年金受給開始、71歳以上も=自民、「1億活躍」で提言
【時事通信】5月10日 年金受給開始、71歳以上も=自民、「1億活躍」で提言
自民党の1億総活躍推進本部(川崎二郎本部長)は10日、政府への提言をまとめた。高齢者が働ける環境を整備し、現在60~70歳で選択可能な年金受給開始時期について、希望者には71歳以上も選択できるよう制度を見直すことが柱。
国民年金は65歳を基準に、受給開始時期を繰り上げれば減額、繰り下げれば増額する仕組み。繰り下げ受給を71歳以上にも広げることで、働くことが可能な高齢者には社会保障を「支える側」に回ってもらい、年金財政の安定を目指す。
提言では、65歳までを「完全現役」とする社会を推進しつつ、66歳以上も本人が希望する限り働けるように国や産業界に呼び掛ける。受給開始時期の選択制についての周知も図る。
【しんぶん赤旗】5月13日〈主張〉マイナンバー運用 危険と矛盾がますます明白
日本に住民票をもつ人全員に12桁の番号を割り振り、国が税や社会保障などの個人情報を掌握・管理するマイナンバー(個人番号)制度で、新たな危険と矛盾が浮き彫りになっています。本人の同意もないのに企業にマイナンバーを知らせることを安倍晋三政権が自治体に迫ったり、マイナンバーカードの利用分野の拡大に向けた仕組みづくりを加速したり―。住民がほとんど知らないうちに、なし崩し的に制度を運用していることは極めて問題です。個人情報が危うくなることに国民が不安や不信を抱く制度を、“推進ありき”ですすめることは乱暴です。
>同意なし通知送付に批判
市町村が企業などに5月に送付する住民税の「特別徴収税額通知書」に従業員のマイナンバーを記載するよう安倍政権が強制していることが、各地で問題になっています。総務省は、従業員本人の同意がなくても問題ないという姿勢ですが、企業に自分のマイナンバーを知らせたくないという従業員の意思に反するやり方です。
しかも、書留郵便でなく普通郵便での通知も可能としているため、通知書がきちんと管理されずに、番号が他人に知られるなど漏えいのリスクを高めることに、懸念が広がっています。少なくない自治体は、経費を節約するために普通郵便を使うとされています。
市民団体は、自治体に記載を強いることの中止を政府に対して要求し、自治体には独自の判断で不記載にすることなどを求めています。日本弁護士連合会は4月中旬、個人の情報をみだりに第三者に開示・公表されない自由を侵害するものと警告しています。
これらの指摘を受け番号を記載しない自治体も生まれています。国が自治体に記載させる法的根拠はありません。マイナンバーを無理に使わせることを狙った、記載の強要を中止すべきです。
国が強引な手法をとるのは、マイナンバー制度が本格的に始まってから1年以上経過しているのに、圧倒的多数の国民に制度が認知されず、普及が立ち遅れているためです。番号を通知する紙製のカードを受け取っていない人は100万人以上いるとみられます。番号、顔写真、生年月日などが一体となったプラスチック製のマイナンバーカードの申請も頭打ちで、3月時点のカード保持者は対象者(約1億2800万人)の8・4%にすぎません。国民が、政府のいう「利便性」を感じるどころか、情報の漏えいや国による個人情報の管理強化に根強い不信と危険を抱いていることを示しています。
総務省は3月に「カード利活用推進ロードマップ」を作成し、コンビニでも使えますとか、スマホでも行政手続きができるようにしますとか、宣伝に躍起です。1000件単位でマイナンバー情報がもれた自治体があったことなど都合の悪い事実はほとんど語らず、便利さばかり「バラ色」に描くのは無責任で不誠実な姿勢です。
>禍根残す推進やめてこそ
マイナンバーカードを交付する際に、システム障害が相次いだことに対応するとして国会で法律改定案が審議中ですが、新たなリスクを生むおそれがあるものです。安倍政権は、前のめり姿勢を改め、個人情報を守るために、制度の検証と見直しを行い、不要で危うい仕組みをやめるべきです。
【読売新聞】5月7日 マイルやポイント、マイナンバーカードに合算へ
政府は9月にも、航空会社のマイルなど民間企業の各種ポイントをマイナンバー(共通番号)カードに合算できるサービスを開始する。
集約したポイントは全国の特産品や公共施設の利用料などと交換することができる。政府は新サービスを、交付枚数が伸び悩むマイナンバーカードの普及や、地域振興につなげたい考えだ。
クレジットカードや携帯電話、航空会社が発行するポイントは、年間4000億円を超すとされるが、未使用分は約3割に達するとの推計もある。新サービスにより、企業ごとだったポイントは「自治体ポイント」として合算されるため、マイナンバーカードを所管する総務省は「消費者の利便性が増してポイントの利用が進み、経済活性化の効果も期待できる」としている。
【東京新聞】5月9日〈社説〉首相の改憲発言 9条空文化は許されぬ
真の狙いはどこにあるのか。安倍晋三首相が憲法九条を改正し、自衛隊の存在を認める条文を加えることに意欲を示したが、戦争放棄と戦力不保持の理念を空文化する改正なら、許してはならない。
首相は日本国憲法施行七十年の節目に当たる三日、東京都内で開かれた憲法改正を訴える集会にビデオメッセージを寄せ、「二〇二〇年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。
改正項目に挙げたのは現行九条の一、二項を残しつつ、三項を設けて自衛隊の存在を明記すること、高等教育を含む教育無償化を規定することの二点である。
九条に三項を加えるなどの「加憲」案は公明党がかつて理解を示していた主張。教育無償化は日本維新の会の改憲案に盛り込まれており、改憲実現に向けて両党の協力を得る狙いがあるのだろう。
とはいえ、この内容からは憲法を改正しなければ対応できない切迫性は感じられない。
政府は自衛隊について、憲法が保持を禁じる戦力には当たらず、合憲との立場を貫いてきた。
首相は改正を要する理由に憲法学者らによる違憲論を挙げたが、ならば首相もそうした学者らと同様、自衛隊違憲の立場なのか。
自衛隊の存在はすでに、広く国民に認められている。必要がないのに改正に前のめりになるのは、別の狙いがあるからだろうか。
自衛隊の存在を明記するだけと言いながら、集団的自衛権の限定なしの行使を認めたり、武器使用の歯止めをなくすような条文を潜り込ませようとするのなら、断じて認められない。
教育無償化も同様だ。無償化には賛成だが、憲法を改正しなくても、できることは多い。そもそも旧民主党政権が実現した高校授業料の無償化に反対し、所得制限を設けて無償化に背を向けたのは安倍自民党政権ではなかったか。ご都合主義にもほどがある。
憲法は主権者たる国民が権力を律するためにある。改正は、必要性を指摘する声が国民から澎湃(ほうはい)と湧き上がることが前提のはずだ。
首相の発言は国民の代表たる国会で進められている憲法審査会の議論にも水を差す。自民党総裁としての発言だとしても、首相に課せられた憲法尊重、擁護義務に反するのではないか。
そもそも東京五輪が行われる二〇年と憲法改正は関係がない。内容は二の次で、自らの在任中の改正実現を優先するのなら「改憲ありき」の批判は免れまい。