【東京新聞】《社説》桜を見る会 中止で幕引き許されぬ

2019年11月16日
【東洋経済ONLINE】11月16日 「税負担の少ない大企業ランキング」TOP200社
税負担の少ない大企業はどこなのか――。
 グーグルやアマゾンなどの「GAFA」勢は、グローバルな節税対策に余念がない。だが対照的に、日本ではかつてより下がったとはいえ法定実効税率がようやく30%と、国際的にはまだ高水準だ。そうした中、日本の個々の大企業は実際の税負担でどんな差がついているか、調査してみた。
税負担率は「法人税等」÷「税引前純利益」で算出した。
「法人税等」は「法人税・住民税および事業税」に「法人税等調整額」を加減したもの。この調整額が大きいほど、納める法人税は少なくなる。単純に言えば、法人税100億円で調整額が50億円なら、調整後の法人税等は50億円だ。仮に、税引前純利益を200億円、法人税等を50億円とすると、税負担率は50億円÷200億円で25%となる。あくまで会計上の利益がベースであり、税法上の課税所得とは異なる点に留意したい。
『週刊東洋経済』の11月16日号(11月11日発売)では、「株式投資・ビジネスで勝つ 決算書&ファイナンス」を特集。税を含む、企業分析に不可欠な決算書の読み解き方について、『会社四季報』編集部などが厳選した30のノウハウで紹介している。
過去の赤字に伴う欠損金が効いてくる
 首位に立ったのは日本航空(JAL)だ。2019年3月期の税負担率は0.7%だった。2010年に会社更生法の適用で経営破綻した同社は、特例により、税務上の多額の繰越欠損金を利用して課税所得が控除されている。ただし、この法人税減免の優遇措置は、2020年3月期からなくなる。(以下略)

【東京新聞】11月15日《社説》桜を見る会 中止で幕引き許されぬ
 「桜を見る会」を巡る問題は、安倍晋三首相が公私混同甚だしく支持者を多数招いて事実上、後援会活動の場としていたことだ。まずは首相が国民に謝罪し、疑惑の解明に進んで協力すべきだ。
 公職選挙法違反の疑いが指摘された経済産業相、法相を、国会で説明させる直前に「更迭」する、文部科学相の暴言で大学入学共通テストの英語民間試験への批判が高まるや、突然見送りを決める。
 今国会でも繰り返されているのは、政権への打撃が大きいとみると批判の矢面から「火元」を覆い隠す安倍官邸の手法である。
 菅義偉官房長官が来春の開催中止を発表した桜を見る会も同様にしたいのだろうが、今回の問題には首相が直接関わる。国民の目は一層厳しく、沈静化や幕引きなどできるはずもない。
 菅氏は、中止の理由について「さまざまな意見を踏まえ」招待基準や予算、人数を見直すためと説明した。首相をはじめ与党議員らが明確な基準もなく後援会関係者を招いていたのを認めた形だ。
 八日の参院予算委員会で問題が指摘されて以降、野党やマスコミの調べで後援会活動そのものの会の利用が相次ぎ判明している。
 首相の地元、山口県内の後援会関係者の元には例年、安倍事務所から桜を見る会とともに東京都内観光への参加を募る文書が送られ、申し込むと内閣府から桜を見る会への招待状が届く仕組みだったという。同時に首相後援会主催の前夜祭の案内もあった。
 申込書には住所や氏名を書くだけで、用紙をコピーすれば後援会とは無関係の人を誘うことができたとの証言も。驚くばかりだ。
 首相は予算委で「招待者の取りまとめには関与していない」と述べたが、自身の事務所による募集までは否定できまい。公的行事の私物化は、公選法や財政法違反以前に重大な政治倫理違反である。
 首相自ら、過ちを認めた上で謝罪と反省をまず語るべきだ。
 桜を見る会とは別に、前夜祭を巡る疑惑が残る。会費に関して首相は、参加者が会場のホテルへ支払ったとするが不自然だ。後援会が受け付けたとの報道もある。前夜祭について首相側の政治資金収支報告書には記載がない。会費より飲食費が上回っていた場合、買収に当たる可能性もある。
 この件で法令違反に問われるようなら、首相にはその座にとどまる資格があるのか。桜を見る会の中止で幕引きは許されない。疑惑解明の始まりにすぎない。

