首相、消費増税「予定通り」 19年10月に10% (5日読売テレビ)―日経速報

2017年8月5日

しんぶん赤旗】8月2日<主張>18年度の社会保障「削減ありき」から決別こそ
 安倍晋三政権が2018年度政府予算案づくりで社会保障費の「削減」を早々と打ち出しています。7月末に各省庁の予算要求の際のルールとなる概算要求基準を閣議了解し、そこでは社会保障費の伸びを1300億円削減する大枠を決めました。18年度は医療、介護、障害者福祉などの各分野での報酬やサービスの改定が同時に行われる大きな節目の年度です。国民の暮らしを支えるには医療・介護などの分野で財源をしっかり確保して制度を拡充させることが必要なのに、まず「社会保障費削減ありき」で予算編成をする政府の姿勢は国民の願いに反します。
医療・介護で「同時改定」
 8月から高齢者の医療で患者の新たな負担増が始まりました。患者の医療費窓口負担の上限を設けた「高額療養費制度」で、一定の所得の70歳以上の月額上限が引き上げられたのです。介護保険でも、利用料の自己負担限度額が上がる世帯が生まれます。
 毎年のように繰り返される患者・利用者の負担増によって多くの国民はその費用を日々の生活からどのように捻出するかと頭を抱え、四苦八苦しています。安倍政権が社会保障費の伸びを年間1000億円以上削減する政治が引き起こした、きびしい実態です。
 安倍政権は18年度もその「削減」路線を続行・推進する方針を概算要求基準(7月20日)で露骨に示しています。社会保障費について8月末の概算要求段階では「自然増分」6300億円の増加しか認めないとしました。さらに年末の政府予算案までに1300億円カットし5000億円まで抑え込む方針を打ち出しました。「自然増分」は高齢化の進展や医療技術の進歩によって増加する費用であり、本来は削減が困難なものです。それを機械的に無理に削ることは、制度に深刻な矛盾とひずみしかもたらしません。
 かつて自民・公明政権の「自然増削減」に国民の批判が集中し、一定の見直しに追い込まれたものの、12年に政権復帰した安倍首相の下で「削減」路線が本格化し、医療や介護の負担増、介護「軽度者」の保険からの締め出し、生活保護費の大幅な削減、年金削減などが容赦なく行われました。
 18年度は、医療の診療報酬と介護報酬の改定が同時に行われる6年に1度の年です。報酬の改定は、患者と利用者に必要な医療と介護が十分行き届くかの量と質を決める重要な機会です。さらに国民健康保険の「都道府県」単位の運営も始まり、障害者福祉の報酬改定も実施されます。生活保護費の「見直し」議論も進められています。
 社会保障をめぐる大事な改定がいくつもある年に、「削減ありき」という枠をあらかじめ設定することは、あまりに乱暴です。
 財務省は報酬改定などが重なる18年度を社会保障費のいっそうの削減に向けた転機にしようと圧力を強めています。暮らしの実態を無視したやり方は到底許されません。
拡充への転換が不可欠
 社会保障費をカットし続ける一方、軍事費を5兆円以上と過去最大規模に膨張させるなど安倍政権の経済財政運営は根本から間違っています。税の集め方・使い方を改めるなど、国民の暮らしの安心を支える社会保障を拡充させる政治への転換が不可欠です。

【YOMIURI ONLINE】8月5日「首相信頼できぬ」54%…不支持理由で最多
 読売新聞社の緊急全国世論調査で、安倍内閣の支持率は42%に上昇し、6月以降の下落傾向に歯止めがかかった。
 しかし、支持率は第2次安倍内閣発足以降で3番目に低く、不支持の理由で「首相が信頼できない」は第2次内閣以降で最高の54%に上った。全体の45%を占める無党派層からの支持も2割未満と依然低迷している。
 内閣支持率を男女別にみると、男性は48%(前回45%)、女性は36%(同28%)で、女性で回復が目立った。
 年代別では、前回調査で支持と不支持が各4割強で並んでいた18~29歳で、支持が6割弱となり、不支持の3割弱を大きく上回った。40歳代は支持47%と不支持44%がほぼ並んだ。30歳代と50歳代以上では、不支持が支持を上回った。

