総務省接待、真相究明されず(東京新聞),マイナンバーカード事業―国会提出資料ずさん(赤旗)
2021年3月28日
【東京新聞】3月27日 総務省接待、真相究明されず 正剛氏招致は拒否、官僚処分のみ 21年度予算成立、幕引き図る政府・与党
26日に成立した2021年度予算の審議では、総務省の政務三役や幹部職員らが利害関係者から繰り返し接待を受けていた問題を巡り、政官業の不適切な関係が浮き彫りになった。当事者の一部は国会に呼ばれたものの、「密室」のやりとりはほとんど明るみに出ず、真相究明にはほど遠い。総務省は同日、菅義偉首相の長男正剛せいごう氏が勤める放送事業会社「東北新社」側への処分を発表。政府・与党は幕引きを図る構えだが、行政がゆがめられたかどうかという核心部分は依然、闇の中だ。(山口哲人)
東北新社側が総務省幹部と会食を重ねていたと週刊文春が報道したのは、衆院で予算案の実質審議が始まった先月4日。名前が挙がった局長らは職務と関係ない「懇親会」などと弁明。しかし、会話を録音したデータの公開で虚偽答弁の疑いが濃厚になり、総務省は内部調査に追い込まれた。NTTによる政務三役まで対象を広げた高額接待も報じられ、両社社長の参考人招致に発展した。
◆「民間人」盾に呼ばず
だが、政権の実態解明に向けた姿勢は消極的だった。与党は、官僚の忖度そんたくを招いたとみられる正剛氏の参考人招致を「民間人」を理由に拒んだ。外資規制に違反していた東北新社の事業承継を総務省局長として決裁した山田真貴子前内閣広報官や、NTTを含めて複数回の高額接待が発覚した谷脇康彦元総務審議官も辞職を機に国会審議から遠ざけた。総務省は10人超の職員を国家公務員倫理規程違反で処分したが、行政への影響は弁護士らの第三者委員会の検証に委ねた。
NTT側との会食は現職の武田良太総務相をはじめ野田聖子、高市早苗の両総務相経験者も在任中の参加を認めた。だが、いずれも報道されるまで公表せず、関係業者からの供応接待など「国民の疑念を招くような行為」を禁じる大臣規範には抵触しないと口をそろえた。
◆「首相は深刻さ理解していない」
予算成立後、首相は「国民の疑問は解消されたのか」との記者団の質問に対し「できるだけ丁寧に(国会では)答えた」と述べるにとどめた。26日の参院本会議で立憲民主党の岸真紀子氏は「深刻さを全く理解していないのではないか」と政権を批判した。
【赤旗】3月28日 マイナンバーカード事業―国会提出資料ずさん―システム機構 11件75億円超記載漏れ
地方共同法人「地方公共団体情報システム機構」が発行するマイナンバーカードとその関連事業の契約実態を本紙(3日付)が報じた直後に、国会提出資料から11件、総額75億円超の契約が記載もれしていたことがわかりました。発注の原資は国民の税金なのに、契約は当初、情報公開が不十分であり、しかも管理がずさんという同機構の実態が見えてきました。(矢野昌弘)
同機構は日本共産党の本村伸子衆院議員の追及を受け、今年になって契約金額などの新たな契約情報を、本村氏に提出。ところが、その後、「ホームページでの公表に向け、内容を精査する過程で、提供した実績一覧に記載漏れがあった」と同機構が明らかにしました。
記載もれは、2013年度分のシステム開発など全契約分4件や18年度の4件など、四つの年度で計11件が見つかりました。
これまで明らかになった分と合わせた契約を本紙が集計した結果、同機構が契約したマイナンバーカード関連事業は108件1453億円になります。
108件の契約先をみると、マイナンバー制度創設に向けた政府の「情報連携基盤技術ワーキンググループ」(WG)メンバーの大手電機企業7社とその関連企業が、全体の8割超にあたる80件1199億円超を契約していました。
受注したWGの委員企業は、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、富士通、日本電気、日立製作所、沖電気、大和総研ビジネス・イノベーションです。
13年度から20年度までの8年間に、NTTコミュニケーションズは共同受注を含め59件を契約。NTTデータは46件(同)となっており、NTTのグループ企業が多数、契約を結んでいました。
同機構が新たに出した契約情報には、8000万円の予定価格のわずか2%、177万円で日本電気が落札したという不可解なものもありました。開札調書によると、入札に参加した他の2社が予定価格の7割ほどで入札したのと比べると、日本電気の金額が際立っています。
機構の説明によると「顔認証機能の新規開発を想定したものだったが、落札業者がすでに開発したソフトウエアを活用したため、落札金額が低くなった」と説明します。日本電気は、警察庁からも顔認証システムのプログラム開発を受注しています。
同機構が明らかにしたのはマイナンバーカードに関する契約です。さらに巨額の公金が投じられているマイナンバー制度のシステム開発の契約についても開示が求められます。
確認のたびに件数が増える
本村伸子衆院議員の話 マイナンバーカードに関する契約情報をシステム機構に求め続けて、1年近くになります。当初は多くの金額が非公表だった上、確認するたびに契約件数が増えていくというありさまです。記載もれなのか、隠ぺいなのかも問われます。マイナンバーという機微な情報を扱う法人だけにずさんな情報管理は絶対に許されません。さらなる深掘りをし、見直しを求めていきます。