春闘と大企業の内部留保関係を2本

2021年1月23日
【赤旗】1月20日 経団連 ベア要求に背―コロナ口実 ため込み続ける―経労委報告
 経団連は19日、2021年春闘の経営側指針となる「経営労働政策特別委員会報告」を発表しました。コロナ禍を口実に、「ベースアップ(賃上げ)の実施は困難」だとしてコロナ禍で収入減による切実な賃上げ要求に背を向けました。
 「業種横並びや各社一律の賃上げを検討することは現実的ではない」とし、収益悪化企業はベアはおろか定期昇給も「検討せざるをえない」と賃下げも示唆。収益安定企業でも「仕事・役割・貢献度等に応じて重点化」するとして格差を広げる考えを示しました。
 最低賃金もコロナ禍で中小企業の経営難を口実に抑制を強調し、徹底した賃金の抑え込みを求めました。
 内部留保について2年ぶりに言及。これまでは経営悪化時に労働者に負担を強いることなく乗り切るために必要だとしていたのに、今回は「ポストコロナを見据えた将来への投資」のために必要だとして、巨額のため込み金を労働者に還元せずため込み続けることを正当化しています。
 在宅勤務(テレワーク)の拡大を口実に、「時間外労働時間数に応じて割増賃金を支払う現行の労働法制は、新しい働き方になじまない」として労働時間規制などを緩和し、「残業代ゼロ制度」や「ジョブ型」導入を強調しています。

【赤旗】1月20日 内部留保還元でコロナ危機打開―労働総研が春闘提言
 全労連と共同して調査・研究に取り組む労働運動総合研究所(労働総研)は20日までに2021春闘提言を発表しました。コロナ危機のもと「今こそ企業の内部留保を活用して日本経済の再生を」と訴えています。
 コロナ禍で諸外国と比べて日本の経済再生の見通しが困難なのは長年続いた政府の新自由主義的経済政策と大企業の目先の利益追求主義が招いた国内需要の減少にあると指摘。賃金引き上げや労働条件の改善、消費税引き下げなどで内需の拡大に転換し、コロナ危機を打開すべきだと提起しています。
 企業には2019年度時点で702・6兆円もの内部留保が積み上がり、そのうち不要不急なものだけで400兆円あり、そのごく一部を還元するだけで「コロナ危機を経済再生のチャンスに変えることができる」と強調しています。
 全労連・春闘共闘が要求する2万5000円の賃上げは、不要不急の内部留保の5・05%で可能。時給1500円は4・25%、働くルール確立(不払い労働根絶、年休完全取得、週休2日制の完全実施)も3・79%で可能であり、非正規雇用の正規化と合わせても15・57%としています。
 「労働・雇用条件の改善は企業の労務コストを上昇させるが、家計消費需要の拡大を通じて国内生産が誘発され、企業経営にもプラスとなり、国全体の経済を活性化する」と強調しています。
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