高市総務相、政治資金の往復で還付金
【mbs NEWS】3月22日 高市総務相、資金往復で還付金受け取る
高市早苗総務大臣が、自身と政党支部の間で資金を往復させることで、寄付金控除の還付金約300万円を受け取っていたことがわかりました。
「あくまでも法的に違法性はない」(高市早苗総務相)
政治資金収支報告書によりますと、高市大臣は2012年、11月と12月の2回にわたり、自身が代表を務める自民党奈良県第2選挙区支部から1220万円の寄付を受けた後、逆に1000万円をこの支部に寄付しました。そして、翌年の確定申告で寄付金控除を申請し、還付金約300万円を受け取っていたということです。
「還付金をもらうがためと疑われてもおかしくない状況になっている」(民進党 那谷屋正義参院議員)
「支部のお金がほぼ底をついたという連絡があったので、お金をかき集めて自分なりに精いっぱいのお金を支部に入れた」(高市早苗総務相)
政治家と政党支部の間でお金を往復させるだけで還付金が手に入るこの仕組み。永田町では当たり前なのでしょうか?
「以前もあったし最近も時々話題になるが、1000万円というこれほど大きい額は見たことがない。どう考えてもおかしな話だが、法律的には一切規制がない。今の制度の枠組みでは違法ではない」(政治資金に詳しい日本大学法学部 岩井奉信教授)
高市大臣は先月、この問題で東京都内の男性らに詐欺の疑いで刑事告発されていて「誤解を受けるので。今後は控除を申請しない」としています。
【東洋経済ONLINE】3月24日 やっぱりマイナス金利は「毒薬」だった―日銀は「敗戦の教訓」から学んでいない―中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト
日銀によりマイナス金利が導入されて、1年余り経ちました。昨年2月1日の記事「マイナス金利は『劇薬』というより『毒薬』だ」では、銀行の収益悪化を招くことをはじめ、数々の副作用が起こるという予測を述べたうえで、経済の本質や流れをまったく理解できていない愚策であるという見解を述べさせていただきました。
実はその記事を書いた直後に、テレビ朝日の朝の情報番組のディレクターから、マイナス金利の特集をするので基礎的な知識を教えてほしいという依頼を受けました。そこで私はマイナス金利の弊害について、初心者でも理解できるように論理的かつ丁寧に、2時間くらいかけて記事の内容をかみ砕いて説明させていただきました。
ところが驚いたことに、実際の番組ではリフレ派の大学教授が解説役をしていて、「マイナス金利は正しい政策です」「銀行の収益は逆に増えます」といった、まったく理解不能なことを主張していたのです。コメンテーターの2人から「そんなわけがない」と突っ込まれても、論理的な理由をまったく示さずに、「とにかく、そうなのです」と押し切っていたところに、リフレ派の学者に共通する合理的思考力の欠如を見せつけられた気がいたしました。
>利ザヤが稼げない銀行の決算はやはり悪化
あれから1年が経過し、実際に銀行の決算はどうなっているのかというと、先日発表された大手3メガバンクの2016年4~12月期の決算はいずれも減益となっています。地方銀行の決算も7割以上が減益に陥っています。多くの銀行が説明しているように、減益の主因となっているのは、日銀のマイナス金利政策によって利ザヤが稼げずに、収益が落ち込んでいるためです。
そこでメガバンクや地方銀行は、収益の落ち込みを回避しようと外国債券(主に米国債)への投資を積み増しましたが、そのような行為も裏目に出てしまっています。トランプ大統領が行う経済政策への思惑から米国の長期金利が急上昇し、含み損を抱える状況に陥ってしまっているのです。
たとえば、3メガバンクの2016年9月末の外国債券の含み益は7000億円近くあったのですが、12月末には3000億円超の含み損に転じてしまっています。含み損の外国債券を売却しなければ、利益が減るということはないのですが、トランプ政権による大型減税やインフラ投資の行方次第では含み損が膨らみ、損切りも迫られるかもしれません。メガバンクも地方銀行もこういった将来の大幅な減益要因を抱えているうえに、リスクのある貸家への融資に傾斜しているという問題点も有しています。所有する土地に貸家を建てて相続税の評価額を下げるという節税法はよく知られていますが、2015年1月に相続税の増税がなされたことに加え、日銀のマイナス金利政策で借金を容易にできるようになったため、貸家ローンの増加に拍車がかかっているのです。
2015年の新設住宅着工戸数は90万9299戸と前年比で1.9%増になったのに続き、2016年は96万7237戸と前年比で6.4%増と大幅な伸びが見られました。これは、持ち家となる一戸建て住宅は3.1%しか増えていなかったのですが、貸家となるアパートなどの集合住宅が10.5%と大幅に伸びていたためです。少なくとも2016年までは、銀行が普通の住宅ローンに比べ貸出金利が高いアパート・マンション向けの融資を積極化していたのです。
>貸家への融資が不良債権予備軍に
これから人口が数十年にわたり減少し続ける日本では、節税目的の貸家建設が需要と供給のバランスを大きく崩す要因になることは間違いありません。全国ではすでに820万戸の空き家があり、その半数以上は貸家となっています。ただでさえ今後も空き家の増加ペースは加速していくというのに、マイナス金利を生かした貸家の供給が進むことになれば、さらに空き家が増えて家賃が大幅に下がることは避けられないでしょう。
