値上げが暮しを直撃―低所得者ほど被害甚大(「赤旗」)
2022年2月12日
【赤旗】2月8日 値上げが暮しを直撃―低所得者ほど被害甚大
商品やサービスの価格引き上げが止まりません。相次ぐ値上げは家計を直撃し、消費を冷え込ませます。
菓子などを企画・販売するやおきんは1月27日、人気の駄菓子「うまい棒」を4月から値上げすると発表。これまでの1本10円から2円値上げします。主原料のとうもろこしや植物油などの高騰が要因。この商品は1979年の販売開始以来、初めての値上げとなります。またコクヨはすでに1月から文房具類を平均8%値上げしました。鋼材価格の上昇などが理由です。値上げの波は子どもたちにも押し寄せているのです。
電力大手10社は3月から、平均的な家庭で前年比835円から1836円もの値上げを予定。東京電力は3月からの電気料金を2月に比べ平均的な家庭で283引き上げます。東京電力の値上げは7カ月連続です。都市ガスも大手4社が値上げを予定します。
食料品や調味料も値上げが続きます。今月に入りキッコーマンがしょうゆや豆乳を値上げ。日清製粉ウェルナとニップンはパスタや乾麺の価格を引き上げました。ハムやソーセージについてはこの2~3月に日本ハム、プリマハム、伊藤ハムといった大手が4~12%の値上げをします。3月には味の素とキユーピーの大手2社がマョネーズの値上げを予定しています。6月には日清食品のカップヌードルや、永谷園のお茶漬けのもとなどおなじみの商品も値上げとなります。
相次ぐ値上げに消費者の心理も冷え込みます。内閣府「消費動向調査」によると消費者の心理の明るさをしめす消費者態度指数は1月36・7と2カ月連続で悪化しました。前月からの悪化幅2・4は現在の調査方法となった2013年4月以降で4番目の大きさです。1年後の物価見通しを「上昇する」と答えた割合は1・2㌽上昇の89・7%で、14年3月と並んで過去最悪となりました。
相次ぐ値上げの背景に需要と供給のアンバランスから生じる世界的な商品市況の高騰があります。加えて日本の場合、食料品やエネルギーなどの多くは輸入に頼ります。米国での利上げ表明などを背景に為替相場が円安にふれ、輸入価格が押し上げられました。
エネルギーや食料品など生活必需品の価格高騰は家計、とりわけ低所得者世帯ほど大きな影響を与えます。民間シンクタンクのみずほリサーチ&テクノロジーズが1月27日に発表したリポートは、「消費全体に占める生活必需品(食料・エネルギー等)の割合が大きい低所得世帯で、物価上昇による負担が大きくなる」と指摘します。同シンクタンクの試算によると、22年に予想される食料・エネルギー価格の上昇に伴う支出増の収入に対する割合は年間収入1000万円以上の世帯で0・5%にとどまるのに対して、同300万円未満の世帯では1・8%にのぼります。
生活必需品の値上げは低所得者層の生活をさらに悪化させ、貧富の格差を広げることにつながります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で苦しい生活を強いられている非正規雇用労働者などにとっては、所得の減少に加えて物価上昇で二重の打撃となります。
最低賃金の大幅引き上げなど、賃上げに向けた取り組みが求められます。同時に、生活が苦しい世帯への給付金を実施するとともに、消費税を減税することが国民を守る政治の貴任です。(清水渡)