八方ふさがりの消費税増税の中止は、待ったなし

2019年4月13日

【REUTERS】4月10日 消費増税は予定通り実施、決断表明の首相会見など予定していない=麻生財務相
[東京 10日 ロイター]―麻生太郎財務相は10日の衆議院財務金融委員会で、10月の消費税率の引き上げは「法律で決められており、予定通り実行させていただく」とし、安倍晋三首相が増税実施の決断を表明する記者会見などは「予定していない」と語った。末松義規委員(立憲)への答弁。
 また、黒田東彦日銀総裁は、物価目標を2%に設定していることについて「統計上のバイアスや政策対応力の確保を考慮し、小幅のプラスの物価上昇率を目指すことが重要と考えている」とし、「そのうえで、グローバルスタンダードである2%の物価安定目標を目指していくことは、長い目でみた為替レートの安定にも資する」と述べた。
 日銀として「単に物価だけが上昇すればよいとは考えていない」とし、「あくまでも企業収益や雇用、賃金の増加とともに、物価上昇率が緩やかに高まっていく経済を目指している」と語った。

【赤旗】4月12日海外投資家の日本株売り―日銀 同額買い支え 通貨信用揺るがす
=株価つり上げ政策下
 2018年度に海外投資家が日本株を売った分、日銀が株式市場にほぼ同額を投資し、株価を支えていた異常事態がわかりました。
 東京証券取引所によると、海外投資家が18年度に売った株式は買った株を5兆6314億円上回る「売り越し」(売った株の方が多いこと)でした。第2次安倍晋三政権下で日銀が大規模な金融緩和を行い、株価つり上げ政策に乗り出して以来最大の売り越し。米中貿易摩擦の激化、英国の欧州連合(EU)離脱問題など世界経済への不安を背景に海外投資家が日本の株式市場から資金を引き揚げています。
 これに対し、日銀は株価指数連動型上場投資信託(ETF)を18年度に5兆6531億円買いました。海外勢の売り越し分とほぼ同額です。ETFはいくつもの大企業の株式銘柄を組み入れた金融商品です。安倍政権下で日銀は、ETFを買うことによって間接的に大企業の株を買い、株価をつり上げてきました。日銀が巨額の下支えをしたことで、海外投資家は株価が暴落する心配なく、安心して保有株を売ることができました。
 現在、日銀は年6兆円のペースでETFを買っています。3月末時点での保有額(額面)は約25兆円。時価は推計で約28兆円にのぼり、東証1部の時価総額の5%近くを占めます。
 日銀の雨宮正佳副総裁は3月、参院財政金融委員会で、日経平均株価が1万8000円程度を下回ると日銀が保有するETFの時価が簿価を割る可能性があるとの試算を示しました。
 通貨の安定を使命とする日銀が安倍政権の株価つり上げ政策の道具となっていることで、日銀は資産を損ない、通貨の信用を揺るがす危険を抱え込んでいます。

【赤旗】4月6日〈主張〉経済情勢悪化―消費税増税などとんでもない
 経済情勢の悪化が、いよいよ鮮明になってきました。
 日本銀行が1日発表した短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業で7ポイントの低下、中堅企業や中小企業でも下がりました。5日発表の総務省の2月の家計調査報告や、厚生労働省の同月の毎月勤労統計調査でも、消費や所得の伸び悩みが浮き彫りです。2014年4月の消費税増税以来の消費の冷え込みが続いているうえに、米中の貿易摩擦やイギリスの欧州連合(EU)離脱の影響を受けた輸出の不振が、日本経済を揺さぶっています。
=安倍政権下で最大の悪化
 日銀短観のDIは、「良い」と回答した企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて算出します。調査対象企業が多く、発表も早いことから、注目されている経済指標です。
 今回の短観は3月の調査で、DIは大企業製造業でプラス12と、前回調査の昨年12月のプラス19から7ポイントも悪化しました。2四半期ぶりの悪化です。下げ幅は安倍晋三首相の政権復帰直前の12年12月調査の9ポイント以来、6年3カ月ぶりの大きさです。第2次安倍政権発足後では、最大の低下です。
 中堅企業製造業も10ポイント、中小企業製造業も8ポイント、それぞれ下がりました。とりわけ中小企業製造業は、東日本大震災直後の11年6月の11ポイント低下以来の大きさです。
 3カ月後の予測でも、大企業製造業はさらに4ポイント下がり、中小企業製造業は8ポイント低下すると見込むなど、景況感の悪化は明白です。
 家計調査報告(2人以上世帯)では、勤労者世帯の消費支出が1年前に比べてわずか実質1・9%の増加、毎月勤労統計調査では、実質賃金が2カ月連続で1年前と比べ1・1%減少と、消費と所得の低迷は隠しようがありません。
 政権復帰から「戦後最長」の景気回復だと自慢してきた安倍政権も、最近では「下方への局面変化」(内閣府の景気動向指数)だとか、「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」(政府の3月の月例経済報告)と認めざるを得ません。帝国データバンクの景気動向調査でも、4カ月連続の悪化となりました。
 こうした経済情勢の中で消費税の増税を強行すれば、暮らしも経済も破綻するのは目に見えています。安倍首相は、「リーマン・ショック級」の出来事がない限り、予定通り増税すると言い張っています。しかし、低所得者ほど負担が重い消費税を増税すれば、さらに消費が落ち込み、経済に打撃になるのは明らかです。どんなに「十二分の対策」をとっても、その悪影響は消せません。
=相次ぐ増税中止求める声
 経済情勢の悪化が鮮明になる中で、国民だけでなく、企業や政府の関係者からも、消費税の増税中止を求める声が相次いでいます。
 3月半ばに開かれた日銀の金融政策決定会合で、「消費税増税が消費に悪影響を与えるリスク」「消費税率引き上げの影響次第では、景気後退への動きが強まっていく可能性」との指摘が続いたことも、深刻に受け止めるべきです。
 八方ふさがりの消費税増税の中止は、待ったなしです。統一地方選と参院選で安倍政権に厳しい審判を下し、退陣に追い込むことが必要です。