そういうことになれば、融資の返済原資である家賃収入が落ち込み、節税効果よりも融資の返済負担が重くなるような本末転倒なケースが続出することになるでしょう。銀行にとってみれば、将来の需給を無視して貸し込むことによって、将来に発生する不良債権の予備軍を増やしているといえるかもしれません。
ところが、日銀の黒田東彦総裁は当初、マイナス金利の代表的な効果として貸家建設の増加を取り上げていました。「副作用」を「効果」と取り違えていたのです。さすがに今年に入って、日銀もようやく副作用のリスクを認め始めたようであり、日銀幹部の中でも「貸家の急増は、将来の経済にマイナスに働く」という認識が共有されるようになっています。今のところ、民間需要で最も活発なのは住宅投資ですが、それが貸家の増加によって支えられているという現実は、長期的に見れば決して喜ばしいものではないわけです。
銀行と同じように、16年4~12月期の生保決算も総じて減益となっています。低金利で利息収入の目減りが響きました。円建てで負債を抱える生保においては、日本の国債への投資が運用の基本です。ところが、マイナス金利政策の導入によって、その運用の柱である国債にはもう頼れなくなっているのです。多くの生保はこれまでの商品や運用の考え方の見直しを迫られています。
こうした生保の経営姿勢の変化は、家計への負担増および運用先の減少につながります。実際に多くの生保では、個人の退職金の運用先として人気がある一時払い終身保険などの保険料を引き上げたり、販売を取りやめたりする動きが本格化してきています。高校や大学での教育資金を確保するために入る学資保険までもが、販売を縮小する動きが広がってきているのです。
そこへ持ってきて、企業の負担も重くなってきています。マイナス金利によって年金や退職金の企業負担が重くなり、企業収益を圧迫しているからです。企業は将来の年金や退職金の支払いに備えて、必要な金額を退職給付債務として計上し用意しておかねばなりません。ところが、全般的に金利が下がることで、将来の支払いとして用意すべき金額が増えてしまっているというわけです。
2016年3月期の決算以降、退職給付債務が増えたことで特別損失を計上する企業が続出しています。2016年3月末の時点で、上場企業の退職給付債務が91兆円と過去最大に膨らんだことでも、今後の業績の重荷になるのが避けられない情勢にありそうです。その後、量から金利への新しい金融緩和の枠組み変更や、トランプ政権誕生による米国金利の上昇で、状況はやや和らいだかに見えますが、年金制度が瓦解しかねないリスクを抱えていることは確かでしょう。
そこで懸念されるのは、マイナス金利政策によって、年金制度に深刻な打撃が与えられるということです。長期金利がゼロ水準まで下がることによって、これまでのような安全な運用が困難に直面しているからです。企業向けでも利回りの高い保険商品が値上げや販売停止になるばかりか、安定志向の企業年金の運用は立ち行かなくなる可能性も想定されるのです。
ただでさえ国民には年金不安があるというのに、運用の不振により年金不安はいっそう高まり、それは日本人の貯蓄性向をますます高める契機になるでしょう。日本の年金制度を信用していない現役世代の大半は、老後の生活がますます心配になったといって、これまで以上に貯蓄に励むようになるのではないでしょうか。
>軌道修正できなかった太平洋戦争の「二の舞い」に
長期的な視点を欠く行き当たりばったりのマイナス金利政策に、銀行も生保も企業も国民も翻弄された1年となりました。現代の経済システムは、気が遠くなるほどの長い年月をかけて、金利が必ずプラスになるという前提で構築されてきています。そういった常識を踏み外した政策が、最初から毒薬になることはわかりきっていたというわけです。
4年近く続いている量的緩和にしても、1年を経過したマイナス金利にしても、うまく機能していると考えている日銀関係者は、今となってはほとんどいないでしょう。とりわけマイナス金利で認められた効果は、円高と株安をある程度は食い止められたということだけであり、経済全体としては副作用があまりに大きすぎたと言わざるをえないのです。
ここ数年の日銀を見ていてつくづく思うのは、太平洋戦争の教訓をまったく生かしていないということです。日銀幹部の誰もが政策の方向性が間違っているとわかっているにもかかわらず、大幅な軌道修正をできなくなってしまっているからです。これでは、敗戦の「二の舞い」になるのではないでしょうか。経済全体を危険な方向へと導いてしまうのではないかと、非常に心配しているところです。
【しんぶん赤旗】3月25日 大企業優遇を見直せ―大門氏「中小企業支援こそ」―研究開発減税
日本共産党の大門実紀史議員は21日の参院財政金融委員会で、大企業優遇の研究開発減税を見直し、中小企業支援の予算へと抜本的な転換を求めました。
大門氏は、研究費の一定割合を法人税額から控除する研究開発減税について、恩恵の9割以上が大企業に集中していると指摘。2014年の政府税制調査会(首相の諮問機関)の報告書でさえ、「(総額型は)結果的に補助金と同じ効果を持つことを踏まえ、税率引き下げに対応して大胆に縮減」すべきだとしていることを無視していることを批判しました。
大門氏は、17年度の税制改定で「メリハリをつけた」とする政府の主張を、「小手先の話だ」と指摘し、中小企業予算がほとんど伸びていない中で本末転倒だと強調。麻生太郎財務相は「研究開発費が偏った制度にならないようにしていく。中小企業にもうまく活用してもらえるような方法を考えていく」と応じました。