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値上げ続出と増税で負担が拡大します
安倍政権は消費税を10%に引き上げ、飲食料品(酒類を除く)や新聞は、8%に据え置くとしています。ところが消費税増税前に牛乳や即席麺など3月から食料品値上げが続出、新聞も1カ月400円前後の値上げです。
昨年11月に政府は「消費税率の引き上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」と題する文書で「消費税率引き上げ前に値上げなど自由な価格設定を行うことを何ら妨げない」としました。各商品の値上げラッシュです。その上消費税10%ではとんでもありません。
消費の落ち込みに「万全の対策」をとるとして複数税率(軽減)の導入やキャッシュレス決裁の「ポイント還元」「プレミアム付き商品券」の発行など複雑なやり方が消費者・中小業者に混乱を持ちこむだけであることが明らかになりました。しかもポイント還元は9カ月間だけです。世論調査では、増税や複数税率、ポイント還元に反対が多数です。日本商工会議所や日本チェーンストア協会なども「軽減」税率導入に反対しています。
格差と貧困を広げる消費税増税は中止すべきです。
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諦めないことが勝つ道です
沖縄県のみなさんは、日米政府の基地押しつけに「諦めないことが勝つこと」とがんばっています。増税も力を合わせれば中止できます。
10%を許せば、19%(日本経団連)、17%、22%(経済同友会)への引上げを要求しており、絶対に許せません。
私たちは10%増税を15年、17年と2回くい止めてきました。それは、くらし悪化による世論と運動、国会での野党の論戦によるものでした。10%中止を求める国会請願署名は1千万人を超え、これが大きな力となりました。
いま山田洋次映画監督など著名人10人が呼びかけた「消費税10%ストップ!ネットワーク」による10%中止一点での共同と署名が歓迎され、各地に広がっています。
選挙に勝って昨年6月、消費税を廃止したマレーシアのように、参院選で安倍自公与党に厳しい審判を下し、増税中止の政党・議員が勝利すれば、10%中止の展望が開けます。
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消費税を増税しなくてもあります
消費税を導入して30年、372兆円の税収の約8割291兆円は法人税3税の減税に消えています(「ノー消費税」330号3面参照)。
その一方で保険料や窓口負担は増えるばかりです。安倍政権のもとでは消費税増税の一方で、法人税は4兆円も減税しました。そして、社会保障のためと言いながら自然増をはじめ制度が次々と改悪され4兆2720億円も削減されました。消費税は増税、社会保障は削減で国民はダブルパンチです。その一方で大企業は優遇されています。
さらに、2019年度社会保障費用自然増約1兆円を6000億円に圧縮の閣議決定しました。75歳以上の医療費窓口負担や「かかりつけ医」以外を受診した際の追加負担の導入、介護ケアプラン作成の有料化などを強行しようとしています。
消費税を増税しなくても財源はあります。法人税や富裕層への優遇税制を正せば社会保障の充実の財源は生まれます。「不公平な税制をただす会」の試算では、大企業・富裕層に応分の負担をもとめることで38兆円の財源が生まれます(図参照)。
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事業者は勿論、消費者も影響を受けます
インボイスとは、消費税10%に伴って導入される適格請求書(送り状)保存方式のことです。
いま事業者は、市販の請求書・領収書を使い、売上げにかかった消費税から仕入れでかかった消費税を差し引いて税務署に納税しています(これを仕入税額控除という)。
インボイスが導入される(増税から4年後)と、税務署が指定する番号付の請求書でないと(経過措置はありますが)仕入税額控除ができません。最も影響を受けるのは、売り上げ1千万円以下の500万免税事業者です。税務署に登録し、課税業者にならないと、取引先に「仕入税額控除ができない」として取引から排除され、廃業に追い込まれかねません。
そうすると消費者は、近所の八百屋さん、定食屋さんや文房具店などが閉店となり、たいへん不便になります。ですからインボイスの導入は、中小業者にとって死活問題ですが、消費者も地域も大きな影響を受けます。
中小業者、消費者が共同し、消費税10%を中止させれば、インボイスも複数(軽減)税率も同時に阻止できます。
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力を合わせれば10%は中止できます
私たちは、15年、17年と2回、10%への増税を阻止してきました。それは、くらし悪化、増税反対の世論と運動、国会の論戦によって安倍政権を追いつめたからです。
安倍政権のもと家計消費は1世帯25万円の減少、実質賃金も18万円の減少です。だから政府の調査でさえ「生活が苦しくなった」方は56%、私たち「なくす会」の調査では8割以上となります。
