色あせたトランプ―安倍「蜜月」の内実

2018年4月21日

【東洋経済オンライン】4月20日 「朝貢」を求められた日米首脳会談の顛末 色あせたトランプ―安倍「蜜月」の内実
 安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領が、米フロリダ州のマー・ア・ラーゴの美しい部屋で開いた4月18日夜(日本時間19日朝)の共同記者会見でのやりとりは、「蜜月」だったはずの両首脳の今の関係を、如実に示すものだった。
 日本政府側は両首脳の「友情」をテコに、トランプ政権が鉄鋼・アルミの輸入品に課し始めた緊急追加関税で、日本を除外してもらうことに淡い期待を抱いていた。ところが、除外の求めに対してトランプ大統領が突きつけたのは、対日貿易赤字を縮小するための「新たなディール(取引)」。トランプ政権が突然打ち出した不当な施策で適用から除外してもらうためには、日本側は、貿易赤字を減らすための「土産」を差し出さなければならないことを意味するものだった。対等で蜜月だったはずの「シンゾーとドナルド」の関係は、米国から日本がいわば「朝貢」を求められる関係に変質しつつある。
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― 弱腰で正論を言えなかった安倍政権
 EUや各国は、米国の不当な施策に対して正論を真っ向から立ち向かい、対抗措置をとる可能性をすぐに打ち出したといえる。
 これに対し、日本の安倍政権は弱腰だった。菅義偉官房長官や、世耕弘成経済産業相が遺憾の意を示したものの、世耕氏は「日本からの鉄鋼やアルミの輸入は米国の安全保障に悪影響を与えることはなんらない」と訴え、日本を適用除外としてもらえるよう働きかけるばかりだった。日本政府は、トランプ政権の鉄鋼・アルミ関税という不当な保護主義政策に正面から抗議することなく、ただひたすら「日本は除外してほしい」と繰り返していた。
 (略)
 2017年11月に、筆者が「トランプ-安倍会談に見た蜜月の微妙なズレ」で書いたように、米メディアは「トランプ-安倍」間が上下関係のような状態になっていることに注目しており、今回の首脳会談でそうした点が一層鮮明になったと思う。
 トランプ大統領は、日本との交渉期間について「短期間のうちに」とも語っており、今後、米国で11月に実施される中間選挙に向け、米国から日本に譲歩を求める圧力は強まるおそれがある。
 EUなどと比較して、日本にまず欠けているのは、米国が不当な施策をとってきたときに、つながりが深い同盟国として、「不当だ」と正面から言える態度だと思う。EUはそうした毅然とした態度を通じて、譲歩を迫られることもなく、鉄鋼・アルミ関税については適用除外になった。
 日本は、首脳間の「蜜月」の幻想が揺らぐなかで、このままでは米国の「不当な要求や措置」の適用を除外してもらうために、本来必要ないはずの譲歩策の提示を何度も迫られ、なんども土産を持っていかざるを得なくなる「朝貢」外交を余儀なくされるおそれがある。
 EUなど各国のように、日本も米国に対して毅然と正論をぶつけることができるのかどうかは今後、日米貿易交渉を左右する重要な要素の一つになるのではないか。そのときに、トランプ大統領と安倍首相の信頼関係がどこまで本当に深いものなのかが、試されることになると思う。(尾形 聡彦)

【赤旗】大企業ほど税負担低く―「赤旗」が集計
 企業が実質的に負担する法人税率の規模間格差が2016年度にさらに広がっていることがわかりました。
 国税庁が発表した16年度の会社標本調査(「税務統計からみた法人企業の実態」)から本紙(「赤旗})で集計。16年度の場合。資本金1億円以下の小規模企業の負担率が18・1%なのに対して。資本金100億円超の企業は12・4%でした。連結納税法人に至っては5・2%にすぎません。資本金10億円超の企業と連結納税法人を合わせた大企業全体では10・4%でした。
 (以下略)