17年の富、1%の富裕層が8割強を独占
【CNN】2017年の富、1%の富裕層が8割強を独占 オックスファム
ロンドン(CNNMoney) 2017年は新たに生じた富のうち82%を世界の1%の富裕層が独占し、世界の人口の50%は財産が増えなかった――。国際非政府組織(NGO)オックスファム・インターナショナルがこのほどまとめた報告書で、そんな推計を明らかにした。
世界経済は富裕層に有利になるようゆがめられ、労働よりも富が報いられる傾向があるとオックスファムは指摘し、「億万長者ブームは経済繁栄の証しではなく、失敗している経済体制の症状だ」と述べている。
今回の報告書は、ダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を前に、クレディ・スイスの統計をもとにまとめられた。
報告書では性別格差の悪影響にもスポットを当て、男性の方が女性よりも土地や株式などの資産を多く持つ現状を浮き彫りにしている。
格差拡大は長年にわたり、ダボス会議のテーマだった。しかしオックスファムは、「格差についての懸念を口にしない政治家や経営者を見つけるのは難しい。だがそれについて行動を起こしている政治家や経営者を見つけるのはもっと難しい」と指摘。「多くは減税と労働者の権利の剥奪(はくだつ)によって、積極的に事態を悪化させている」と述べ、政府は富の公正な配分と労働者の権利向上につながる政策に重点を置く必要があると訴えた。
【赤旗】1月24日 1%に世界の富82% オックスファム報告書 税逃れで増幅
国際援助団体オックスファムは22日、2017年に生み出された富の82%がわずか1%の超富裕層のポケットに入り、下位50%の37億人は1円たりとも収入が増えていないと述べる報告書を公表しました。
「富裕層ではなく、労働者に報酬を」と題した報告書は、スイスのダボスで世界的大企業のトップが集まる世界経済フォーラムに先立って公表されました。“貧富の格差拡大は良くない”と言いながらも、行動しない各国の指導者やビジネスリーダーを批判しています。
報告書は、世界の2043人の超富豪が17年に得たのは、7620億ドル(約84兆5820億円)で「史上最大」だと指摘。この7分の1の金額で、1日約210円で生活する「絶対的貧困」人口を解消できるとしています。
超富豪42人の資産は、下位37億人の資産と同じだとしています。わずか1%の超富豪の資産は、残りの99%の資産よりも多くなっています。報告書は、超富豪の富は“汗水たらして稼いだもの”ではないと指摘。「3分の2の資産は、相続、独占または縁故主義の結果」だとしています。
また超富豪の資産は租税回避地を経由する「税逃れによって増幅している」と指摘。「上位1%の税逃れは2000億ドル(約22兆2000億円)にのぼる」とする経済学者の試算を紹介しました。
報告書は、格差拡大の解消のために、「生活できる賃金」や「ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を労働者に保障する重要性を強調。富裕層に対しては、税逃れを許さない仕組みをつくり、応分の負担を求めるとともに、教育や社会保障分野への歳出を政府が増やし、再分配機能を強めるよう求めました。
【毎日新聞】1月27日 年金額据え置き:繰越制度を初適用 価値は目減り
厚生労働省が26日発表した2018年度の年金額は17年度から据え置きとなった。将来に備え、現在の年金額の伸び幅を抑える「マクロ経済スライド」では今回、0.3%の引き下げが見込まれたが額を据え置くため実施されず、新ルールの「キャリーオーバー(繰り越し)制度」の初適用に基づき、19年度以降に持ち越された。
年金額は、物価と賃金水準に連動して毎年改定される。17年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む)は前年比プラス0.5%だったが、賃金が過去3年分の平均で0.4%マイナスだったため、ルールに基づき年金額の変動なしとした。額面は変わらないが、物価が上がっているため、年金の価値は目減りする。
18年度の国民年金は保険料を40年間払い続けた満額の人で月6万4941円、厚生年金は会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯で月22万1277円。
繰越制度は、マクロ経済スライドを確実に実施し、現在と将来の年金水準のバランスを早期にとるため、16年の年金制度改革で導入された。持ち越した0.3%分の引き下げは19年度以降の物価や賃金上昇時の改定でまとめて差し引かれる。
国民年金保険料は4月分から150円引き下げ月1万6340円、19年度は70円増の1万6410円。ひとり親家庭に支給する児童扶養手当や障害のある子どもを育てる親への特別児童扶養手当、原爆被爆者が受け取る健康管理手当など福祉手当は、物価変動に応じて4月分からそれぞれ0.5%引き上げられる。【山田泰蔵】
【赤旗】17年11月3日 政府統計にみる「中間層」の疲弊
現在、日本経済を消費低迷が襲っています。その要因の一つに、「貧困層」にも「富裕層」にも当てはまらない、「中間層」の疲弊があります。その実態を政府統計からみました。(清水渡)
「中間層」が減少しています。国税庁「民間給与実態統計調査」から、給与階級別に給与所得者数をみると、年間給与500万円超1000万円以下の層は、1999年の1954万人から2017年は1879万人へと75万人も減少しました。同1000万円超2000万円以下の層も232万人から186万人へと46万人も減少しています。この二つの層だけで120万人以上も減少したことになります。
同様の傾向は世帯収入にもあらわれています。総務省「全国消費実態調査」から年収階級ごとの世帯構成比(%)を1999年と2014年で比べました。(グラフ①)
年収1000万円以上1250万円未満の世帯は3・43㌽、同800万円以上900万円未満の世帯で1・9㌽減少するなど、400万円以上の世帯では軒並み減少しています。400万円未満の世帯が軒並み増加しているのとは対照的です。どのような世帯で年収が減少しているのでしょうか。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から1999年と2016年との世代別の賃金増減を調べました。
そもそも男女計の全世代平均で賃金は1999年の年間497万円から2016年の490万円へと7万円も減少しています。詳細にみると、男性で1999年の562万円から549万円へと13万円も落ち込みました。男性について世代別にまとめました(グラフ②)。最も落ち込んだのは35~39歳で減少額は年間53万円、続いて40~44歳の49万円、30~34歳の31万円、46~49歳の23万円でした。
「働き盛り」とされる30~40歳代で1999年以降、すさまじい賃金の切り下げが行われたことになります。経団連は10月23日に発表した政策部会報告書「個人消費低迷の分析と今後の対応」で「世帯年収の下方シフトに伴う中間層の減少」と指摘しています。
賃金が下がった要因として、非正規雇用の増加による賃金水準の低下に加え、賃上げ闘争の中で、賃金表そのものを書き換えるベースアップ(ベア)がほとんど行われてこなかったことなどがあげられます。
同時に30歳~40歳代は子育てや子どもの進学などにかかわる人が多く、住宅取得等も視野に入れるなど最も消費が増えがちな世代です。こうした世代での賃金減少が消費不況に大きな影響を与えているのです。