生活保護費引き下げの一方で、大企業 内部留保413兆円に

2017年12月16日

【朝日新聞】12月14日 生活保護費引き下げへ 都内4人世帯で13%減の試算も
 厚生労働省は14日、生活保護費のうち食費や光熱費などの生活費にあたる「生活扶助費」を、来年度から引き下げる方針を決めた。地域や世帯類型によって増える場合もあるが、都市部や多人数の世帯の多くが減る見通しだ。厚労省が8日に示した原案では減額幅は最大で1割を超す。当事者や支援団体らの反発は強く、厚労省は減額幅を縮小した上で来週に支給水準を正式に決める。
 生活扶助費の支給水準は5年に1度見直されており、この日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会が大筋で了承した。
 生活扶助費は、生活保護を受けていない一般世帯の年収下位10%層の生活費とバランスを保つように決められている。厚労省は、世帯類型ごとに一般低所得世帯と均衡する扶助額を算出。特に多人数世帯や都市部の世帯で現在支給されている扶助額が、同じ類型の一般低所得世帯の支出より高い水準になっていた。
 扶助額は地域別には6段階ある。減額幅が大きい見通しの東京23区や大阪市など上位2段階の受給者が約6割を占めるため、生活扶助全体でも減額となる。
 原案では、東京23区で40代夫婦と中学生、小学生の4人家族は13・7%減の15万9960円、65歳の単身高齢者は8・3%減の7万3190円となる。一方、6段階で最も水準が低い地方に住む30代母と小学生の母子世帯は、13・4%増の10万5020円になる。(佐藤啓介)

【しんぶん赤旗】12月2日 大企業 内部留保413兆円に 7~9月期 1年で21兆円増
 財務省が1日発表した2017年7~9月期の法人企業統計調査によると、資本金10億円以上の大企業(金融・保険業を含む)が保有する内部留保は413・3兆円と、前年同期から21・8兆円増加しました。
 7~9月期で比較すると、08年からの10年で大企業の内部留保は1・36倍に急増しました。役員報酬(年換算)も1778万8000円から1933万8000円へと1・09倍になりました。一方、労働者の賃金は同じ期間に593万4000円から588万1000円へと1%減りました。
 金融機関を除く全産業(全規模)の設備投資額は、前年同期比4・2%増の10兆7920億円となりました。プラス4四半期連続。
 経常利益は5・5%増の17兆8928億円となり、7~9月期としては過去最高でした。業種別では製造業が44・0%の大幅増。輸送用機械に加え、化学や生産用機械がけん引しました。一方、非製造業は9・5%減。サービス業や、競争激化で販売促進コストが膨らんだ情報通信業などが減少しました。
 売上高は4・8%増の338兆6999億円で、4四半期連続のプラスでした。

【しんぶん赤旗】12月13日<知りたい聞きたい> 内部留保の内訳は?
 2日付「しんぶん赤旗」は大企業の内部留保を413・3兆円としています。その内訳を教えてください。(堺市・男性)
 財務省の法人企業統計によると、2017年7~9月期の大企業(金融・保険業を含む・資本金10億円以上)の内部留保は413・
3兆円でした。内訳は、利益剰余金256兆円、資本剰余金130・7兆円、引当金26(べ)6兆円です。ただし、データの関係で金融・
保険業の引当金は含まれていません。
 前年同期と比べると、最も伸びたのは利益剰余金で、20・3兆円(8・6%)の増加でした。資本剰余金は3・9兆円(3・1%)の増、引当金は2・4兆円(8・4%)の減でした。
 内部留保の増加と椙まって目立つのは、資産として手元資金が急増(金融・保険業を除く大企業)していること一です。手元資金とは、企一業の持つ「現金・預金」と有価証券(流動資産)をあわせたものです。安倍晋三氏が政権に就く直前の12年7~9月期に58・5兆円だった大企業の手元資金は17年7~9月期には74兆円と15・5兆円も増加しました。前年同期と比べても2・1兆円(2・9%)の増加です。大企業の内部留保が賃上げや設備投資などに有効活用されず、「余剰資金」となっていることを示しています。