キャバクラで会合―「身を切る」の内実が問われる(「赤旗」)、本版DOGEの新設 放漫財政の方便では困る(「毎日」)

2025年12月14日
【しんぶん赤旗】12月13日<主張>キャバクラで会合―「身を切る」の内実が問われる
 日本維新の会の政治家の「政治とカネ」をめぐる問題が相次いで発覚しています。
 奥下剛光衆院議員(大阪7区)の資金管理団体が2023年、キャバクラなど酒を提供し女性が接待する店やショーパブの飲食代に約12万円を政治資金から支出していたと「毎日」「読売」(8日付)などが報道しました。本人もX(旧ツイッター)で「政治資金からの支出は不適切であった」と認めました。
■連日のように発覚
 9日には、青島健太参院議員(比例)の資金管理団体が24年、キャバクラやガールズバーなどに「組織活動費」として計約12万円を政治資金から支出していたと報じられ、本人もXで「適切でない支出」と認めています。
 維新の政党支部「日本維新の会国会議員団」が24年、東京・赤坂のスナックに「会合費」として計約28万円を、料亭、割烹(かっぽう)などに約298万円を政治資金から払っていたことも判明しています。
 この件を問われた藤田文武共同代表は会見(3日)で「女性の接待を受ける場というのは不適切だと思う」とする一方、「スナックとかバーとかお酒の出る場所での会合は一般的にはあろうかと思う。一概にダメとは言えない」とし、維新では酒席での「会合」が政治活動として容認されていることをうかがわせます。
 21年、公明党の遠山清彦衆院議員(当時)は、自身の資金管理団体がキャバクラなどに約11万円を政治資金から支出していたことが発覚し、議員辞職しています。
 キャバクラでの飲食代を政治活動だとして政治資金を支出することに国民の理解は得られません。議員の資格が問われる問題です。
 吉村洋文代表は24年の代表選出馬に当たり、「永田町の飲み食い政治はもうなし」「ぶっ壊していく」と強調していました。一連の問題はこの言明に反します。8日の会見では「キャバクラに政治資金を使うのは、普通に考えておかしい」とのべています。そう考え、「身を切る改革」を掲げる以上、これらの議員に厳しく対処すべきです。「改革」の内実が問われます。
■すり替え許されぬ
 スナックなどに政治資金を支出していたのは自民党の上野賢一郎厚労相も同じです。
 与党にはほかにも「政治とカネ」問題が噴出しています。
 本紙日曜版が特報した、公設秘書が代表の会社を通じた公金還流疑惑は維新の藤田共同代表だけでなく、維新の会本部、総務会長の高木佳保里参院議員(大阪選挙区)ほかの議員に広がっています。
 高市早苗首相が代表を務める党支部は24年、政治資金規正法の上限を超える1千万円の寄付を企業から受けていました。小泉進次郎防衛相の支部も同様です。林芳正総務相には選挙運動員にお金を払った公職選挙法違反の疑惑がかけられています。
 飲み食い政治や金権政治を目にする国民の「こんな議員はいらない」という感情を逆手に取り、「政治とカネ」から論点をすり替えるために持ち出されたのが、国民の民意を切り捨てる国会議員の定数削減です。こんなごまかしは到底許されません。

【毎日新聞】12月14日<社説>日本版DOGEの新設 放漫財政の方便では困る
 予算を大盤振る舞いしている高市早苗政権が無駄の排除にどこまで踏み込めるのだろうか。
 政府は財政の効率化を図る部局を新設した。トランプ米政権で注目された組織にちなんで「日本版DOGE(ドージ)」と呼ばれる。
 対象は、企業向けの減税である租税特別措置や、業界などへの補助金、長期の事業のために国の資金を積み立てる基金だ。効果を点検し、乏しいものは来年度以降、廃止・縮小するという。
 企業の研究開発などを支援する減税が年3兆円近くに上るなど規模が大きいにもかかわらず、成果は乏しいとの指摘が多い。深刻な借金財政の下、抜本的に改革するのは当然である。
 問題は実効性のある見直しができるかどうかだ。
 租税特別措置は政治との関わりが深い。本来は時限的な措置だが、企業や業界が繰り返し延長を求め、自民党はこれに応じることと引き換えに業界団体などから選挙で支持を得てきた。
 補助金や基金はコロナ禍の際、政府が経済対策の規模を大きく見せるために急膨張させた。政治家や官庁が関係業界に影響力を発揮する道具と化し、資金の非効率な使い方が目立つと言われる。
 自民では見直しに慎重論が根強い。検討されているのは、以前から不要論が出ていた大企業に賃上げを促す減税の廃止ぐらいだ。
 高市政権も「積極財政」の一環として新たな企業向け減税を検討している。改革に逆行するかのような動きを見せていることが機運をそいでいるのではないか。
 捻出する金額の目標を設けていないことも疑問だ。旧民主党政権の「事業仕分け」では、歳出削減などで得た財源が、目標の3兆円を大きく下回る1兆円台にとどまった。二の舞いになりたくないとの思いもあるようだが、本気度を疑わせる。
 本格的にメスを入れるには、第三者の専門家ら外部の視点を入れることも必要だ。政治家や官僚だけではお手盛りになりかねない。
 もともとは自民と連立を組む日本維新の会の発案だ。高校無償化などの財源を確保する狙いがある。小手先の見直しを成果とアピールし、放漫財政を許す方便にすることがあってはならない。