【日本経済新聞】8月5日 首相、消費増税「予定通り」 19年10月に10% 
 安倍晋三首相は5日午前の読売テレビ番組で、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げについて「予定通り行っていく考えだ」と述べた。財政健全化についても2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化と、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率の引き下げの「2つの目標に向かってしっかりと経済運営を行う」と語った。
 消費税率の8%から10%への引き上げは当初15年10月に行う予定だったが、政府は経済情勢を理由に2度にわたって先送りしている。19年10月の引き上げについても経済情勢を踏まえ、来年中に最終判断する見通しだ。
 首相は景気について「消費は緩やかに上がっているが力強さに欠ける」と指摘。賃上げについて「私も直接、経済界に強く働きかけていきたい」と語った。企業には「大変、内部留保が積み上がっているのは事実だ。来年の春闘に向けてしっかりと経済界にもその役割を果たしてもらいたい」と訴えた。
 憲法改正を巡っては「日程ありきではない」と述べ、自民党の議論を待つ考えを示した。衆院解散・総選挙で与党の議席が3分の2を割ると憲法改正の発議が難しくなるとの指摘には「まず与党で案を考えないといけない。同時に野党も含めてできるだけ多くの多数派を形成する努力を重ねなければいけない」との考えを示した。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題などを巡る自身の国会答弁に関して「政権発足以来、少しずつ成果が出てくるなかで、自分の気持ちの中におごりが生じたのかもしれない。それが答弁の姿勢に表れた」と指摘。学校法人「森友学園」が開設を予定していた小学校の名誉校長に妻の昭恵夫人がいったん就任したことに関しても「もう少し二人とも慎重でなければならなかった」と述べた。
 北朝鮮を訪問して金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と直接会う考えはないか聞かれ「北朝鮮は核・ミサイルについて廃棄すると約束しているが、その約束を裏切っている。そこにコミットしないと対話は成り立たない。今は圧力をかけるときだろう」と否定的な考えを示した。

【琉球新報】<社説>安倍内閣改造 永田町の論理は通用せず
 顔ぶれを変えたからといって過去の疑惑、不祥事が消えるわけではない。
 安倍晋三首相が内閣改造を実施し新たな自民党四役を決定した。資質を不安視された閣僚らを一掃し、閣僚経験者の再登板や、距離があるとされた野田聖子氏を取り込んでバランスに気を使った。しかし、これは永田町だけに通用する論理にすぎない。
 問題なのは閣僚だけでなく首相への不信感の高まりだ。森友・加計学園問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽問題で説明責任を果たし、真相究明に取り組まない限り信頼回復にはつながらない。
 沖縄県民の民意を無視して名護市辺野古に新基地建設を強行する姿勢を改め、建設断念に舵を切らなければ沖縄の支持は得られまい。沖縄の施策に関係する河野太郎外相、小野寺五典防衛相、江崎鉄磨沖縄北方担当相も同様だ。
 共同通信が実施した7月の世論調査で、安倍内閣の支持率は、2012年の第2次政権発足以来最低の35・8%となった。不支持率は10・0ポイント増で最も高い53・1%。支持と不支持が逆転した。不支持理由として「首相が信頼できない」が前回比9・7ポイント増の51・6%で最多だった。第2次安倍政権以降で初めて半数を超えた。
 今回の内閣改造で加計学園問題に関係する山本幸三地方創生担当相や松野博一文部科学相を交代した。松野氏は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と記載された一連の文書への対応などで批判された。山本氏は松野氏との説明の食い違いが露呈し、国民の不信を強める一端になった。
 2人の閣僚を退場させても加計学園を巡る疑惑は依然として解明されていない。真相解明は急務だ。
 7月の閉会中審査で、安倍首相は加計学園の獣医学部新設計画を「学園の申請が認められた今年1月20日の諮問会議で知った」と以前の答弁と食い違う説明をした。首相の答弁の整合性が問題になっている。自身の説明責任が問われている。
 森友学園問題も、前理事長と妻の逮捕で幕引きとしてはならない。国有地がなぜ8億円余りも値引きされたのか、首相や昭恵首相夫人、政治家の関与はなかったのか。徹底究明が急がれる。
 南スーダンPKO日報問題は、直接の責任者で虚偽答弁が疑われている稲田朋美前防衛相が辞任したからといって、問題をうやむやにしてはならない。稲田氏を国会招致すべきだ。防衛省・自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質にメスを入れ、シビリアン・コントロール(文民統制)を機能させる必要がある。
 強引な国会運営や閣僚らの失言がもたらした政治不信は、小手先の内閣改造では解消しない。首相の政治姿勢が問われていることを肝に銘じなければならない。

