軍事最優先―大手振る軍産複合体の論理―日本の産業基盤を掘り崩す(11月8日「赤旗」)

2022年11月12日
【赤旗】11月8日 <気流>軍事最優先―大手振る軍産複合体の論理―日本の産業基盤を掘り崩す
 岸田文雄政権は、軍事最優先の国づくりにのめり込んでいます。2日に開かれた経済財政諮間会議でも、軍事力の強化について議論しました。
 (A)経済財政諮間会議に経団連の十倉雅和会長ら民間議員が提出した提言に驚かされた。「防衛力強化に向けて踏
まえるべき基本的方向性」として、「防衛装備・技術の充実と民間の産業基盤・国際競争力の強化」を一体的に進めることを求めた。
 (B)さらに「防衛力強化には、経済基盤の強靱(きょうじん)化も含めた総合的な対応が必要」としていた。
◆軍事力強化が目的
 (C)ということは、経済力を強化する目的が軍事力を強化するためのものだ、ということになるね。
 (A)研究開発のあり方については具体策に踏み込んだ。首相が議長を務める内閣府の総合科学技術・イノベーショ
ン会議(CSTI)や防衛省、大学、国立研究開発法人などの研究機関が連携して、軍民両用の研究活動を推進し、成果を利用する仕組みづくりを求めた。
 (B)政府はいま、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画のいわゆる安保3文書改定の詰めの作業を進めている。今回の民間議員の提言は、政府の狙い通りの方向だ。
◆米政権をお手本に
 (A)3文書改定のお手本となるのが、バイデン米政権が発表した「国家安全保障戦略」などの一連の軍事戦略だ。実は、すでに今年1月7日に開かれた日米の外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2 )は、日米一体の軍事戦略づくりで一致していた。
 (B)共同発表文書は、「閣僚は、変化する安全保障上の課題に、パートナーとともに、国力のあらゆる手段、領域、あらゆる状況の事態を横断して、いまだかつてなく統合された形で対応するため、戦略を完全に整合させ、ともに目標を優先づけることによって、同盟を絶えず現代化し、共同の能力を強化する決意を表明した」と強調していたね。
 (A)つまり、①日米の軍事戦略を一致させていくこと②何が優先的目標なのか、ともに設定していくこと上加」確認
したというわけだ。しかも、それは、「いまだかつてなく統合された形」で実行していくという。
 (B)さらに、「日米は、今後作成されるそれぞれの安全保障戦略に関する主要な文書を通じて、同盟としてのビジョ
ンや優先事項の整合性を確保する」とした。
  (C)アメリカは、日米の「戦略を完全に整合」するよ「つ日本に求め、「ともに目標を優先づける」ために、「主要な文書」作成にも関与していくとしたんだね。
◆軍民を分けず運用
 (A)財界は、軍事技術の開発に政府資金を投入させることに重点を置いているようだ。
 (B)10月20日に開かれた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」では、「ほかの省庁の予算であっても防衛省が関与できる仕組みをつくる必要」との意見や「軍用と民生に分けず、国力としての防衛力という観点で一体として運用すべき」などの意見がだされていた。
 (A)そもそも兵器は戦争で使用されることが最大の目的であり、その使用価値は、戦争に勝つことだ。それを経済力の推進力にする、産業競争力を強化する、という論理の中に組み込んでしまえば、日本の産業基盤そのものを危険にさらすことになる。軍産複合体の論理をまかり通させてはいけない。
 (C)憲法のもとで平和産業を発展させてきた。軍事優先の国づくりは国を滅ぼすというのは歴史の教訓だよ。