増税反対の声は、常に多数で10%中止を求める国会請願署名は1千万人を超えました。
総選挙で勝利し消費税を廃止したマレーシアのように、統一地方選挙、参議院選挙で増税中止の政党が勝利するならば、増税中止の確かな力となります。
運動を発展させ世論を高め、選挙で勝利し、10%を三たび中止させましょう。
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これは10%を押し付けるごまかしです
安倍首相は、増税にともない「万全の対策」をとるといっています。しかしそのことは、家計と景気に大きな影響があることを認めたものです。
「軽減(複数)税率」とは名ばかり、食料品と宅配の新聞を8%に据え置くだけで、今より「軽減」されるわけではありません。ポイント還元も5%を9カ月と言い出す始末、プレミアム商品券、福祉給付金も所得制限や1年間の期限付きで、あとは10%だけが押し付けられ、全くのごまかしです。
中小業者は、10%増税に加え、複数税率の混乱、煩雑な事務の負担が増えて大変です。インボイスの導入では、500万の免税業者は、課税業者になるか、ならないと取り引きから排除されかねません。だからインボイス反対で中小企業団体は一致、共同の条件が広がっています。
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増税なしで財源はできます
安倍首相は、10%への増税分を子育て支援、高等教育費の軽減に使うといって、これを人質にとり増税を押し付けようという狙いです。
しかし、子育て・高等教育支援などの財源は、消費税増税なしに税金の集め方・使い方を変えればできます。集め方では、大企業の法人税の実質負担10%をせめて中小企業並みの18 %にすれば4兆円、富裕層を優遇している分をただせば1兆円、これで新たに増税分の5兆円を生み出し、10%への増税は必要ありません。
使い方でも、原発、攻撃型のオスプレイやステルス戦闘機、大型開発のムダを削ればさらに財源はできます。
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十分可能です。
消費税率は2014年4月に8%に引き上げられてから、10%への増税は2度にわたって延期されました。安倍政権が増税を強行したら政権維持は困難と判断したためです。8割を超えようという増税反対の世論と1000万人を超える署名が政治を動かしたのです。
これまでも国民の世論と運動が政治を動かした例は多くあります。そのひとつ2012年8月の現在の消費税増税法の成立直前、反対世論は高まり、1700万人の反対署名のもと、廃案一歩手前まで追い込みました。
税率19%を提唱する日本経団連に後押しされる安倍政権は、延長期限切れの2019年10月には10%への増税を強行する構えです。それまでには都議選、総選挙、参院選と増税の是非を問う機会があります。宣伝・署名運動をすすめ、世論を高めるならこれまでの例のように政治を動かすことは可能です。増税に反対する議員を多く送り出せば増税中止の可能性はますます増します。
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税金の集め方、使い方を変えれば可能です。
消費税は1989年に税率3%で導入。1997年に5%、2014年に8%に引き上げられ、17 年度までの消費税収額は累計349兆円になります。
一方、法人税は一貫して下げられ、法人実効税率(法人三税)は、2012年に消費税導入前の50%から37%に下げられ、16年に30%を切りました。消費税は大企業の法人税減収(累計280兆円)の穴埋めにされました。法人の実行税率は1%当たり4200億円と言われています。法人実行税率を45%に戻せば消費税は5%まで下げることは可能です。
また大企業優遇税制を是正し富裕層への適切な課税によっても財源は生まれます。例えば研究開発減税の是正や所得1億円以上の税負担率が低くなっていること(グラフ)の見直しなどです。
使い方では、毎年増額され5兆円を超える軍事費を削減し、大型公共事業の見直しをすれば財源はできます。
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20代の私たちが年金を受け取るには増税はやむを得ないのでは? |
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消費税に頼らなくても制度維持・充実はできます。
日本の年金制度は、2004年に「改正」され、「賦課方式」といって現在働いている人の保険料を財源に、受給者に年金を給付することになっています。だから働いている人たちが保険料を払っている限り、制度は維持され、給付されます。受給額は、国民年金は保険料を払った年月に応じ、厚生年金は保険料を納入した年月と額に応じて決まります。ただ給付水準を削減する「改悪」によって、給付削減が続けられています。
