連帯を怠った崖っぷちの労働組合(【世界】10月号 高橋伸彰)

2017年10月15日
【世界】10月号 高橋伸彰「アベノミクス「景気拡大」の視覚」(抜粋)
(前略)
―連帯を怠った崖っぷちの労働組合
バブル崩壊後の成長率の停滞を前にして、20世紀最後の年に経済学者の宮本憲一はいまこそ「ゼロ成長率でも失業のない豊かな生活を実現できる経済システムを構想する(『日本社会の可能性』岩波書店)と述べた。この提言に耳を傾けることなく成長に活路を求めてきたのが歴代の政権であり、この提言の実現に連帯して取り組むことを怠ってきたのが労働組合である。
(中略)
経営者と一体になって競争力や生産性を高め、企業の成長と組合員の雇用確保に専念してきた大企業労組には、原発事故の被災者も、下請け・未組織労働者も、自由化に不安を抱く農業従事者も、自分たちの雇用や生活には無関係な外部者に映っているのまもしれない。しかし、同じ社会に暮らす人々との連帯を求めず、限られた利害関係者との結託を優先する大企業労組と連合の運動が日本の社会を分断し、安倍政権の暴走を許してきたことを見落としてはならない。
(以下略)