企業・富裕層に公正負担要求―米バイデン大統領(「赤旗」)、菅総理”乱心”でワクチン1万人接種センターぶち上げ(AERAdot.)

2021年5月1日
【AERAdot.】4月30日 菅総理”乱心”でワクチン1万人接種センターぶち上げ クラスター、人手不足など問題山積み
 3度目の緊急事態宣言下の4月29日、東京と大阪で新型コロナウイルスの新規感染者が1000人超えとなった。
 遅々として進まない高齢者(約3600万人)のワクチン接種に業を煮やした菅義偉総理は1万人が接種できる大規模接種センターを東京都などに設置するよう指示した。期間は5月24日から3カ月間だという。28日には東京都千代田区大手町の合同庁舎に設けられた接種センターのガランとした映像がマスコミに公開された。
「菅総理は国政選挙で3連敗して以降、乱心気味です。人気挽回策として側近の官邸官僚・和泉洋人総理補佐官と北村滋国家安全保障局長のトップダウンで大規模接種センター案が唐突に決まりました。厚生労働省の田村憲久大臣は蚊帳の外。関係省庁との調整は全くなされていない状態でマスコミにリークされ、話が進んでいます。全国的なコロナ蔓延で東京五輪開催に対し、国民の風当たりが強い。ワクチン接種にしか支持率回復の望みを持てない菅政権の焦りのあらわれです」(厚生省関係者)
 埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、京都などにも65歳以上の高齢者を中心に1日約5000人が接種できる大規模センターを政府が設置するという。
 そもそもワクチン接種は「予防接種法」で住民票のある市区町村で受けるのが原則だ。実施主体は市町村とされており、各自治体でようやく接種予約が始まったばかり。政府が接種に乗り出すというのは極めて異例の判断だ。
「政府が直営で1日1万人規模の接種を行うとぶち上げましたが、接種する人員をどう確保するか。自衛隊の医師を活用するというが、全国で約1000人しかいません。新型コロナの患者を受け入れている病院の通常の任務もあるのに、強引な要請です。防衛省と厚労省など関係省庁の調整も進んでいません。そして1日1万人分のワクチンをどうやって確保するのか。ファイザー製は在庫がないので、国内未承認のモデルナ製を使うという話ですが、5月24日設置に間に合わせるなんて性急過ぎます」(政府関係者)
 各自治体は苦心をしつつ様々な接種会場を確保し、人流の分散にも努めているが、今回のような1万人規模の接種会場となれば、クラスター発生のリスクが高まるという懸念もある。
「一か所に集めれば接種が進むだろうというのは、机上の思い付きに過ぎません。都内の高齢者を1日1万人単位で大手町に集めるというのは、外出抑制を促す政府の方針とも矛盾し、高齢者を感染リスクに晒すことになります。5月24日から始めるとぶち上げたが、準備期間がなさすぎる。ワクチン接種体制の確保といっても、注射ができる医療スタッフだけいればよいという問題ではない。会場整理の人員はもちろん、受付方法や動線の設定、ワクチンの配送・保管などロジの詰めも不可欠です。しかし、それらを誰が担うのか、人員をどう確保するのか。政府にはワクチン接種会場整備のノウハウが全くありません」(前出の厚労省関係者)
 菅官邸トップダウンの珍プランに防衛省、厚労省、内閣官房など関係省庁は頭を抱えているという。
「自治体から受け取った接種券を会場に持参すれば、いつでも予約なく接種できるようにすると耳障りのよいことを言っているが、見込み数を把握しないでどうやってワクチンを準備するのかすら検討されていません。ワクチンを大量に用意しても、実際に打つ人がわずかしか来なかったら大量の廃棄が生じてしまうだけ。逆に希望者が殺到してしまったらどうするのか。政府に何らノウハウもありません」(同前)
 菅政権の命運は「東京五輪」「ワクチン頼み」であるものの、ワクチン確保に失敗し、接種率が世界的にも大きく立ち遅れている惨状が明らかになりつつある。菅官邸が思い付きで打ち出した「苦肉の策」は吉と出るのか、それとも……。(AERAdot.取材班)

【赤旗】4月30日 企業・富裕層に公正負担要求―米バイデン大統領初の施政方針演説―社会福祉・教育拡充へ
 【ワシントン=遠藤誠二】バイデン米大統領は28日夜(米東部時間)、議会上下両院合同会議で、就任後初となる施政方針演説を行いました。大半を内政・経済にあて、外交については極めて短いものとなりました。バイデン氏は、今後10年間で総額1兆8000億ドル(約200兆円)規模となる経済対策「米国家族計画」を提示。先の「米国救済計画」、「米国雇用計画」と合わせ、富裕層・企業への増税で財源をまかない、社会福祉・教育分野の拡充で米国経済を底上げする狙いです。
◆1.8兆ドル経済対策提示
 新たな家族計画には▽3、4歳児保育の無償化▽中低所得家庭の育児費負担軽減と保育士賃上げ▽子育て・介護での12週間の有給休暇保障▽コミュニティカレッジ(2年制公立大学)の学費無償化▽低所得家庭児童への食事補助▽子育て世帯への税額控除の拡充―など、中・低所得層や子育て世代に手厚い施策が盛り込まれています。
 一方、トランプ前政権時に下げられた個人所得税の最高税率を37%から39・6%に戻し、年収100万ドル(約1億1000万円)以上の世帯の株式等譲渡益(キャピタルゲイン)課税率を2倍の39・6%に引き上げ。富裕層・企業の「税逃れ」調査厳格化と合わせ10年間で1兆5000億ドルの財源を確保します。
 バイデン氏は「中間層の税負担を増やすつもりはない。彼らはすでに十分に払っている」「最近の研究によると、米国の上位55の大企業が昨年支払った連邦税はゼロだ。400億ドル以上利益があったのにゼロだ」「米国の企業と米国民の1%にあたる最富裕層が公正な納税を始める時だ」と主張しました。
 外交では、対中関係について「競争は歓迎し紛争は模索しない」が、「海外においても米国の国益を守る」と表明。香港や新疆ウイグル自治区などの問題でも厳格な対応をすることを示唆するなど、中国に厳しい姿勢でのぞむ方針を改めて示しました。