高市政権の冒頭解散構想にメディアが一斉に厳しい批判
2026年1月14日
【東京新聞】1月14日<社説>衆院解散の意向 暮らし顧みぬ党利党略
高市早苗首相が23日召集の通常国会冒頭、衆院を解散する意向を固めた。近く正式表明する。通常国会冒頭解散は60年ぶり。投開票は2月上中旬となり、2026年度予算案の年度内成立は困難になる。暮らしを支える経済対策を後回しにしても内閣支持率が高いうちの解散で議席を増やすもくろみだ。党利党略にほかならない。
首相は年頭記者会見で「国民に物価高対策、経済対策の効果を実感してもらうことが大切だ」と早期解散に慎重な姿勢を示した。
物価高騰が国民の暮らしを圧迫し、実質賃金も長期低迷が続く。予算や関連法の成立前で、経済対策の効果が出ていない段階で衆院を解散するのは、物価高対策を最優先課題に掲げてきた首相の姿勢と整合性を欠くのは明らかだ。
石破茂氏から高市氏への首相交代や、公明党から日本維新の会への連立組み替えによる政策転換はいずれ国民に信を問う必要があるとしても、なぜ通常国会冒頭なのか。自民党は昨年夏の参院選後、石破氏の進退を巡る混乱で3カ月の政治空白をつくったばかりだ。
首相が解散を急ぐ背景には内閣支持率が報道各社の世論調査で70%前後の高水準を維持していることがある。通常国会を開けば野党に追及され支持率は下がる。その前に解散し、議席が増えれば政権基盤は固まるとの狙いだろう。
台湾有事を巡る首相答弁や旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党の密接な関係など国会で追及されるべき問題は多い。首相が代表の党支部が政治資金規正法で定める上限を超える企業献金を受け取っていたことや維新の地方議員が国民健康保険料の支払いを免れる「国保逃れ」も浮上した。
冒頭解散で施政方針演説や代表質問、予算委員会での審議を見送り、疑惑への追及を避ける意図があるなら見過ごせない。
仮に自民、維新の与党が衆院選で勝利して過半数を維持しても参院での過半数割れは変わらない。連立離脱した公明党の支援を失う自民がどこまで議席を伸ばせるのかも不透明だ。衆院選の結果次第では、予算や関連法の成立がさらに遅れる事態になりかねない。
24年秋に選出された現衆院議員の任期は2年9カ月残る。与野党の熟議が求められる多党化時代に背を向け、再び自民党支配を目指す強引な解散が妥当なのか。解散の大義が厳しく問われる局面だ。
【毎日新聞】月14日<社説>首相が冒頭解散検討 国民置き去りの党利党略
国民の暮らしが最優先だと繰り返してきたはずだ。言行不一致であり、権力を維持するための党利党略としか映らない。
高市早苗首相が、23日に召集される通常国会冒頭での衆院解散を検討している。2月上中旬の投開票が想定される。
首相は就任以来、物価高対策をはじめとする政策実現に集中すると強調してきた。昨年暮れには「解散を考える暇はない」とさえ述べていたが、年が明けた途端に前言を翻した形だ。
通常国会が1月召集となった1992年以降、1月の衆院解散は例がない。新年度予算案の国会審議が後回しにされ、年度内成立が困難となるためだ。懸案が山積する中で政治空白を生めば、国民生活にしわ寄せが及びかねない。
前回衆院選から1年3カ月しかたっておらず、昨夏に参院選も行われている。現時点で民意を問うべき大義は見当たらない。
内閣が高支持率を維持しているうちに、自民党の議席を増やし、自らの基盤を強化したいとの狙いが露骨だ。
首相は内密に解散を検討してきたとされ、「不意打ち」に自民内でも驚く声が上がる。野党の選挙準備が整う前にとの思惑も透ける。
衆院で与党は過半数ぎりぎりの233議席しか持っていない。参院では過半数割れの「ねじれ」状況が続く。自民の支持率は思うように回復しておらず、首相個人への期待感がしぼめば苦しい立場に追い込まれる。
政権の先行きには不透明感が強い。首相の掲げる積極財政の下で円安が急進しており、更なる物価高を招く可能性がある。長期金利の上昇が止まらず、住宅ローンなどの負担増も懸念される。
首相の台湾有事答弁を機に日中関係が悪化し、レアアース(希土類)の対日輸出規制などで経済に悪影響が出る恐れもある。政治への信頼回復に向けた企業・団体献金の改革も先送りされたままだ。
解散を検討するのは、これらの課題について国会で追及を受けることを避けるためではないか。
与野党が急ごしらえで臨む選挙戦では、十分な政策論争も期待しづらい。どさくさ紛れに政権への「白紙委任」を得るつもりなら、有権者を愚弄(ぐろう)している。
【朝日新聞】1月14日(社説)冒頭解散検討 国民生活より党利党略
高市首相が23日召集予定の通常国会冒頭での衆院解散を検討しているという。最終決断すれば、2月上中旬の投開票が想定される。
国民民主党の協力で確実視されていた新年度予算案の年度内成立を難しくしてまで、選挙を急ぐ理由は何か。国会審議で野党の追及を受けてほころびが出る前、内閣支持率の高いうちに、与党の議席を増やしたい。そんな思惑が透けて見える。国民生活より党利党略優先というほかない。
