検証 自公連立 最悪の26年(「赤旗」)

2025年10月12日
【赤旗】10月12日 検証 自公連立 最悪の26年―暮らし・平和破壊 政治腐敗放置
 公明党は10日、自民党の裏金事件など「政治とカネ」での対応が不十分だとして同党との連立政権離脱を表明し、自公政権が瓦解しました。自公連立政権の26年間、「数の力」を背景に、安保法制=戦争法をはじめとした「戦争する国」づくりや年金改悪、消費税増税など、数々の悪政が強行されました。史上最悪の自公連立とは何だったのか。
■「軍事優先国家」に変質
 自公政権が憲政史上に残した最悪の汚点は、憲法9条を蹂躙(じゅうりん)した「戦争する国」づくりです。
 米国のアフガニスタン戦争を支援するためのテロ特措法(2001年)や、イラク派兵法(03年)などの海外派兵法を強行。14年7月、歴代自民党政権の憲法解釈を百八十度変え、これまで認めてこなかった集団的自衛権行使――日本が攻撃されていないにもかかわらず、海外で武力行使する権利を容認する閣議決定を行いました。15年9月には、米軍のあらゆる戦争への参戦に道を開く安保法制を強行しました。
 自公政権は、安保法制で戦争国家づくりを法制面で整備しました。さらに、22年の安保3文書の改定で実践的な方向を固めました。歴代政権が「違憲」としてきた敵基地攻撃能力の保有と全国配備をすすめ、憲法の「平和国家」の理念から「国内総生産(GDP)比1%」に抑えてきた軍事費を2%、年11兆円規模に倍増させました。
 さらに、大軍拡を直接すすめるだけでなく、改定地方自治法(24年)で空港・港湾の軍事利用と地方自治体の軍事動員、学問の軍事動員を狙い学問の自由を侵害する学術会議解体法(25年)、特定秘密保護法(13年)や共謀罪法(17年)、経済秘密保護法(24年)など市民監視と情報統制の強化などをすすめてきました。自公政権は、「平和国家」の看板を壊し、「軍事優先国家」に変えてしまったのです。
■不安定労働・貧困広げる
 自公政権は、大企業・財界の求めに応じて法人税の減税、労働法制改悪を繰り返す一方で、国民には消費税増税、低賃金・不安定労働を押し付け、貧困と格差を大きく広げました。自公政権が大企業最優先の政治をすすめ、国民の暮らしを破壊してきた責任は重大です。
 税制では、大企業への法人税減税の一方で、その穴埋めに消費税増税を繰り返してきました。
 自公政権下で消費税率は14年に8%に、19年には10%に引き上げられました。今回の参院選では、公明党は物価高対策として食料品にかかる消費税率を引き下げることを検討しながら、減税に反対する自民党に合わせて撤回。自民党とともに、公明党も議席を大幅に減らすことにつながりました。
 労働法制の相次ぐ改悪で正規雇用を破壊し、非正規雇用を極限まで広げてきたのも自公政権です。03年には、労働者派遣法を改悪し、製造業への派遣を解禁。雇用の不安定化を進めてきました。08年のリーマン・ショック時には、大企業が派遣切り・非正規切りを強行し、大量の労働者が職を失い路頭に放り出されました。
 18年には、長時間労働への社会的批判が高まっているにもかかわらず、労働時間管理をなくす「残業代ゼロ制度」や「過労死ライン」の残業上限を認める「働き方改革」一括法も成立させています。
■減る年金 増える医療費
 自公政権は「失われた30年」の経済低迷のなかで、国民の暮らしや命を守る政治の役割も投げ捨て、社会保障抑制路線も進めてきました。
 04年には年金給付を物価や賃金の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」を導入。公明党は「100年安心」だと強弁しましたが、「就職氷河期」世代でさえ年金額が減らされます。年金額は実質賃金を下回るばかりで、特に女性の低年金は深刻です。
 医療では、08年に75歳以上を他の世代から切り離す後期高齢者医療制度を開始。1割だった医療費の窓口自己負担は今年10月から一定収入以上は2割に。政府は負担増の対象をさらに広げようと狙っています。
 国民健康保険の都道府県化をすすめ、全国の市区町村で保険料の際限なき値上げを招いています。
 介護保険法の導入で、保険料と保険給付で「高齢者を社会全体で支える」との理念により、サービスを選択できるようになるはずでした。ところが実態は、自公政権のもとで介護給付が次々と削減され、利用者の負担は増加。24年には訪問介護の基本報酬が引き下げられた結果、在宅介護の要である訪問介護事業所の倒産が相次いでいます。
 さらに今年、補完勢力の日本維新の会を巻き込み、OTC類似薬の保険適用除外や、11万病床の削減など4兆円の医療費削減で合意。国民の強い批判で“凍結”した高額療養費の患者負担増も復活させようとしています。
■選挙で裏金議員を推薦
 政治とカネをめぐっても、自民党をかばい続けたのが公明党です。
 自民党派閥の政治資金パーティー収入の不記載=裏金をめぐる疑惑を「赤旗」日曜版が22年11月に特報。これを受けて上脇博之神戸学院大教授が東京地検に刑事告発し、東京地検特捜部が強制捜査に動きました。
 ところが、自民党は裏金事件の真相解明に背を向け、厳しい処分も避け続けてきました。24年10月の総選挙では急速に強まる世論の反発に押され、一部裏金議員を非公認としましたが、その非公認候補にも政党助成金から2000万円を支給していたことを「赤旗」がスクープ。ところが公明党は、自民党が非公認とした候補にまで推薦を出して応援したのです。
 企業・団体献金を巡っても、公明党は禁止ではなく「透明化」の名で温存を主張する自民党に同調。企業・団体献金の禁止を求める野党から自民党を守る“防波堤”の役割を果たしてきました。
 公明党の斉藤鉄夫代表は10日の会見で、「自民党の不祥事を国民に説明し応援することに、地方議員を含め限界がきているのが現状だ」と不満を表明しましたが、裏金事件が明るみに出ても自民党を擁護し、選挙で裏金議員の推薦までしてきた自らの責任からは逃れられません。