世界の富 集中加速―億万長者の政治影響懸念―格差の是正 各国に求める―オックスファム報告書(「赤旗」)、大手新聞が高市首相の冒頭解散を厳しく批判
2026年1月20日
【しんぶん赤旗】1月20日 世界の富 集中加速―億万長者の政治影響懸念―格差の是正 各国に求める―オックスファム報告書
世界各国の政治家や経営トップが出席する世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)の開会に合わせ、国際NGOオックスファムは19日、広がる貧富の格差を告発する報告書を発表しました。発足から1年となる第2次トランプ政権に言及し、超富裕層が「非常に危険な」政治への影響力を強め、富の集中をさらに加速させていると批判しています。
報告書によると、世界の億万長者(ビリオネア、資産10億ドル以上)の富は、2025年は16%増の18兆3000億ドル(約2890兆円)と過去最多でした。億万長者は、初めて3000人を超え、世界一の富豪イーロン・マスク氏の資産は、5000億ドルを突破したとしています。
この富の集中は、過去5年間の平均より3倍超の早さ。これは金持ち減税や世界規模での法人税増税の努力を弱めた米トランプ政権による「親億万長者政策」の結果で、「世界中の超富裕層に利益をもたらした」と述べました。
億万長者が昨年増やした2兆5000億ドルは、世界の下位半分(41億人)の資産とほぼ同じです。報告書は、20年以降、世界全体で貧困の削減は進んでおらず、アフリカでは逆に増加していると指摘。22年時点で世界人口の48%に相当する38億3000万人が1日3ドル以下の「極度の貧困」で暮らしているとしています。
報告書は、「経済的不平等が政治的不平等になっている」と指摘。超富裕層が政治を買い、メディアやAIを支配し、政治のチェックとバランス機能を破壊していると主張しています。
「富裕層の支配にあらがう」と題し、「オリガーキー(新興財閥による寡頭政治)か民主主義かの選択だ」と強調。インターネット通販アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏らは、メディアの所有などを通して、政治的影響力を強めていると指摘しました。オックスファムのアミターブ・ベハール事務局長は、「一部の富裕層と、残りの人々との間に広がる大きな格差は、非常に危険で持続不可能な政治的欠陥を作りだしている」と述べました。
報告書は、人々が自らを組織すれば、富裕層に対抗できるとし、「われわれが力を合わせれば、より公正で平等な世界を要求することは可能だ」と主張。各国政府に対し、超富裕層への効果的な課税などで格差是正に早急に取り組むよう求めました。
【しんぶん赤旗】1月20日 首相、冒頭解散説明できず
高市早苗首相は19日、首相官邸で記者会見し、通常国会召集日の23日に衆院を解散すると正式に表明しました。総選挙は27日公示、2月8日投開票の日程で実施するとしました。しかし、解散の理由について高市首相は「国民の審判を受ける」などの抽象的な言葉を繰り返すにとどまり、政策的・政治的な必然性は何ら示されませんでした。国民不在の大義なき、自己都合解散に対して、有権者からも「なぜいま選挙なのか」と疑問や怒りの声が相次いでいます。
高市首相は解散理由について、「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、国民の皆様に決めてもらう。それしかない」などと発言。首相就任以来、「政権選択選挙の洗礼」を受けていないことを挙げ、高市政権の政策や、日本維新の会との連立政権の是非について審判を仰ぐとしました。勝敗ラインは与党で過半数としています。
また、2025年度補正予算を成立させたことなどを理由に、「経済運営に空白をつくらない万全の体制を整えた上での解散だ」などと強弁。物価高騰対策として「2年に限った飲食料品の消費税率ゼロ」を掲げましたが、財源は「今後設置される国民会議」で検討すると先送りにしました。
国会冒頭での解散は17年9月以来で5回目となります。通常国会召集日に合わせた解散は1966年12月以来、59年ぶりで戦後2回目です。また、真冬の2月に総選挙が行われるのは、90年以来36年ぶりとなります。
