「高市1強」視への違和感(「東京」)
2026年3月4日
【東京新聞】2月28日<ぎろんの森>「高市1強」視への違和感
高市早苗首相の施政方針演説に対する各党代表質問が衆参両院で行われ、第2次高市内閣発足を受けて本格的な国会論戦が始まりました。
衆院では、自民党と日本維新の会の議席は合わせて4分の3を占め、与党が圧倒的優位です。衆院での施政方針演説の際、いつもは野党のやじで騒然としている議場も心なしか静かに感じました。こうした政治状況を第2次以降の安倍晋三内閣に重ねて「高市1強」と評する識者やメディアもあるようです。
東京新聞論説室はこうした見方には違和感を覚えます。第2次安倍内閣の発足当初と同じく、与党は参院で半数に達しておらず「ねじれ国会」が続いているからです。
それを示す典型例が、参院での首相指名選挙です。最初の投票で「高市票」は過半数に1票足りず、中道改革連合の小川淳也代表との決選投票になりました。参院を見る限り、「高市1強」には程遠い状況に変わりないのです。
もちろん衆院では自民党だけで3分の2以上の議席がありますから、参院で否決された法案でも、衆院で3分の2以上の賛成で再可決すれば成立させることができます。
高市氏も「熟議の後に決めるべき時は決めなければならない。それが民主主義のルール」と述べるなど、再可決による法案成立を完全否定しているわけではありません。
ただ再可決は、「数の力」で法案成立を図る政権の強引さを国民に印象づけ、政権の体力を確実に奪います。過去には政権転落に至った麻生太郎内閣の事例もあります。
参院自民党には高市氏の政権運営に強い懸念があるようです。代表質問では石井準一党参院幹事長が「参院ではこれまで政権選択選挙となる衆院の多数決の理論とは異なり丁寧な議会運営を心掛けてきた」として高市氏の考えをただす場面がありました。
与野党を問わず、参院には高市政権の監視役を期待します。そうでなければ「良識の府」「再考の府」としての参院の存在意義はありません。
第2次安倍内閣は衆院選の7カ月後の参院選で与党過半数を得て「安倍1強」に至りましたが、高市氏にとって次の参院選は2年半後。大規模な政党・会派の再編がない限り、参院での少数与党が続きます。「高市1強」への道は限りなく遠いのです。(と)
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