「軽減」税率は〝まやかし〟―元静大教授・税理士が解説

2015年12月19日

【現代ビジネス】12月13日低失業率でも景気回復しない「本当の原因」
いま、消費が悪いのは、'14年4月からの消費増税の悪影響である。消費支出(前年同月比)を分析すると、14年3月までは平均2%程度の安定した伸びを示していた。ところが、14年4月の消費増税後、急激に消費が落ち込み、マイナス6%程度にまで転落。徐々に回復しているが、消費増税前の水準に戻るのは、来年3月頃の公算が大きい。つまり、消費増税の悪影響は2年も続くわけだ。『週刊現代』2015年12月19日号より

【全国商工新聞】12月14日 低所得者対策なら消費税10%は中止に 「軽減」税率は〝まやかし〟―元静大教授・税理士が解説
自公政権は、2017年4月からの消費税率10%への引き上げに合わせ、食料品への軽減税率(複数税率)の導入を狙っています。併せて、簡易課税の廃止や免税点を引き下げる動きも見せています。湖東京至税理士(元静岡大学教授)は「軽減税率によって食料品の値段が下がる保証はなく、特定企業の補助金になる」と指摘します。/軽減税率をめぐって肝心なことは、消費者にとって軽減税率対象品目がどのように線引きされようと、物価は全く下がらず、消費税は公平な税制にならないということです。/「せめて飲食料品は軽減税率にしてほしい」という消費者の切実な声を聞きますが、軽減税率の適用となった物の値段が下がる保証はありません。例えばペットボトルを見てみましょう。中の水は8%でも、ボトルやラベルの印刷費、自販機や電気代、運送経費は10%に上がりますから、キリンやアサヒ、コカ・コーラなどのペットボトル飲料販売業者はその分の値上げをしかねません。価格を決めるのは企業ですから、便乗値上げも可能なのです。/(中略)軽減税率は消費税の不公平性解消にまったく無益なばかりか、逆に消費税の延命措置に週きません。もし低所得者を救済するというのであれば、消費税率を10%に引き上げることを中止するべきです。

【日刊SPA】12月17日 軽減税率でも生活は楽にならない
一番所得の低い世帯では、1か月の負担軽減額はたったの500円。サラリーマンの昼食1食分を減額してやるからありがたいと思え、という話なのでしょうか。一番所得の高い年収941万円以上の世帯では、負担軽減額は1450円。低所得世帯に比べれば3倍もの恩恵ですが、小学生のお小遣い程度であることは否めません。
▼最初から増税するな/・軽減税率は逆進性解消にならないし、負担軽減にもならない/・軽減税率導入のため、社会保障費を削る矛盾/・国民は10%への増税に大反対/・本当に国民の負担軽減を望むならはじめから増税しなければいい【山本博一】

【日刊ゲンダイ】負担減わずか1日50円 1兆円「軽減税率」は家計に恩恵ナシ
「1兆円」と聞けば、結構な金額と思ってしまう。危うく「自公政権は弱者の味方なんだ」なんて誤解しそうだが、家計にプラスは全然ない。/消費税率が10%に引き上げられた時、食料品の税率を8%に据え置くと、果たしてどれくらいの負担が軽減されるのか。民間税調のメンバーでもある静岡大名誉教授の土居英二氏(経済統計学)の試算によると、平均で1万8044円だ。1カ月にすれば1504円である。1日当たりなら50円で、ジュース1本も買えない。「1兆円」の看板からすると、「え?その程度なの」と思えてしまう。/年収が低い人は、恩恵がさらに少ない。ワーキングプアに該当する年収200万円は年間7738円で月644円。1日にすると21円だから、スーパーで割引になるのを待った方が、よほど家計にプラスになるだろう。

【しんぶん赤旗】㋋㏱「主張」消費税の増税10%を中止せよ
消費税増税を「確実に実施する」といいながら一部の品目だけは据え置き、しかも1兆円といわれる財源は一切示さないというのは、税率据え置きなどの対策が国民の批判をかわし参院選などを乗り切るためだけの「選挙対策」であることを浮き彫りにするものです。一部の品目の税率を据え置くだけでは「軽減」でも何でもありません。税率据え置きで税収が減るといわれる1兆円を差し引いても消費税率の2%引き上げによる増税分4兆4000億円は国民に重くのしかかります。「軽減」どとろか昨年4月の増税に次ぐ大規模な負担増で、国民の暮らしも日本経済も徹底して痛めつけられます。国民には増税を押しつけ、力のある大企業の税負担は軽くする税制改定は経済のゆがみをますます拡大します。消費税増税は中止するとともに大企業減税もやめ、大企業・大資産家の応分の負担と最気拡大で歳入を確保する消費税に頼らない財政を確立すべきです。