解散から投開票までの期間は、戦後最短となる16日間です。岸田政権では17日間、石破政権では18日間で、これで3回連続の超短期解散・総選挙となります。高市首相は、今年度予算案の年度内成立が困難となる中で「影響を最小限にとどめるためだ」と説明していますが、国民の判断機会を著しく狭め、参政権を軽んじる重大な問題と言わざるを得ません。
【東京新聞】1月20日<社説>高市首相が解散表明 大義なき権力の乱用だ
高市早苗首相が19日に記者会見し、23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散すると表明した。物価高対策を最優先課題に掲げながら、2026年度予算案の本年度内の成立を断念してまで、なぜ国民に信を問う必要があるのか、納得できる説明はなかった。大義を欠く権力乱用と断じざるを得ない。
首相は、自民党が連立相手を公明党から日本維新の会に組み替えたこと、自身が掲げる「責任ある積極財政」の是非を問うことを、衆院解散の理由に挙げた。自維連立はいずれ国民の審判を受ける必要があるとしても、冒頭解散は経済最優先の姿勢と矛盾する。
国民は積極財政の効果を実感するに至らず、財政悪化の懸念から長期金利上昇と円安が進み、物価高騰がさらに進む可能性も指摘される。首相の経済運営への評価に戸惑う有権者も多いだろう。
首相は政策実現には「安定した政権基盤」が必要と訴えたが、説得力に乏しい。現状でも予算案の年度内成立は可能だったからだ。衆院で過半数を占める与党に加え野党の国民民主党も予算案の早期成立への協力を約束していた。
首相が自民党の衆院選公約にする考えを示した食料品の消費税減税も、すでに多くの野党が唱えており、解散などしなくても、約2年9カ月残る現衆院議員の任期内に実現できる状況だ。
冒頭解散は結局、内閣支持率の高いうちなら与党が勝利できるとの党利党略でしかない。台湾有事を巡る首相答弁や裏金問題などの「政治とカネ」、旧統一教会と自民党との密接な関係に対する追及を避ける意図もうかがわれる。
衆院選は27日公示、2月8日投開票の日程で、解散翌日から投票まで戦後最短の16日間。経済や外交・安全保障政策など重要課題で論戦を深めるには十分な期間とは言い難い。予算編成期の地方自治体には選挙事務が重い負担になる。雪深い地域はなおさらだ。
憲法7条は、内閣の助言と承認による衆院解散を天皇の国事行為の一つとし、解散は「首相の専権事項」と解釈されてきた。
しかし、内閣不信任決議案が可決されたり、国論を二分するような問題がないにもかかわらず、勝てそうだからという、党利党略の解散が「国民のために」と言えるのか。衆院選では各党・候補者の公約はもちろん、冒頭解散の是非も問われなければならない。
【毎日新聞】<社説>高市首相の解散表明 独りよがりにしか見えぬ
説得力は乏しく、かえって疑問が増した。独りよがりな姿勢と言うほかない。
高市早苗首相が記者会見で、23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散すると表明した。石破茂前政権からの政策転換や、日本維新の会との連立などについて「国民にご判断いただく」と強調した。
だが、政策実現に集中するとしてきた前言を翻し、政治空白を作ることになる。弊害を押して衆院選を行う大義は見えない。それどころか、こじつけのような無理のある説明に終始した。
象徴的なのが、戦後最短の選挙日程だ。解散から2月8日の投開票まで16日間しかない。
解散に伴い、来年度予算案の成立は4月以降にずれ込む公算が大きい。「超短期決戦」とするのは、予算成立の遅れを小さくするためだという。大型補正予算を組んでおり、「経済運営に空白を作らない万全の態勢を整えた」とも釈明した。
しかし、物価高対策などを重視し、来年度予算案の年度内成立が最優先だと訴えてきたはずだ。補正予算は選挙を前提に編成したものではない。
政権基盤の弱い首相には、内閣支持率が高いうちに選挙を行い、自民党の議席を増やそうとの狙いがある。野党の態勢が整う前に勝負をつけたいのだろう。
