「“報告書ないことに”開いた口がふさがらない

2019年6月22日

【赤旗日曜版】6月23日 マクロ経済スライド(解説)
 年金額はもともと①初めて受け取る人は賃金の伸び率②すでに受け取っている人は物価(物価上昇より賃金上昇が低いときは賃金)の伸び率―に合わせて改定されていましたo
 マクロ経済スライドは、物価・賃金が上がっても年金額を上げない仕組みです。具体的には、元の改定率から「スライド調整率」を差し引き、年金水準を下げます。スライド調整率は年金加入者数や平均余命の延びなどから計算します。
 安倍政権は16年に「年金カット法」を強行。物価や賃金の上昇率が低く、その年度にスライド調整率を差し引けない場合も、次年度以降に繰り越して確実に年金肖リ減をできるようにしました。
 19年度の年金額は、物価が1.0%増、賃金が0.%増のため、年金は0.6%増が基準になります。
 この0.6%からスライド調整率0.2%が差し引かれます。
 さらに18年度から繰り越された調整率0.3%を差し引きます。(ここが年金カット法で強化された部分)
 その結果、年金額は0.1%増。しかし物価はl.0%増なので実質0.9%の削減ですo

【赤旗日曜版】6月23日 「“報告書ないことに”開いた口がふさがらない」経済ジャーナリスト 荻原博子さんに聞く
▼金融庁報告書
 金融庁の報告書の内容は政府が出してもらいたかったものです。国民の批判が高まると麻生太郎金融担当相は突然、「政府の政策スタンスと違う」と言いだし報告書を受け取らない。自民党も「辨堅目書はもう(存在し)ない」(森山裕国対委員長)と報告書そのものを無かったことにしようとしています。あまりにもご都合主義で開いた口がふさがりません。報告書作成にかかわった知人の金融審議会メンバーも怒っています。
 報告書は、国民に重大な問題を突きつけています。国民が受け取る年金額は年々削られ、たとえ厚生年金であっても年金だけでは生活できなくなっているという事実を示しているからです。
 政府は年金制度を「100年安心」といって宣伝してきましたが、実際は制度が維持されるにすぎません。「安心」とは政府の安心であり、国民の「安心」ではないことが報告書で明らかになりました。
 報告書では、年金の不足を補てんするため国民に投資を勧めています。しかし投資には元本割れして損をするリスクがあります。金融庁自身も投資信託を買って運用した個人の46%損をしたと認めています。こうした実態があるにもかかわらず金融庁、さらには自民党が参院選公約で投資をあおる姿勢は問題です。
 年金がどうなるのかは国民の重大関心事です。6月中に発表予定とされていた公的年金の財政検証の公表をはじめ、政府は国民にしっかり説明する責任があります。(聞き手・矢守一英記者) 

【日刊ゲンダイDIGITAL】6月17日 年金不信と老後不安が浮き彫りに…安倍内閣“不支持”も急増
 最新の各マスコミの世論調査で、有権者の大多数が年金制度に不信感を抱き、老後に不安を抱えていることが、改めて浮き彫りに。安倍内閣の不支持率も急増だ。
 共同通信社の調査によると、95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要と試算した金融庁金融審議会の報告書を巡り、麻生太郎金融担当相が受け取り拒否を表明したことについて「問題だ」が71.3%に上り、「問題ではない」の19.1%を大きく上回った。公的年金制度について「信頼できない」が63.8%で、「信頼できる」は28.2%にとどまった。「老後の生活に経済的な不安があるか」には「ある」が74.3%、「ない」は22.7%だった。
 安倍内閣の支持率は前回5月調査から2.9ポイント減の47.6%で、不支持率は1.9ポイント増の38・1%だった。
 毎日新聞の調査でも、麻生氏の報告書受け取り拒否について「納得できない」が68%に上っている。公的年金制度について「老後の生活の柱として頼りになると思うか」には「頼りになると思う」は31%にとどまり、「頼りになるとは思わない」は57%に達した。内閣支持率は前回5月調査より3ポイント減の40%、不支持率は6ポイント増の37%。支持・不支持が拮抗している。