愚かなる消費税10% 軽減税率は社会保障を削って低所得者から高所得者に財源を移すだけ―岩本沙弓
2016年7月23日
【しんぶん赤旗】7月21日 中間層が貧困世帯に
安倍晋三政権のもとで、貧困世帯が増える一方、中間世帯が減少しています。
厚生労働省が12日発表した国民生活基礎調査は、世帯所得の分布状況についても集計しています。安倍政権発足前の2012年と15年の世帯所得の分布を比較しました。
年間所得100万円以上200万円未満の世帯が12年の13.0%から15年の13.6%へ0.6㌽増加し、同200万円以上300万円未満の世帯が12.4%から14.0%へ1.6㌽増えました。また、同100万円未満の世帯も6.0%から6.4%へ0.4㌽増加しています。一方、同400万円以上500万円未満の世帯は11.6%から9.8%へと1.6㌽も減っています。
安倍政権は、「就業人口が増えた」「有効求人倍率は過去最高」などと宣伝しますが、実際に増えたのは低賃金の非正規雇用が中心です°昨年には労働者派遣法を改悪し、企業が派遣労働者をいつまでも派遣のまま使い続けられる仕組みにしました。
安倍晋三政権のもとで、貧困世帯が増える一方、中間世帯が減少しています。
厚生労働省が12日発表した国民生活基礎調査は、世帯所得の分布状況についても集計しています。安倍政権発足前の2012年と15年の世帯所得の分布を比較しました。
年間所得100万円以上200万円未満の世帯が12年の13.0%から15年の13.6%へ0.6㌽増加し、同200万円以上300万円未満の世帯が12.4%から14.0%へ1.6㌽増えました。また、同100万円未満の世帯も6.0%から6.4%へ0.4㌽増加しています。一方、同400万円以上500万円未満の世帯は11.6%から9.8%へと1.6㌽も減っています。
安倍政権は、「就業人口が増えた」「有効求人倍率は過去最高」などと宣伝しますが、実際に増えたのは低賃金の非正規雇用が中心です°昨年には労働者派遣法を改悪し、企業が派遣労働者をいつまでも派遣のまま使い続けられる仕組みにしました。
【『Voice』】2016年2月号 愚かなる消費税10% 軽減税率は社会保障を削って低所得者から高所得者に財源を移すだけ―岩本沙弓(大阪経済大客員教授) -ごく一部を抜粋-
―国民経済のいっそうの疲弊
日本の与党、主要メディアは「消費税10%」を既成事実化させることに躍起になっているようだ。もちろ
ん、法案が通っている以上、既定路線であるのは間違いないが、税率の引き上げは景気の様子をうかがいながら、というのは鉄則である。景気弾力条項が取り払われた現状でも、実体経済の動向を無視した消費税増税はありえない・そうした本質的な問題を提起し、国民全体を巻き込んだ議論の先頭に立つのが本来のメディアの役割であるはずなのだが、根源論に迫る気配はない。その背景には軽減税率の導入で対象業界が恩恵を受けることがあろう。(略)
―軽減税率は低所得者対策になりえない
2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際に、酒と外食を除く食品全般の税率を8%に据え置く軽
減税率の合意がなされた。合意に至るまでの軽減税率をめぐる報道を見ても、表層的かつ短絡的な話に終始し、本質論にまで迫るような深掘りした論説は見掛けなかった。しかしながら、主要メディアをいったん離れてみれば経済学者や專門家のほとんどが軽減税率には反対をしている。その理由として、消費税の抱える最大の問題である逆進性対策を掲げながらも、実態は軽減税率が富裕層に最もメリットがあり、逆進性の解消にはほとんど役に立たないことがあげられている。
低所得者対策になりえないことはすでに軽減税率を長年実施してきた欧州などの例で実証されている。IMF(国際通貨基金)も軽減税率による複数税率よりも単一税率が優れているとするのは、40年近く軽減税率という壮大な社会実験を実施してきた欧州で所得再分配効果を期待できない、不正も防げない、さらには徴税コストも高くなっているためだ。(略)軽減税率が税源を浸食する結果、社会保障費が削られ、低所得者から高所得者に結局は財源が配られることになる、まさに中立性を欠く事態が発生する象徴であろう。そして、複数税率による事務処理、管理費などのコスト増が中小企業への負担となるのも容易に想像できよう。
―国民経済のいっそうの疲弊
日本の与党、主要メディアは「消費税10%」を既成事実化させることに躍起になっているようだ。もちろ
ん、法案が通っている以上、既定路線であるのは間違いないが、税率の引き上げは景気の様子をうかがいながら、というのは鉄則である。景気弾力条項が取り払われた現状でも、実体経済の動向を無視した消費税増税はありえない・そうした本質的な問題を提起し、国民全体を巻き込んだ議論の先頭に立つのが本来のメディアの役割であるはずなのだが、根源論に迫る気配はない。その背景には軽減税率の導入で対象業界が恩恵を受けることがあろう。(略)
―軽減税率は低所得者対策になりえない
2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際に、酒と外食を除く食品全般の税率を8%に据え置く軽
減税率の合意がなされた。合意に至るまでの軽減税率をめぐる報道を見ても、表層的かつ短絡的な話に終始し、本質論にまで迫るような深掘りした論説は見掛けなかった。しかしながら、主要メディアをいったん離れてみれば経済学者や專門家のほとんどが軽減税率には反対をしている。その理由として、消費税の抱える最大の問題である逆進性対策を掲げながらも、実態は軽減税率が富裕層に最もメリットがあり、逆進性の解消にはほとんど役に立たないことがあげられている。
低所得者対策になりえないことはすでに軽減税率を長年実施してきた欧州などの例で実証されている。IMF(国際通貨基金)も軽減税率による複数税率よりも単一税率が優れているとするのは、40年近く軽減税率という壮大な社会実験を実施してきた欧州で所得再分配効果を期待できない、不正も防げない、さらには徴税コストも高くなっているためだ。(略)軽減税率が税源を浸食する結果、社会保障費が削られ、低所得者から高所得者に結局は財源が配られることになる、まさに中立性を欠く事態が発生する象徴であろう。そして、複数税率による事務処理、管理費などのコスト増が中小企業への負担となるのも容易に想像できよう。
【しんぶん赤旗】7月21日 最低賃金1000円で消費需要2兆4800億円増加―労働総研が試算
全労連と共同して政策活動をしている労働運動総合研究所(労働総研)は20日、最低賃金引き上げが日本経済・地域経済にもたらす波及効果試算を発表し、し、時給1000円に引き上げた場合、最終の消費需要が2兆4800億円増加するとしました。
全労連と共同して政策活動をしている労働運動総合研究所(労働総研)は20日、最低賃金引き上げが日本経済・地域経済にもたらす波及効果試算を発表し、し、時給1000円に引き上げた場合、最終の消費需要が2兆4800億円増加するとしました。