首相に「買収目的交付罪」疑い

2020年6月27日
【DIAMONDO online】6月23日 安倍政権に激震、河井夫妻逮捕を上回る「給付金スキャンダル」の破壊力
―首相“直撃”の相次ぐ不祥事―揺らぐ政権基盤
「桜を見る会」や「検察人事」で揺れた安倍政権だが、現職国会議員の「河井克行・案里夫妻の逮捕」という不祥事にまたもや見舞われた。
 側近だった克行議員を法相に任命したのは安倍晋三首相だったし、公職選挙法違反(買収)の容疑がかけられている案里議員の参院選出馬を強引に進めたのも首相と菅官房長官だった。
 政権直撃のスキャンダルが相次ぐ中で、とりわけ致命傷になりそうなのが、新型コロナウイルス対策の給付金をめぐる“税金横流し”の疑惑だ。
 過去、「森友・加計問題」などの不祥事が起きると、経済や雇用の好況をアピールすることで支持率回復につなげ求心力を維持してきたが、“給付金スキャンダル”はアベノミクスのど真ん中を直撃したものだからだ。
―持続化給付金の委託で―「中抜き」や横流しの疑惑
 問題になっているのは、売り上げが急減した中小企業などに最大200万円を出す「持続化給付金」。コロナ禍を受けた緊急経済対策の柱の1つだが、申請受け付けや審査といった手続き業務はまとめて民間に委託している。
 それを769億円で受注したのは、一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ推協)だった。
 ところが、業務の大半は749億円で広告大手の電通に再委託されていたのだ。さらに電通からも業務が子会社5社に割り振られ、人材派遣大手のパソナや、ITサービス大手のトランスコスモスなどにも外注されていた。
 サ推協は2016年、電通、パソナ、トランスコスモスの3社でつくった団体だ。
 電通やパソナがじかに請け負わず、団体や子会社を挟むのは、なぜなのか。再委託や外注のたびにお金が「中抜き」されているのではないのか。
 サ推協は法律で定められた決算公告を一度もしていなかった。
 先週までの国会は、この問題で大荒れだった。
 なぜ政府は、このような団体に巨額の公的業務をまかせたのか。769億円の出どころは、国民が納めた税金だ。本来ならもっと安い価格でできるはずなのに、税金がムダづかいされているのではないのか。一部の企業に横流しされているのではないか――。(以下略)

【赤旗】6月26日 首相に「買収目的交付罪」疑い―予算委集中審議の開催を―志位委員長が会見
 日本共産党の志位和夫委員長は25日、国会内で記者会見し、公職選挙法違反容疑で逮捕された河井克行、案里両容疑者の巨額買収事件について、「自民党本部からの1億5000万円の交付が、疑惑の核心部分として浮かび上がってきた」と強調し、安倍晋三首相に「買収目的交付罪」の疑いが浮上してきているとして、国会で首相が説明責任を果たすべきだと求めました。
 志位氏は、両氏による巨額買収事件と自民党本部による資金提供が、「買収行為をさせる目的をもって金銭・物品の交付を行ったもの」は罪に問われる(公選法221条1項5号)とする「買収目的交付罪」に当たる可能性があるとの弁護士からの提起があると指摘。この問題で新たに明らかになった二つの事実を示しました。
 一つは、「しんぶん赤旗」(24日付)が報じた、安倍首相と克行容疑者の面会と資金提供の動きの関連です。安倍、克行両氏が昨年、首相官邸で複数回面会し、その前後に自民党から巨額の資金提供が繰り返されたという事実が浮かび上がりました。
 志位氏は、「安倍首相と河井前法相との関係がお金の受け渡しとのかかわりでも非常に密接な形で表れている」と指摘しました。
 もう一つは、中国新聞25日付で報じられている案里容疑者の後援会長を務めた町議の証言です。同町議は昨年5月に克行容疑者から白い封筒に入った現金30万円を渡されたと述べ、受け渡し時に、「安倍さんの名前を聞き、断れなかった」、「安倍さんから」と言われ、押し問答の末に受け取ったと話しています。
 志位氏は「非常に重大な証言だ。案里容疑者の後援会長に、『安倍さんから』と言って克行容疑者がお金を渡していたということだ」と指摘しました。
 志位氏は、この二つの事実を合わせると、「まさに安倍首相自身に『買収目的交付罪』の疑いがかかってくる」と強調。自民党本部からの1億5千万円の交付の目的は何だったのか、克行氏との面会の内容はどんなものだったのか、「安倍さんから」という地元後援会長の証言をどう説明するのかなどについて、「すべて安倍首相が説明する責任がある。やましいところはないというのであれば、こうした諸点について、国民に説明すべきだ」と求めました。
 その上で、野党が求めている首相が出席する予算委員会の集中審議をただちに開いて、この問題についての説明を果たすことを強く求めると表明しました。