本音は「軽減税率の敵視」安倍政権 -麻生大臣が赤裸々に

2015年10月17日
【朝日デジタル】10月15日 麻生財務相、軽減税率は「すごい手間、福祉の金が減る」
麻生太郎財務相は14日、安倍晋三首相が与党に検討を指示した軽減税率について「きちんとやるのはすごい手間になる。(税金が)安くなればその分、福祉に回る金が減る」と述べ、慎重な姿勢を示した。札幌市内で開かれた自民党の会合で語った。麻生氏は「中小・零細企業の消費税を払っていないところに全部、インボイス(明細書)を書いてもらう」と述べ、事業者の事務負担が増えることを指摘。税収が減り、社会保障に回る予算が減るデメリットも付け加えた。/そのうえで「面倒くさいとみんないっている。でも、やれやれといっている方がいる」として、検討の背後に公明党の強い意向があることをにおわせた。(花野雄太)

【毎日新聞】10月08日 社説:改造内閣発足「1億総活躍」への疑問
政権の骨格を維持しつつ経済重視への局面転換を図った布陣だが、安全保障関連法の成立強行を過去の問題と片付けるわけにはいかない。これまでの政権運営のひずみを総点検すべきだ。/改造後の記者会見で、安倍晋三首相は「輝かしい未来への新しい挑戦」を掲げ、「経済最優先で、政策を一層強化する」と強調した。/経済政策を重視することに異存はない。だが、来夏に参院選を控え、首相のことさらの対応には、さきの国会で強まったタカ派イメージの修正が主眼との印象をぬぐえない。/これまでも首相は参院選、衆院選で経済政策を争点に掲げながら、選挙後の国会では特定秘密保護法や安全保障関連法の決着を急ぐパターンを繰り返してきた。/さきの国会で、安倍政権は安保関連法を国民理解を置き去りにしたまま成立させた。本来、首相は率先してその空白を埋めるよう努めるべきだ。与党には環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意への対応などを理由に、秋の臨時国会の見送り論が浮上している。国会を早期に召集し、きちんと必要な説明に応じねばならない。/改造人事の目玉として新設した「1億総活躍」担当相が機能するかどうかも疑問がある。首相は腹心の加藤勝信官房副長官を起用し、官庁の縦割り排除を掲げ、成長重視のシンボルとしたい考えのようだ。/だが、「1億総活躍社会」のスローガンの下、加藤氏が実際にどんな政策の領域を対象とし、何に取り組むかははっきりしていない。(以下略)

【月刊 前衛】11月号 中央大学名誉教授・商学博士 富岡幸雄さんに聞く
<問> 日本の政府や財界などは、日本の法人税は高いといっていますが、実態はどうなっているのでしょうか。
<富岡> 日本の政府や財界が、さかんに高いといって引き合いに出しているのは、法人税法に規定されている法律上の数値である「法定税率」(より厳密には、「法定正味税率」というべき)です。しかし、こうした表面的に法律で示されている税率と、実際に企業が払っている法人税の納税額は、まったく違っているのです。(中略)そこで、日本の法人税の実際の負担状況が、どのようになっているのか(中略)研究しました。(中略)その結果は驚くべきものでした。(中略)リストアップした46社中、実行税負担率が1%に達していない企業が4社ありました。(以下略)


【同前】公正な税の実現に向けて 合田 寛
富裕者ほど税負担が軽く、巨大企業ほど税負担が軽いという現実がある。富裕者と巨大企業は国家権力を背景に、税制の決定過程に影響力を行使するだけでなく、税法の隙間を利用して税逃れを図っている。これほど不公正なことはない。(中略)システムの劣化は日本だけのことではなく、世界の課税システムについても同じである。(中略)国際協力の強化とともに、税に関するグローバル・ガバナンスの構築が求められている。(以下略)