矛盾だらけの軽減税率

2018年8月11日

【日本経済新聞】8月5日 軽減税率、悩むスーパー
店内飲食・持ち帰りで違い
 2019年10月に予定される消費税率引き上げまで1年余りとなり、小売業界が軽減税率制度への準備を本格化してきた。食料品を持ち帰るか店内で食べるかで顧客が払う消費税率が異なるので、スーパーのレジ精算などに混乱が懸念されるためだ。イートイン専用レジなど対策を練るものの妙案は乏しく、財務省は本体価格を調整して税込み価格を一つにそろえる「疑似一物一価」ともいえる価格設定を小売店に推奨している。
財務省「税込み価格同じに」
 (略)
 難しいのは客が多く購入点数も多いスーパーだ。たばこや酒を買うときの年齢確認のように、レジを通す食料品1つ1つについて「店内で食べますか」と客に確認していたら、精算作業が滞り、レジが渋滞しかねない。
 このため財務省はレジ付近に「店内で食べる方は申し出て下さい」などとステッカーやのぼりで掲示していれば「適宜の方法」で意思確認したとみなす方針だ。店の事務負担やレジの混雑緩和にも配慮する。
 ただ税負担を嫌って申告せずに店内で飲食する人が出てくる可能性もある。コンビニと異なり、スーパーのイートインコーナーはレジから離れていることも多い。客が頭告したとおりに持ち帰っているかを店側が確認することは容易ではない。
 (略)
 混乱を防ぐ対策として財務省が小売店側に推奨しているのが「疑似一物一価」ともいえる仕組みだ。イートインと持ち帰りで選択が分かれやすい商品は本体価格を調整し、どこで食べても顧客が払う税込み価格が同じになるように設定する。
 (以下略)

よくわかる軽減税率_ページ_16-2
国税庁発行のリーフレット「よくわかる 消費税 軽減税率制度」16ページに掲載された解説図

【赤旗】8月8日 公的マネー投入 株価つり上げに66兆5000億円―アベノミクス 異常事態
 アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)によって国内株式市場に投入されている公的資金の時価総額が6月末時点で66兆5000億円に達していることが7日までにわかりました。東証1部の時価総額に占める比率も3月末時点の10・0%程度から10・3%程度に増えています。国内株の1割を公的資金が占め、株価をつり上げる異常事態です。「赤旗」の集計でわかりました。
 株式を買い入れている公的資金は、日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。
 日銀は年6兆円のペースで株価指数連動型上場投資信託(ETF)を買い入れています。4月は株価が上昇基調だったため、日銀のETF購入はそれほど多くありませんでしたが、6月には株価が低迷。これを買い支えるために6月後半の2週間では10営業日のうち9営業日で日銀が買いに入るなど、大量のETF購入が行われました。この結果、6月末時点で26兆円以上の水準に達したと推計されます。
 一方、GPIFについては3日に4~6月期の運用状況が発表されています。これによると少なくとも3月末時点の保有株式を維持し、保有総額は3500億円程度、増やしていると考えられます。
 以上を踏まえると6月末時点で株式市場に投入されている公的マネーはGPIF40兆4000億円程度、日銀26兆1000億円程度と推計されます。公的マネーのほとんどは東証1部上場企業に向けられています。東証1部の時価総額の1割以上が公的マネーで占められていると推計されます。
 公的マネーが「筆頭株主」となっている企業は東証1部上場企業全体では3月末より12社増え、722社となっています。GPIFが単独で筆頭株主となっている企業が6社減となる一方で、日銀単独で筆頭株主となっている企業は7社増えました。