場当たり的な対応も目立つ。2年間に限り、食料品を消費税の対象外としたい考えを示した。立憲民主、公明両党による新党が先に消費減税を打ち出したことへの対抗策とみられる。
ただ、首相は就任後に消費減税を封印し、「物価高対策として即効性がない」と否定してきた。
税と社会保障の一体改革に関する国民会議の設置も不透明になった。年頭会見で「与野党の垣根を越えて議論したい」と述べていたが、本気度が疑われる。
自民は前回選から一転し、派閥裏金問題に関係した議員らを公認する調整に入った。「政治とカネ」の問題に幕引きを図ろうとしており、反省が全くうかがえない。
首相は解散について「今しかない」と強弁したが、政権維持にきゅうきゅうとした身勝手な判断だと言わざるを得ない。国民の政治不信を高めるばかりである。
【朝日新聞】(社説)大義なき冒頭解散 国民より首相の「自己都合」優先
メディアで検討が報じられてから10日。ようやく高市首相が記者会見を開き、23日召集予定の通常国会冒頭で衆院を解散し、27日公示、2月8日投開票の日程で衆院選を行うことを表明した。
解散から投開票までわずか16日間。各党が公約を練り上げ、有権者がそれを吟味する時間を与えない戦後最短の「短期決戦」である。
■支持率頼みの「奇襲」
首相は「高市早苗が首相でよいのかどうか、主権者たる国民に決めてもらう」と述べ、「責任ある積極財政」や安保政策の抜本改革など、重要な政策転換の是非を問うとした。公約に食料品の消費税率を2年間ゼロにすることを盛り込むことも明言した。
しかし、確実視されていた新年度当初予算案の年度内成立を難しくしてまで、なぜ今なのか。納得できる説明とは言えない。国民生活より自らの権力基盤の強化を優先した「自分ファースト解散」というほかない。
衆院選は一昨年秋に行われたばかり。今の議員は任期4年のうち、1年3カ月しか務めていない。昨年の参院選を含めると、わずか1年4カ月で3度目の国政選挙となる。
首相は高市政権のめざす政策が、前回の衆院選の自民党の公約には含まれておらず、自民、日本維新の会の与党で過半数の議席を得ることで、「政策実現のギアをもう一段上げたい」と語った。
昨年10月の内閣発足以来、政権選択選挙の洗礼を受けていないことを「ずっと気にかけてきた」とも述べたが、物価高対策など「目の前の課題」に専念すると繰り返し、国民に信を問う必要性には一言も触れてこなかったのは首相自身だ。解散を正当化する後付けにしか聞こえない。
高市内閣は今のところ、高い支持率を維持しているが、通常国会が始まれば、政権の内外の諸施策のみならず、自民の政治資金や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐる問題が俎上(そじょう)にのぼるのは必至だ。
人気がしぼまぬうちに、野党の不意を突いて、与党の議席を増やしたい。それが本音ではないか。
■解散権の乱用ただせ
1月の衆院解散は1990年の海部内閣以来、36年ぶりである。この間、歴代政権は国民生活に直結する予算案と関連法案の年度内成立を最優先に考えてきた。
真冬の選挙は、雪国の候補者や有権者にとって、負担が大きい。受験シーズンでもあり、18歳になって選挙権を得た若者を投票から遠ざける恐れもある。
地方自治体はただでさえ、新年度予算案の編成や、国の補正予算に盛り込まれた物価高対策の執行があるというのに、ふってわいた選挙事務が加わり、繁忙を極める。
首相はきのう、雪国や自治体の人への感謝や配慮を口にしたが、自らの判断による国民各層への影響を、どこまで真剣に考えたのだろうか。
朝日新聞の社説は、時の首相が与党に有利なタイミングで恣意(しい)的に衆院を解散できる現在の運用を見直すべきだと、繰り返し主張してきた。
内閣不信任案が衆院で可決された場合の対抗策である解散(憲法69条)ではなく、内閣の助言と承認による天皇の国事行為としての解散(憲法7条)である。
衆院議員は4年の任期をまっとうし、腰を据えて政策の実現に当たる。7条解散は内閣と衆院が対立して政策が前に進まない時などに限る。それが筋ではないか。「大義なき解散」が繰り返されぬよう、解散権のあり方も、衆院選で議論してもらいたい。
消費税をなくす全国の会