消費増税の一方で自動車減税-自動車業界自民に献金3億円

2018年12月22日

【赤旗日曜版】12月23日 〈経済―これって何?〉消費増税の一方で自動車減税
 11月末に公表された昨年の政治資金収支報告書の特徴の一つは、自民党の収入が前年比17億円増え(総額258億円)そのけん引車となったのが、自動車業界だということでした。
 献金の動機は政権党に業界の要求をのませることにあります。一例が、自動車の売り上げに直結する税の大幅減免です。自動車の税金は自動車税、自動車取得税、自動車重量税の三つです。14曰に発表された与党の来年度税制大綱には、このうち毎年所有者が納める自動車税の恒久的な減税が盛り込まれました。
 自動車税(地方税)は自家用車の場合、排気量15㍑まで2万9500円、15㍑まで3万4500円、2㍑まで3万9500円(いずれも年額)です。それを来年10月以降の新規登録車から3500~4500円減税しようというのが政府・与党の考えです。ユーザーには一見「ありがたいこと」のようですが、ちよっと立ち止まって考えてみましょう。
 今も自動車の税金は大幅に減免されています。トヨタのハイブリッド(HV)車「シエンタ」(1.5㍑・約235万円)を例にとると、自動車取得税5万8500円と自動車重量税2万2500円が「エコカー減税」によりゼロに。3万4500円の自動車税も「グリーン化特例」で約6600円に。現行でも、新車購入時に合計約10万7千円も減免される仕組みです。(埼玉県内のトヨタ販売店の試算)
 日産が2018年上半期の新車登録台数ナンバーワンを誇るHV車「ノートeーPOWER」の場合、税の減免額は合計約10万円。大ざっぱな計算ですが、上半期の「ノート」登録台数7万3380台×10万円で、半年で減免総額は73億円を超えます。税の減免は例示した車に限らず、高級車を含む各社のHV車などに所得の制限なく適用されるのです。
 こうした優遇税制の導入には以下のような事情がありました。08年、米証券大手のリーマン・プラザーズの破綻をきっかけに、金融・経済危機が世界に拡大。海外市場に頼っていた曰本の自動車大手も苦境に陥りました。輸出に不利な円高も加わって、自動車大手の連結決算が軒並み赤字に。業界が働きかけた結果、自公政権の下で実現したのがエコカー減税でした。
 エコカー減税は「3年間の時限的措置」のはずでしたが、すでに9年を超えました。今後、エコカー減税は対象車を絞り込んで縮小されますが、「グリーン化特例」は21年3月末までは現状のまま続行されます。自動車業界としては、自動車税の減税分とともに、消費税増税による打撃を緩和できるというわけです。
 自民党の政治資金を扱う国民政治協会への自動車業界の献金は、10社で3億円余です。来秋に消費税を10%に増税する一方で、自動車税の減税規模は平年度で1320億円。政治献金の400倍以上の減税がなされようとしています。この対比を直視することが必要ではないでしょうか。阿部芳郎(あく・よしろう ジャーナリスト)

【毎日新聞】12月16日 内閣支持率37%、不支持率40% 2カ月ぶり逆転 毎日新聞世論調査
 毎日新聞が15、16両日に実施した全国世論調査で、安倍内閣の支持率は11月の前回調査から4ポイント減の37%だった。不支持率は同2ポイント増の40%で、2カ月ぶりに不支持が支持を逆転した。
 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法が臨時国会で成立したことについて「評価しない」と答えた人が55%と半数を超え、「評価する」は30%にとどまった。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、政府が辺野古沿岸部への土砂投入を始めたことに対しては「反対」が56%で、「賛成」は27%だった。
 調査の方法 15、16日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った固定電話と携帯電話の番号に調査員が電話をかけるRDS法で調査した。固定では、福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号を除いた。固定は18歳以上の有権者のいる834世帯から506人の回答を得た。回答率61%。携帯は18歳以上につながった番号638件から511人の回答を得た。回答率80%。

【AERA dot.】古賀茂明「安倍総理が崩壊させた官僚機構を再生できるリーダーとは?」
 2018年、平成30年もいよいよ残すところ2週間となった。この一年を表す漢字として「災」が選ばれたというニュースがあったが、これは政治の世界にも当てはまる。
 とりわけ、最近目立っているのが、官僚が国民を騙す事件が多発していることだ。本来、国民のために働くはずの官僚たちが、安倍晋三総理の意向を忖度して、国民を欺くというのは国民にとっては、想定外の「災い」である。
 さらにこの一年に限ってみると、官僚の国民を騙すやり方がかなり「悪質化」してきている。官僚機構の劣化は第二段階に入ったと見てよいのではないだろうか。
 例えば、森友・加計事件の時の佐川宣寿元理財局長や柳瀬唯夫元総理秘書官の「虚偽答弁」のケースは、安倍総理の進退に関わる案件について、官僚たちが本意ではないが、やむにやまれず追い込まれて行った不正という性格が強い。これが官僚機構劣化の第一段階である。
 これに比べて、働き方改革法案や外国人労働者受け入れ拡大法案などをめぐるデータ捏造を見ていると、むしろ、安倍政権から見れば、「なんでそんな馬鹿なことをしてくれたの?」と言いたくなるようなお粗末な不正である。これは、官僚の側が自ら「ワル知恵」を出して安倍政権に媚びる「忖度競争」の結果、「悪貨が良貨を駆逐する」現象が生じていることを示している。そして、その先には恐ろしい事態が待っている。(以下略)