【赤旗】10月29日~11月2日 消費税減税・廃止へ 疑問に答えます(連載―1回目は前週掲載)
(2)いったい何に使われてきたの?大企業減税の穴埋めに
 消費税は大企業と富裕層への減税の「穴埋め」に使われてきたのが実態です。
 1989年4月に3%の税率で消費税が導入されて31年、税率は5%(97年4月)、8%(2014年4月)、10%(今年10月)と段階的に引き上げられました。この間、国民から搾り取られた消費税収は397兆円に上ります。一方、それとほぼ同じ期間に、法人3税(法人税=国税、法人住民税・法人事業税=地方税)は298兆円、所得税・住民税は275兆円の減収です。
 法人3税や所得税・住民税が減収となったのは、消費税率引き上げのたびに起きる消費不況によって税収が減ったことが一因です。同時に、減税が繰り返されてきた影響も大きく受けています。消費税が導入される前の88年度、法人税率(国税)は42%でした。しかし現在は23・2%まで下がっています。法人税率の引き下げは、税引き前純利益が多額の大企業ほど恩恵を受けます。
 88年度の最高税率は所得税60%、住民税16%でした。しかし現在は、所得税の最高税率は45%、住民税は所得にかかわらず一律10%です。全体として所得の高い富裕層ほど減税の恩恵を受けています。
 消費税31年の実績で、弱者から吸い上げ、大企業と富裕層を潤す消費税の正体がいよいよ明らかになっています。(つづく)
(3)なぜ8%でなく5%か?家計応援へ希望示す
 2014年4月に消費税率を8%に引き上げたこと自体が重大な失政だったからです。8%、10%と、2度も消費税を増税した内閣は安倍晋三政権が初めてです。合計13兆円もの大増税です。
 8%増税から5年半たっても家計消費は回復するどころか、増税前に比べて年20万円以上も落ち込んでいます。働く人の実質賃金も年15万円下がり、いまだに深刻な消費不況が続いています。
 1989年の消費税導入とその後の度重なる増税は、国民の暮らしと日本経済を破壊し、日本を「成長できない国」にしてしまいました。それをさらに深刻にしたのが8%増税です。10%への増税は失政の上に失政を重ねた暴挙です。経済や景気、暮らしを回復するために消費税を緊急に5%に減税し、安倍政権の二重の失政を正すことこそ、いま政治が実行すべき政策です。
 個人消費は国内総生産(GDP)の6割近くを占める“経済の主役”です。消費を回復することなしに経済成長もありません。長期にわたる日本経済の低迷を打開するために、政治が「消費税率5%への減税」という思い切った家計応援の希望あるメッセージを発することが何よりも必要です。(つづく)
(4)5%減税で、社会保障財源が心配だけど?大企業優遇税制見直し確保
 財源というなら、まず「大企業と富裕層優遇の不公平税制を正し、応分の負担を」と日本共産党は提案しています。
 大企業は、安倍政権のもと、史上空前のもうけをあげ、内部留保を333兆円から449兆円へと積み増しています。ところが、もうけにふさわしい税金を払っていません。中小企業の法人税負担率18%に対し大企業は10%。研究開発減税など大企業しか使えない優遇税制のおかげです。この大企業優遇の不公平税制を安倍政権前に戻せば、6~7兆円の財源が生まれてきます。
 超富裕層のもうけも史上空前です。保有株式の時価総額1000億円以上の超大株主は、安倍政権のもとで12人から58人に増え、保有総額は3・5兆円から17・6兆円へと急増しました。ところが、株取引にかかる税金が特別に軽いため、所得が1億円を超える富裕層への税負担が逆に軽くなっているのです。この優遇税制も是正し、最高税率を引き上げれば3兆円程度の財源が出てきます。
 あわせて日本共産党は、「無駄遣いを一掃しよう」と提案しています。トランプ大統領言いなりの米国製武器の「爆買い」をやめる、払う義務のない米軍への「思いやり予算」をやめる、サンゴの美しい海をつぶす沖縄県名護市辺野古への新基地建設を中止する、原発推進の予算を見直す―一掃すべき無駄遣いはたくさんあります。
 空前のもうけをあげているところに応分の負担を求め、無駄遣いを一掃し、消費税を減税するべきです。(つづく)
(5)5%への減税だけで景気はよくなるの?「三つのプラン」と一体で
 日本を“経済成長できない国”にしてしまった大きな要因の一つが消費税の導入と度重なる税率アップでした。国民の暮らしと中小企業の営業を壊し、家計消費を落ち込ませてしまったからです。
 消費税を5%に減税することは、経済・景気・暮らしを回復するうえでもっとも重要な対策になります。
 同時に日本共産党は、賃金を引き上げてくらしを応援する「暮らしに希望を―三つのプラン」を掲げています。「三つのプラン」とは(1)8時間働けばふつうに暮らせる社会(2)くらしを応援する社会保障(3)お金の心配なく学び、子育てができる社会です。
 具体的には、▽最低賃金を全国どこでもただちに時給1000円にして1500円をめざす▽そのための中小企業支援を1000倍に増やす▽「減らない年金」を実現する▽国保料(税)の大幅値下げをはかる▽大学・専門学校の授業料を半額にする▽学校給食の無償化など義務教育の完全無償化を実現する▽認可保育園を30万人分増やす―などです。
 大企業と富裕層に応分の負担を求め、消費税減税と一体で「三つのプラン」を進めれば、国民の所得が増えて暮らしが安定し、家計消費が上向いて経済の好循環が始まります。経済が健全な成長の軌道にのれば税収が増え、消費税減税と暮らし応援のための財源が拡大します。こうして日本経済の主役である家計を温める政策を進めれば、経済と財政の好循環が生まれるのです。(つづく)
(6)本当に5%への引き下げができるの?共闘の力で道を開く
 消費税を減税するかどうかは、政権の姿勢の問題です。
 安倍首相は、日本共産党の志位和夫委員長が衆院本会議の代表質問で求めた「消費税の5%への減税」要求に対し、「減税はまったく考えていない」と拒否しました。
 しかし、消費税5%減税の財源は、これまでみたように大企業と富裕層に応分の負担を求め、無駄遣いを一掃することなどを中心にすえた税財政改革を行えば賄えます。
 この立場から、野党が「5%への減税」を掲げて政権交代を実現すれば、税率引き下げは可能です。
 野党は7月の参院選の共通政策で「消費税10%への引き上げ中止」を公約にたたかいました。10%増税が強行されたもとで、共通政策を土台に消費税減税に向けた野党の協議を開始し、共闘のさらなる発展が必要です。日本共産党は5%減税が野党の共通政策となるよう努力しています。
 いま多くの団体が5%への減税を求めており、日本共産党の提案はその願いとも合致します。政党の間では、税制に対する考えの違いはあっても、消費税減税・廃止を求める政党も出てきており、消費税減税を求める政党・団体・個人が力を合わせて、安倍政権を追い詰めていけば、道は開けます。(おわり)