定数削減 メディアから批判次々、新内閣成立への社説タイトル

2025年10月22日
【しんぶん赤旗】10月22日 定数削減 メディアから批判次々―新聞社説 「読売」と「日経」も問題視
 日本維新の会が自民党との連立合意で「絶対条件」とした、臨時国会で成立を狙う衆院比例定数削減案に、政権寄りの全国紙も21日付社説で問題視し、批判しています。
 「読売」は、自維連立で「政策遂行の体制を整えたことは評価したい」としつつも、定数削減については「維新の掲げる『身を切る改革』をアピールするためのようだが、定数や選挙制度の改革は、民主主義の土俵作りの話だ」と指摘。「本来、国会で議論すべき課題を、政権を担っている党だけで進めようという考え方は、適切とは言えない」と述べ、「そもそも国会議員は少なければ少ないほど良い、という発想は、政治家は無駄な存在だ、と決めつけているから出てくるのだろう。維新は、国会議員が国民の代表であるという認識を欠いている」と、国会への民意反映を軽んじる維新の姿勢を批判しています。
 「自民党と維新は新たな連立時代の道筋示せ」との社説見出しを掲げた「日経」ですが、議員定数削減については「国際比較から見ると、日本の国会議員の数は多いとは言えない。比例代表を減らせば少数政党に不利で、こぼれる民意が出る。衆参の役割分担や民主主義のコストをどう負担するかという議論も乏しい」と指摘しています。
 政権合意で、企業・団体献金の禁止を棚上げしたことについても「自民党に慎重論が多い政治資金の受け手規制から、議員定数削減に論点をずらしたのではないか。政治資金問題を置き去りにするのは許されない」と批判しています。
■テレビ “身を切られるのはあなた”
 議員定数の削減について、テレビでは、無批判に報道する一方、冷静な意見も広がっています。
 20日のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で、「きょう、これ一言だけ言えればと思ってきている」とのべたのは、弁護士の猿田佐世さん。「(維新は)『身を切る改革』っていうんですけど、切られるのはあなたです。テレビを見ているあなたです」と指摘。「民主主義の基本は、全員で議論して政策を決めて、国を運営していきたいんだけど、それができない。だから私たちの代表として、私たちの声を運んでもらうために議員を選んで、その人に代わりに議論をしてもらっている。私たちの代表だし、私たちの声なんです」と強調しました。
 そのうえで、「彼らを切るということは、今、遠ざかっている政治が、もっと遠くなっていく。いろんな民意を吸い上げて国をつくっていくというのが、民主主義なので、その声を届ける人すらいなくなってしまう」と力説しました。
 19日のTBS「サンデーモーニング」では、司会の膳場貴子さんが、「国民的関心が最も高かったと思う企業・団体献金の話や『政治とカネ』の問題が、気がついたら議員定数削減に…」と「論点ずらし」を指摘、コメントを求めました。
 ビジネスと人権研究所代表理事の谷口真由美さんは、「議員定数の削減は、一見いいことのように見えますけど、議員というのは、国民の代表なんで、とくに少数の意見を反映するということが、すごく大事になってくる。(削減して)どこが割をくうかといえば、都心部ではなくて、地方なんです。地方の意見が反映されなくなる。だから、議員定数の削減というのは、ものすごく危ない話」とのべました。

◎新内閣の成立を受けての新聞各社の社説タイトル(10月22日) 

朝日新聞 高市内閣発足 急進的な「改革」姿勢への危惧

毎日新聞 高市新政権が発足 独善に陥れば針路を誤る

東京新聞 高市内閣が発足 暮らし優先で分断慎め

読売新聞 高市内閣発足 新たな時代開く転機となるか

日本経済新聞 高市政権は政策進め難局打開せよ