。大企業が賃上げに回した分を課税から控除することで大企業の賃上げも促進します。
 大企業の内部留保は安倍晋三政権以来の優遇策によって2012年から170兆円も膨らみ、500兆円を超えています。同じ時期に実質賃金は1人当たりの年収で20万円以上減りました。このゆがみを正すことが欠かせません。
 岸田政権は内部留保課税の提案に背を向けるのでなく、真剣に検討すべきです。
 首相は政労使会議で、最低賃金を23年中に時給1000円(全国平均)に引き上げる考えを述べました。低すぎる金額の遅すぎる表明です。物価急騰に追いつくものではありません。
 「最賃1000円」は安倍政権が目標に掲げ、一向に進まなかった課題です。そもそも時給1000円では最低限の生活すら賄えません。しかも現行の最賃は都道府県によって格差があり、22年の最賃は最高の東京都で1072円、最低の高知県、沖縄県などで853円です。1日8時間、月20日働くとして年収で42万円もの違いがあります。
◆最賃一律1500円超に
 生活に必要な金額は地域によって大きな違いはありません。全労連加盟労組による最低生計費調査では全国どこでも時給1600円以上が必要です。地域別最賃にする理由はありません。全国一律制の実現と1500円以上への引き上げは緊急の課題です。
 国が基準を決めている看護、介護、保育などの賃金を引き上げることや、男女の賃金格差是正も必要です。非正規雇用を拡大した労働法制の規制緩和路線を転換し、正社員を増やすことも重要です。
 大企業に賃上げを“お願い”するのでなく、政治の責任で実効ある賃上げ支援策に踏み出さなければなりません。

【赤旗】3月16日 税負担影響把握せず―田村貴昭氏 インボイス中止訴え―衆財金委
 日本共産党の田村貴昭議員は15日の衆院財務金融委員会で、インボイス(適格請求書)導入に伴う公益財団法人などへの新たな税負担による影響の実態把握すら行わない国の姿勢をただしました。
 公益財団法人のシルバー人材センターでは、インボイス実施によって免税業者との取引で仕入れ税額控除ができず、消費税約200億円の増税となる見込み。各自治体はその穴埋めに来年度予算案でセンターへの発注単価の引き上げを提案しています。
 田村氏は、他にも学校給食協会など多くの公益財団法人で仕入れ税額控除ができなくなるにもかかわらず、特定の公益財団法人だけに「税負担を地方自治体の予算、すなわち国民の税金で穴埋めすることになる」と強調。日本商工会議所が昨年9月にインボイスによる倒産・廃業の可能性の徹底的な検証を国に求めた「意見」を取り上げ、財務省が何ら検証していない問題も答弁で明らかにしました。
 田村氏は、民間の取引に補填(ほてん)は一切ないとして「政府の関係府省庁会議で実態を把握すべきだ」と主張。鈴木俊一財務相の「不安は届いている」との答弁に対し、「唯一の解決策はインボイス中止だ」と強調しました。