コロナから業者・労働者守れ―建設アクション

2020年10月24日
【赤旗】10月21日 費税5%へ署名提出―コロナから業者・労働者守れ―建設アクション
 建設関連の労働組合でつくる「2020建設アクション」は20日、消費税を当面5%に戻すなどコロナ禍から中小業者や労働者を守る施策を訴え、衆院第1議員会館で超党派の国会議員に要請署名9万4257人分を提出しました。
 参加組合は、アクション実行委員会の東京土建、埼玉土建、千葉土建、神奈川土建、神建連、建交労、国土交通労組と、京都建労、福岡県労、熊本県労。日本共産党から宮本徹、畑野君枝両衆院議員が応対し、自民党、立憲民主党、社民党の国会議員も受け取りました。
 あいさつした渡辺義久東京土建副委員長は、「私たちは、コロナのなかでも自然災害が起きたら真っ先に駆けつけ、復旧復興にあたる国を支える存在だ。建設産業を衰退させるわけにはいかない」と訴えました。
 各組合が「1万2000件の相談にのり、雇用調整助成金、持続化給付金を申請した」(神建連)、「ゼネコン現場の相談、各自治体へ助成の要請をしてきた」(千葉土建)など取り組みを報告しました。
 要請は、消費税を当面5%に引き下げるほか、▽リフォーム助成や国内資材製造企業への支援▽建設現場での感染予防▽給付・助成制度の期間延長、基準緩和▽自然災害の住宅再建支援▽保険料減免・傷病手当金への予算措置▽医療機関への支援―などを求めています。
 宮本氏は、「みなさんの相談活動から出てきた切実な要求の実現のため取り組みたい」とあいさつしました。

【日刊ゲンダイ】10月22日 <ラサール石井 東憤西笑> 学術会議問題の根幹は菅首相の「反教養」「反知性」にある
 菅政権が始まって1カ月。いまだ所信表明演説もないまま総理は外遊に出かけた。国民にこれからの方針、政治のビジョンを説明するのが先だと思うのだが、これでは順序が違うのではないか。
 以前はあれほど毎日のように会見していたのに、総理になった途端沈黙するのは、基本的に議論が苦手、あるいは苦手意識があるのではないか。官房長官のときは「批判にはあたらない」を多用し、それ以上の質問をシャットアウトしていた。だが、総理になればそうもいかない。総裁選で石破氏が当意即妙に答えるのに比べ、菅氏はどこかしらおどおどしていた。
■教養とは学歴をすり替えてはいけない
 ある知事が「菅総理に教養がない」と言って「学歴差別するのか」と叩かれていたが、教養とは学歴とは関係ない。自らの言葉で自分を表現できない姿を批判したのが真意だろう。
 確かに親戚も兄弟も教師であった菅さんは教師になれなかったことで家を飛び出し苦学したから学歴コンプレックスがあるのだという見方もある。
 だが私は、コンプレックスではなく「知性」や「教養」を憎悪しているのではないかと感じる。
 実務畑で生きてきた菅氏には「理屈ばっかりこね回して実務はからきしできないくせに」という気持ちが、心の底にあるのではないか。この「反教養」「反知性」が今回の学術会議任命問題を生んでいるのではないか。
 学術問題で菅政権を擁護する橋下徹氏は「税金を使っているのだから政府が口を出して当たり前」と言う。彼もまた知事時代に伝統芸能の文楽を全く理解せず予算を削減した。
 学問や芸術をリスペクトせず統制しようとするのは新自由主義的らしい考えで、そのシンパとして菅氏がいる。学問や芸術の統制はナチにも共通するファシズムの基本である。
 時を同じくしてこんなニュースが流れた。NHKがテレビの購入を届け出制にして、テレビを持っている人持っていない人の情報を照会できるようにするよう政府に要請したというのだ。
 料金を下げるよう携帯会社に睨みを利かせる菅氏。ハンコをなくし、デジタル庁をつくり、携帯、車、テレビと国民に欠かせないものの情報をデジタルでつなげる。スマホで匿名で政府批判をしたら、次の日には免許が失効し携帯が止まる。そんな日がやってくるかも。
 学問や芸術の統制の次は、その矛先が国民にやってくるかもしれない。
 また別のニュースでは運転免許取得時にマイナンバーと連動させることが決まったらしい。一見バラバラのニュースも全てをつなげると見えてくるものがある。

