「消費税のインボイス制度―10月から課税業者登録―苦悩する免税業者」(「赤旗」)、「日本人を“奴隷扱い”したIOC 日本政府はなぜ抗議しないのか」(「日刊ゲンダイ」)

2021年5月29日
【赤旗】5月28日 消費税のインボイス制度―10月から課税業者登録―苦悩する免税業者
 消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入に向けて、この10 月から課税業者登録が始まります。しかし適格請求書制度は零細業者や個人事業主などに重い負担を強いるものです。
◆計算方法が変更
 事業者が消費税を納める際の納税額の計算方法が2023年10月にこれまでの帳簿方式から適格請求書方式に変更されます。消費税は消費者が買い物のたびに値段の一部として払っていることになっています。しかし、納税するのは商品やサービスを提供した事業者です。事業者は客から受け取った消費税から仕入れにかかった消費税を引いた額を納めます。この仕組みを仕入れ税額控除といいます。これまでは帳簿で行ってきた納税額の計算を適格請求書で行うことになります。
 ただ適格請求書には税務署から通知を受けた「登録番号」を記載しなければなりません。登録番号を得るためには税務署に課税事業者として登録する必要があります。つまり消賛税課税事業者にしか適格請求書は発行できないのでず。
 現在、課税売り上げが1000万円以下の零細業者は消費税の納税が免除されています。現行では課税業者がこのような免除業者から仕入れをしても仕入れ税額控除ができます。
 一方、適格請求書制度が導入されたら、免除業者から商品やサービスを仕入れていた課税業者は、納税額の計算で仕入れにかかった消費税額を引けなくなるので納税額が増えます。そのため免税業者からの購入をやめたり、単価の切り下げを求めたりする恐れがあるのです。
◆零柵業者に負担
 免罪業者には個人事業主も含まれています。建設業の一人親万や個入タクシーの運転手、ウーバーイーツの配達員も対象です。お年寄りの働く場どなっているシルバー人材センターも登録者は個人事業主として扱われます。こうした働ぎ方人たちは、課税業者となるか、報酬の引き下げが迫られる恐れがあります。課税業者になればわずかな収入から消費税を納税する必要があるほか、煩雑な税務負担も必要になります。
 財務省は食料品などの税率を8%に据え置く複数税率が導入されだもとで「適正な課税を確保する」ためには適格請求書の導入が必要だとしています。しかし税理士の浦野広明さんは「複数税率でも現行のままで課税計算は適切にできる。適格請求雷を導入する必要はない」と話します。
 複数税率について財務省は「所得の低い方々への配慮の観点」から実施したとしています。そ暴入に必要な財源、1兆890億円の一部として、適格請求書の導入で免税業者が課税業者に転換することによる税収増、2480億円を見積もっています。収入が低い人たちを苦しめる制度で、「所得の低い方々への配慮」と実現しようというところに、消費税のひどさがあらわれています。(清水渡)

 
【日刊ゲンダイDIGITAL】5月29日 日本人を“奴隷扱い”したIOC 日本政府はなぜ抗議しないのか―三枝成彰
 東京五輪のために「犠牲を払わなければならない」としたIOCのバッハ会長と、東京が緊急事態宣言下でも開催できるかと聞かれて「もちろんイエスだ。絶対にできる」としたコーツ副会長・調整委員長の発言には怒りを覚える。明らかな人種差別だ。これに怒らない安倍前総理、森前五輪組織委会長、菅総理、橋本現五輪組織委会長、丸川五輪担当大臣も、どうかしている。何ら抗議の態度も疑問も示さないのはなぜなのか。日本人としての屈辱を感じないのだろうか。
 私は28歳のときにドイツに行き、ドイツ人に「おまえはぬかみそ臭い」と言われた。それが今でも心の傷になっている。あるときソウルの空港でにんにくの臭いがしたが、それを韓国の人に言うのは差別になると、自分を戒めた経験もある。ヨーロッパ人にもわきがのきつい人は多い。が、いちいち指摘すれば、差別主義者と言われるだろう。
 今回の発言を聞いて、西洋人はやはりアジア人を見下しているのだな、と思った。日本人を、まるで奴隷か召し使いのようにしか思っていないように見える。はっきり言って国辱ものだ。
 バッハ会長とコーツ副会長の母国であるドイツやオーストラリアで開催するとしても、同じことが言えるのか? と聞きたい。日本は依然として感染が収まらず、医療が逼迫(ひっぱく)し、不況にあえいでいる。国内外で議論が巻き起こっているのに、あのように平然と言い放つ神経が信じられない。
 私自身は今まで、オリンピックが開催されようとされまいと、どちらでもかまわないと思っていた。
 だが、今回の2人の発言を受けて、気持ちは断然、開催中止に傾いた。
  (以下略)