【東京新聞】<社説>改造内閣が始動 憲法守る政治、今度こそ
 安倍晋三首相が内閣改造を行った。内閣支持率の続落を受けた政権の立て直しが狙いだが、憲法を尊重し、擁護するのか否か、政治姿勢が問われている。
 第三次安倍第三次改造内閣が始動した。首相にとって第一、二次内閣を含めて八回目となる組閣は二〇一二年の政権復帰以降では、最も厳しい政治状況の中での改造人事ではなかったか。
 昨年七月の参院選での自民党勝利で「安倍一強」は強固になったかに見えたが、今年に入り局面は一変。学校法人「森友学園」への国有地売却問題や「加計学園」の獣医学部新設問題、防衛省・自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、防衛省・自衛隊を選挙応援に政治利用する稲田朋美前防衛相の発言などが相次いだ。
◆真相の解明が先決だ
 自民党は七月、四年前には大勝した東京都議選で惨敗を喫し、内閣支持率は共同通信社の調査で30%台にまで落ち込んだ。今回の内閣改造には、その失地を回復する狙いがあるのだろう。
 次の党総裁候補と目される岸田文雄前外相は政調会長として閣外に出たが、麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官ら内閣の骨格は変えず、初入閣は六人にとどめた。引き続き厳しい追及が予想される文科相には林芳正氏、防衛相には小野寺五典氏を配したことからも、その狙いがうかがえる。
 林、小野寺両氏は一二年十二月に発足した第二次安倍内閣でそれぞれ農相、防衛相を務めた閣僚経験者でもあり、答弁能力も高いとされる。首相が二人を起用した理由は、分からなくもない。
 ただ、安倍政権が国民の信頼を取り戻したいのなら、真相解明が先決のはずだ。
 二つの学校法人の問題では、首相による関与の有無について真相は明らかになっていない。稲田氏が防衛省の日報隠蔽を了承していたのか否かも、証言が食い違う。
◆民主的手続きを軽視
 林、小野寺両氏にはまず真相解明、次に再発防止に取り組んでほしい。今回の内閣改造によって、指摘された数々の問題の解明に幕を引くことがあってはならない。
 野党側は憲法五三条に基づく臨時国会の召集や閉会中審査の開催を求めている。蓮舫代表の辞任表明を受けて民進党は次の代表選びに入っているが、安倍内閣は新しい代表が決まった後、速やかに臨時国会の召集に応じ、首相が所信を明らかにすべきである。
 自民党は稲田氏を参考人招致しての閉会中審査を拒んでいるが、真相解明に依然、後ろ向きと断ぜざるを得ない。加計学園の加計孝太郎理事長を含め、関係者の参考人招致を引き続き求めたい。
 ちょうど一年前の内閣改造を振り返ってみよう。
 七月の参院選を経て、憲法改正に前向きな「改憲派」が、衆参両院で改正発議に必要な三分の二以上の議席を占めた。これを受け、私たちは社説で、憲法尊重・擁護義務を負う首相や閣僚が、現行憲法を蔑(ないがし)ろにするような言動を繰り返さないよう自覚を促した。
 ところが、その後の政治はどうだろう。現行憲法を軽視または無視したり、民主主義の手続きを軽んじる政治がまかり通ってきた一年ではなかったか。
 首相は自ら期限を切り、九条など項目まで指定して政治目標とする憲法改正を主導してきた。議論を深めるために「一石を投じた」と説明したが、自民党の歴代首相が憲法尊重・擁護義務に反するとして避けてきた「禁じ手」だ。
 その一方、憲法に基づく野党側の臨時国会召集の要求は無視し続ける。改正したいからといって現行憲法を軽視・無視していい理由にはなるまい。
 稲田氏による自衛隊の政治利用発言は、行政の政治的中立性を著しく逸脱する憲法に反する発言だが、首相は罷免要求を拒否した。稲田氏を重用してきたからだろうが、憲法に反する発言をした閣僚を擁護したことは、憲法を軽視する首相自身の姿勢を表すものだ。
 首相は記者会見で「結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えられた。政策課題に結果を出すことで信頼を回復する」と述べた。
◆政治姿勢改める必要
 しかし、いくら内閣改造で体制を一新したからといって、憲法や民主主義の手続きを軽んじる政治姿勢を改めない限り、国民の信頼回復は望めまい。
 「共謀罪」法の成立強行を挙げるまでもなく、「安倍一強」の鎧(よろい)の下にあった憲法や民主的手続きを軽視・無視する強権的手法を国民が見抜いたからこそ、支持率が落ちた事実を注視すべきだろう。
 憲法改正論議自体は否定しないが、国民から遊離した拙速な議論は避けるべきだ。現行憲法を蔑ろにする政治の継続はもちろん、許されてはならない。内閣改造を機に、あらためて指摘したい。