【AERA dot.】10月20日 菅首相「私はリストを見ていない」は“致命的な失言” 奇妙な会見を生んだ官房長官時代の「失敗」とは
 菅首相の学術会議任命拒否問題が大きな波紋を呼んでいる。首相がリストを「見ていない」という発言も飛び出し収束はつきそうにない。AERA 2020年10月26日号で掲載された記事を紹介。
 日本学術会議が推薦した候補者105人のうち、新会員候補6人が任命されなかった問題が政権の足元を揺るがしている。発足直後は70%超あった支持率は、わずか数日で50%台まで急降下。菅義偉首相は、自民党の主要5派閥を後ろ盾に鳴り物入りで総理の座を射止めたが、今日まで単独会見も所信表明演説もせず、戦でいえば初陣すら果たせていない。26日からいよいよ始まる臨時国会を前に、準備段階で墓穴を掘った格好だ。
■「パンケーキ懇」に批判
「私はリストを見ていない」 その発言が飛び出したのは、10月9日、朝日新聞など3社による菅首相へのグループインタビューの終盤だった。内閣記者会加盟の常勤19社に所属する総理番記者と一部のフリーランス記者が参加する公式の総理会見ではない。一部のメディア(朝日新聞、毎日新聞、時事通信)の代表記者がグループとなり、与えられた時間の中で菅首相に質問した。室内では、選ばれなかった記者がそのやりとりに聞き耳を立てる。これまで目にしたことがない奇妙で不可解な儀式だった。
 なぜ、このような場が準備されたのか。この6日前、菅首相は東京都内のパンケーキ店で、完全オフレコの記者懇談会を開催した。参加したのは内閣記者会に所属する19社のうち朝日新聞、東京新聞、京都新聞を除く16社。しかし、この非公式の会合が「パンケーキ懇」と揶揄され、有権者から「政権とメディアの癒着だ」「オフレコでない場で説明を」と批判が相次いだ。官邸は、この批判をかわす目的で、朝日新聞など3社にグループインタビューという場を準備し、情報公開に積極的な姿勢を見せるはずだった。
 政府関係者の一人は、官房長官という立場で記者と連日、対峙してきた菅首相とその周辺は、ある記者会見の対応の失敗が安倍政権の瓦解のきっかけになったと分析しているという。
 その会見とは、今年2月29日。新型コロナウイルスの感染拡大への対応のため、安倍晋三首相(当時)が自ら全国の小中学校などに一斉休校を呼びかけた通常の総理会見だった。
 その日、いつものように一方的に会見を終えて降壇する安倍首相に、会場の記者から「まだ質問があります」と声が上がり、これをきっかけに、事実上、官邸が差配していた首相記者会見が、差配不可能になってしまう。その後、コロナ対策を理由に、会見に出席できる記者の数を制限するなど、官邸は徹底して首相と記者との一対多数での会見を拒み続けている。この政府関係者はこう続ける。
「そもそも、内閣総理大臣になる野心はなかったと公言している菅首相は、歴代総理のように時に権力の凄みをむき出しにして記者を論破し、ある時は言葉巧みにけむに巻くという術を持ち合わせていない。あるのは官房長官として、総理への批判をかわし守る側の経験。自らが最終責任者として矢面に立ち、有権者を納得させる言葉を持ち合わせていないと自覚し、周囲にもそう漏らしているんです」
 グループインタビューという形式は、菅首相の本音を忖度した官邸の奇策だった。だがその中で飛び出した「私はリストを見ていない」は致命的な失言だったと、ある自民党幹部は言う。
「一国の首相の言葉としてはあまりにも不用意すぎる。首相が見ていないのであれば、誰がそれをリストから削除したのか。その理由を必ず文書で上げるので、その文書を出せと野党は追及するに決まっている。26日から始まる予算委員会を前に格好の攻撃のネタを与えてしまった」
 火に油を注いだのは、菅首相を守る防波堤の立場にある加藤勝信官房長官だった。
 定例記者会見で「決裁文書に(105人の)名簿を参考資料で添付していた。その資料を詳しくは見ていないということを指しているのだろう」と、安倍政権時代から質問の回答に窮した時の常套手段でもある「ご飯論法」を使ってごまかしたのだ。この対応には、自民党内からも苦言が相次ぐ。稲田朋美・元防衛大臣は「こういう判断基準で任命しなかったという説明は必要だ」と記者会見で発言した。(編集部・中原一歩)※AERA 2020年10月26日号より抜粋