国民世論にこたえ増税中止を

2019年8月10日

【赤旗】8月1日<主張>10%強行前2カ月―国民世論にこたえ増税中止を
 安倍晋三政権が固執する10月1日からの消費税率の10%への引き上げまで、あと2カ月となりました。
 安倍首相や麻生太郎副総理・財務相は、参院選後のインタビューや記者会見で、選挙で増税も「信任を得た」と言い張り、予定通り10月から実施する姿勢を変えません。しかし、参院選の結果では増税を正当化できません。投票日のNHKの出口調査では、増税「反対」が6割近くに上りました。だいたい消費の低迷が続き、景気も悪化する中での増税は、暮らしも経済も破滅させます。消費税の増税中止こそ必要です。
▼「反対」の声は多数
 消費税率の引き上げが強行されれば、2014年4月に安倍政権が5%から8%に引き上げてから、5年半ぶりとなります。
 増税に反対する国民の意思は、参院選後のマスメディアの世論調査でも、明確に示されています。消費税の増税「反対」は、「読売」(24日付)で52%、共同通信(「東京」24日付など)で52%、「日経」(29日付)で50%と、いずれも「賛成」を上回っています。参院選で信任されたなどという、安倍政権の言い分は通用しません。
 経済情勢も増税できる状況ではありません。安倍政権が14年4月に消費税を増税してから長期にわたって消費は冷え込んだままです。最近では中国経済の減速や米中貿易戦争による輸出減少が、ますますあらわになっています。
 23日公表された政府の7月の月例経済報告は、「景気は、輸出を中心に弱さが続いている」と認めています。国際通貨基金(IMF)が同日発表した世界経済見通しの改定版でも、19年の世界経済の成長率予想は3・2%で4月より0・1%下方修正、日本については0・1%下げ0・9%としました。景気後退の現実は隠せません。
 1989年4月に3%で導入された消費税は、その後の30年間に5%、8%と引き上げられてきました。しかし、その時はいずれも今回のような深刻な経済状況ではありませんでした。安倍政権が15年10月に予定した10%への引き上げを2回にわたり延期した時よりも、経済悪化はさらに鮮明になっています。この中での消費税の増税は、無謀というほかありません。
 安倍首相は参院選後の記者会見でも、キャッシュレス取引でのポイント還元やプレミアム付き商品券の発行などの「対策」を講じ、景気の下振れリスクには「躊躇(ちゅうちょ)することなく、機動的かつ万全の対策」をとると主張します。本末転倒の「対策」に巨費を投じるくらいなら、増税をやめるべきです。
▼混乱拡大の「万全」の対策
 消費税の増税に伴う「対策」は、制度を複雑にするだけで、国民の負担を軽くするわけではありません。増税後の消費税の税率は買う場所、買うもの、買う方法によって5通りにもなります。しかもポイント還元実施の対象になる中小業者は数百万店あるのに、これまで登録申請したのは10万店程度とされています。手間も費用もかかるからで、ポイント還元できない店が続出するのは必至です。
 混乱を拡大し、景気を悪化させるだけの消費税の増税に一片の道理もありません。「消費税に頼らない別の道」で財源を確保し、国民の暮らしを応援し、日本経済を再生させることが求められます。

【日刊大衆】8月5日 安倍晋三政権「庶民殺し」悪夢の愚策が、参議院議員選挙に噴出!
「先の参議院議員選挙で、連立を組む自民党、公明党が獲得した議席は71。改選前の77からは6議席減らしましたが、過半数は確保。これで安倍政権は、これまで以上にゴリ押し政治を進めると思いますよ」(全国紙政治部記者)
 さっそく麻生太郎財務相兼金融担当相は、23日の記者会見で「消費税の引き上げは信任をいただいた」と10月の消費税増税を予定通り実施する意向を表明した。「参院選で連立与党は過半数を確保。消費増税は認めていないといった声も飛んでいますが、もう後の祭り。消費税が10%に上がるのは避けられないでしょう」(前出の政治部記者)
 それどころか、財務省は麻生大臣に「毎年1%ずつ上げましょう」と指南しているという話もある。「当然、そんなことをすれば政権が維持できませんが、でも2030年、気がつけば結局、財務省の思惑通り、消費税が20%になっているという可能性はありますよ」(夕刊紙記者)
 一部の試算では、年収400〜500万円の家庭で、消費税が8%から10%に上がると、家計負担はさらに年間4万5000円増えるという。「年金額の減少も必至。政府は明らかに参院選のために、現在の年金状況が分かる5年に1度の財政年金検証の発表を遅らせました。発表は8月下旬とのことですが、前回の14年は6月に、前々回の9年は2月に発表していますからね。当然、厳しい数値が出ているからでしょう」(前同)
 今、囁かれるのは、「財政検証の厳しい結果を発表し、政府が年金支給開始年齢を70歳に引き上げる方針を固めること。当然、そのときは支給額も減少しているでしょう」(同)
 消費増税に年金ダウン。お先真っ暗な老後のために、現役時代にバリバリ働いて稼ごうとしても、今度は「働き方改革」が振りかかる。社会保険労務士で給与コンサルタントとして著書も多い北見昌朗氏は、こう言う。「昨年6月に成立した働き方改革関連法が、先の4月1日から大企業に適用されています。中小企業は来年4月からの適用になりますが、私の調査データでは中小企業でも、すでに実質的に始まっていますよ」
 働き方改革は、企業が残業時間を年間360時間、月間30時間以内にすることを徹底していくことだが、「これまで60時間残業していた人が、30時間になれば、手取りは月5万円程度、年間にすれば60万円ほど下がります。消費増税もあり、一般家庭は生活防衛をしていくしかない。当然、消費は冷え込み、景気も衰退していくでしょう」(前同)
 勝てば官軍――安倍政権は庶民を殺すつもりか!?