「消費税が当然」といった状況こそ、打破しなければならない

2016年9月17日

【全国商工新聞】9月19日 「消費税=悪税の正体」連載20回
消費税は庶民や中小業者に負担の重たい税金です。消費税が導入されたのは1989年ですが、売上税をはじめ悪税とのたたかいは約50年前から続いています。
政府与党にとっては安定した財源となる消費税は、大衆課税である一方で政治献金をしてくれる大企業には還付をするといった都合の良い税金です。現在の消費税の仕組みでは、日本を大企業にとつてのタックスヘイブンとさせてしまっています。
ところで、なぜなぜ庶民や中小業者に負担の重い消費税増税がまかり通っているのでしょうか。その理由は、消費税を負担する一般国民が消費税の本質を知らないからのほかなりません。
政府は弱者に厳しい消費税の本質を国民か知ってしまうと、税率だけではなく、制度自体への批判が集まり消費税増税ができなくなります。
マスコミも消費税率が上がる報道は行いますが、消費税の仕組みが変わり、中小業者の負担が増える場合などはほとんど報道をしません。このときに特に政府や財務省は、消費税のもつ逆進性にはほとんど触れることはしません。
消費税が導入されて28年目となりますが、消費税は当たり前に存在する税金ではありません。
売上税や消費税導入時の運動を思い出し、消費税について「学びなおし」をする時期ではないでしょうか。
消費税導入時の総理大臣であった竹下登氏は、消費税の導入にあたって「七つの懸念がある」とし、国民的な合意を得た上で導入するような姿勢をみせましたが、最終的には、徹夜国会で強引に強行採決しました。
橋本龍太郎元総理が1997年に消費税を5%に上げたときは、個人消費や民間投資は落ち込み実質経済成長率は1・8%マイナスとなり、税収を増やすどころか景気を悪化させ退陣に追い込まれました。
消費税8%となった2014年にも個人消費は落ち込み、その後も景気は回復していません。安倍首相が打ち出した消費税10%の累次の先送りは、政権延命措置に他ならず、国民のことを思ってではありません。
国民のことを思うなら、ひとまず消費税は5%に下げるべきです。これまで簡単に消費税の歴史を振り返っただけでも、導入以降、庶民や中小業者の税金負担を増やした一方で、社会保障が後退したのは明らかです。
消費税が当然にあるといった状況こそ、本来打破しなければならないのです。
(税理士・佐伯和雅)

【東洋経済】ONLINE 「老人に押し潰される」日本の医療に迫る危機―4人に1人が75歳以上の時代はそう遠くない
(略)世界一の長寿を達成した日本にいま必要なのは、とどまるところを知らない高齢者の長寿・健康志向を適切にコントロールすること、そして、高齢者に軽く、若者世代に重くなっている世代間負担の公平化を図るギアチェンジだ。
(略)1人あたり医療費でみると、80歳以上のお年寄りは年間90万~120万円の医療費がかかっているのに対し、30~50代の働き盛りは10万~20万円程度。このように、高齢者の医療を支えるのに莫大なコストがかかっており、しかも、その負担は公平かつ十分ではない。残念なことに、そのことが世間一般であまりよく知られていない。冒頭のような高齢者の長寿志向や健康欲ばかりが野放図に広がり、日本の医療制度は高齢者のための医療でパンク寸前になっている。
(略)過剰医療の指摘もある。複数の診療所から10種20種もの薬を受け取り、飲み残しや多剤処方が問題になっている。高齢者にがん検診を受けさせると、本当はがんではないのにがんと診断されたり、無駄な手術や抗がん剤の投与を受ける過剰診断をされたりする危険性をもたらしうる。救命救急センターは、高齢者の安易な利用で肝心の若者の利用に障害をもたらしかねない状況だ。高齢者医療を取り巻く課題は山積している。

<>引用者からのコメント<>『週刊東洋経済』 2016年9/24号は「納得のいく死に方 医者との付き合い方」を特集しました。「世代間の不公平」論は、これまでも消費税率の引き上げの口実にされてきました。要注意です。(K)

【読売新聞】9月16日「所得格差 最大を更新」
厚生労働省は15日、世帯ごとの所得格差などを示す2014年の「所得再配分調査」の結果を発表した。所得格差を表す「ジニ係数」は、税金などを支払う前の所得(公的年金などの給付を除く)にあたる「当初所得」で0.5704(前回比0.0168㌽増)となり、過去最大を更新した。