通常国会が1月召集となった1992年以降、会期の冒頭で衆院が解散された例はない。歴代政権が国民生活に直結する予算案の年度内成立を優先したために違いない。首相は物価高対策や経済政策の効果を早く実感してもらいたいと、「目の前の課題に懸命に取り組む」と繰り返してきたが、言葉だけであったか。
所得税がかかり始める年収ラインの引き上げを含む各種減税措置や、教育無償化などの新規施策の実行が遅れる可能性がある。与野党が有識者を交えて税と社会保障の一体改革を議論する国民会議も、首相の思惑通り、月内に設置できるか不透明となる。
国会が始まれば、特に一問一答の予算委員会の場で、経済対策の実効性や、台湾有事をめぐる首相発言を引き金に悪化した日中関係への対応、官邸幹部による「核兵器保有論」への見解など、首相の答弁が問われる場面が続く。
政策以外の問題もある。韓国で昨年末、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との密接な関係を示す内部文書の内容が報じられた。
首相が代表を務める政党支部が政治資金規正法の定める上限を超えて企業献金を受け取っていた問題や、連立を組む日本維新の会の「国保逃れ」もある。
一連の問題に対し、国会で説明責任を果たさないまま衆院を解散するなら、追及をかわすための「自己都合」と受け取られても仕方がない。
そもそも一昨年秋に選出された今の衆院議員の任期は、2年9カ月も残っている。政権にとって都合のいいタイミングで、任期途中でも解散に踏み切るのは、安倍首相の手法をほうふつとさせる。
思い出されるのが2017年の臨時国会の冒頭解散だ。安倍氏は少子高齢化と北朝鮮の脅威に対応する「国難突破解散」と称したが、森友・加計学園問題の追及を避ける狙いもあったことを、後に回顧録で認めている。
首相が真に国民のためというのなら、今は予算案審議と山積する内外の諸課題への対応に全力を注ぐべき時だ。
【しんぶん赤旗】1月14日<主張>解散・総選挙―あからさまな党利党略の思惑
党利党略、究極の自己都合解散です。高市早苗首相が23日召集の通常国会冒頭で衆議院を解散することです。総選挙は「1月27日公示・2月8日投開票」か「2月3日公示・15日投開票」が有力です。
通常国会が1月召集となった1992年以降、冒頭で解散されたことはありません。国民生活にかかわる予算案の審議を優先することが国会の責務だからです。高市首相自身“物価高対策が最優先。解散など考える暇はない”と言ってきました。
一転、選挙を急ぐ理由は何か。一問一答形式の衆参予算委員会の審議など、野党の追及で“ボロがでる”のを恐れ、内閣支持率が高いうちに自民党の議席を増やしたいとの思惑があからさまです。
■ゆきづまりは深刻
高市政権は、内政、外交ともゆきづまっています。内政では、「物価高騰から暮らしを守って」との願いに反して大軍拡・軍拡増税を迫っています。消費税減税や大幅賃上げ政策もなく、最低賃金1500円を投げ捨てました。今後、高額療養費の負担増など医療・介護切り捨てに批判が高まるでしょう。首相の掲げる「積極財政」によって、財政悪化の懸念からさらなる円安・金利上昇も国民生活に影を落としています。
外交では、高市首相の台湾有事発言をきっかけに極度に悪化した日中関係を打開する展望がありません。トランプ米政権による国際法違反のベネズエラ武力侵攻に一言も言えないアメリカいいなりぶりも異常です。
■統一協会との癒着
安倍晋三元首相を師と仰ぐ高市首相にとって、統一協会(世界平和統一家庭連合)との癒着隠しも、選挙を急ぐ狙いです。昨年末明らかになった統一協会の内部文書によれば、2021年の総選挙で290人もの自民党候補が応援を受けていたといいます。高市首相の名前が32回も登場し、高市氏の総裁選出に期待を寄せていました。安倍氏に続く高市氏の役割など統一協会の政界工作の全容を解明するのが通常国会の役割です。
「政治とカネ」の問題では、首相が代表を務める政党支部が政治資金規正法の定める上限をこえて企業献金を受けていた問題も通常国会で解明すべきテーマです。本紙の24年政治資金収支報告の調査では、裏金事件に関与した自民党議員と選挙区支部長85人のうち、4割超の39人の国会議員関係政治団体がパーティーを開催し、総額約7億7千万円もの収入を得ていました。形を変えた企業・団体献金です。自民党は裏金問題に無反省であり、日本共産党が主張している企業・団体献金の全面禁止が求められます。
連立を組む維新の「国保逃れ」の道義的・政治的責任も問われなくてはいけません。
論戦から逃げ、国会での説明責任を果たさぬまま衆院を解散することは許されないことです。
日本共産党は、首相が解散に出るなら、堂々と受けて立ちます。高市政権の危険な政治を告発し、財界・大企業の利益最優先とアメリカいいなりの「二つのゆがみ」をただし、新しい政治への展望を訴え抜きます。
消費税をなくす全国の会