増税勢力は「財源不足で年金制度が危ない。だから消費税を上げる必要がある」と言います。これは消費税を増税するためのごまかしです。年金には国庫補助として基礎年金の2分の1の税金が投入されますが、年金給付総額の2割弱にしかなっていません。国が130兆円の年金積立金の株への投資をやめ、年金の充実に活用するなら数十年の財源になります。消費税の増税をしなくても若い世代の将来の年金維持は可能です。
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Q |
1000兆円の借金があるので、増税はしかたがないのでは? |
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その必要はありません。計画的に財政再建はできます。
財務省が2016年1月に発表した「国の財務書類」によれば、日本政府(一般会計+特別会計)が抱える負債(国債、短期証券)は1172兆円。GDP(国内総生産)の2倍以上の借金をかかえています。しかし、一方、日本政府は680兆円もの貸付金や不動産などの資産があります。負債額から資産額を差し引くと純債務は492兆円にすぎません。
経済アナリスト・森永卓郎氏は『消費税は下げられる! 借金1000兆円の大嘘を暴く』の本の前書きで「日本の財政は、世界一健全」と言っています。
国債は、4割近くを日本銀行が保有し、3大メガバンクや生損保会社など金融機関全体で8割になり、これらに大きな利益をもたらしています。
財政再建のためには、まず税収と歳出を一致させ(プライマリーバランス)、新たな借金をつくらないことです。そのためオスプレイ購入やリニア新幹線建設などのムダを削ること、「税金の集め方」では、富裕層やもうけている大企業に応分の負担をしてもらうことです。その上、50年、100年計画で借金を少なくしていくことです。
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争点隠しの延期ではなく、キッパリ中止し、5%にもどすべきです
安倍首相は6月1日、消費税10%増税を2年半(2019年10月まで)先送りすると表明しました。消費税10%中止・延期の世論は7割を超え、増税中止を求める署名がほぼ1000万人となるなど私たちの運動と世論が安倍政権を追い詰めた結果ではないでしょうか。
そもそも多くの国民の反対の声を押し切り8%増税を強行したため、国民の暮らしはいっそう大変になり格差と貧困はさらに拡大しました。大企業は史上最高の利益を生む一方、非正規で働く5人に1人は「食事を1日2回にしてしのいでいる」といいます。2回も増税を「延期」しなくてはならない経済政策(アベノミクス・大増税路線)は、失敗であることは明らかです。
参議院選挙の争点は、安保法制(戦争法)と憲法、経済政策と消費税増税路線、TPP(環太平洋連携協定)、沖縄基地問題、原発問題など、国民の声を聞かない安倍政権の暴走政治を続けさせるかどうかです。
「延期」の是非を問うというのは争点隠しに他なりません。「延期」ではなく、10%増税中止、5%に戻すことこそ国民の声にこたえるものです。
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Q |
安倍首相や自民・公明党は社会保障の充実に消費税増税が必要だ、と言っていますが |
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消費税頼みでなくても財源はあります
消費税が5%から8%に引き上げられた増税分のうち、社会保障に充てられたのはわずか16%です。安倍首相は、増税分を「社会保障の充実に充てる」気などないのです。
今回の増税延期で安倍首相はさっそく社会保障の財源が不足すると削減を臭わせています。さらに安倍首相は2017年度以降、社会保障の大改悪(介護保険の利用料負担増、年金支給開始年齢の引き上げ、医療の75歳以上の窓口負担増など)を計画しています。
安倍首相の言う「社会保障の充実のため」は消費税増税のための口実だということが浮き彫りになっています。
社会保障充実のための財源は、消費税頼みでなくてもあります。富裕層の所得税や大企業の法人税減税を見直し「税金は負担能力に応じて納める」に改めると財源は生まれます。軍事費の増強、米軍への思いやり予算(グラフ参照)、ムダな大型開発を見直せばさらに財源は生まれます。
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憲法に基づく税金の使い方、社会保障を最優先し、人権を守ることです
税金は子育て、若者、社会保障に優先的に使うことです。 今、働きたくても保育所に入れない待機児が増えています。解決するためには、認可保育所の増設、保育労働者の待遇改善などへ国の財政支援が必要です。大学の高学費と有利子の奨学金も問題です。大学卒業と同時に平均300万円の借金を背負っています。就職できたが「非正規雇用で生活が大変、奨学金は返済できない」と困難な実態があります。また、医療、介護、年金の充実が求められています。
そのためには、法人税減税や軍事費5兆円を見直す、米軍基地への思いやり予算や政党助成金などをやめることです。
例えば、法人税減税を見直し、大軍拡を改めれば、認可保育所の増設で待機児がなくなり、大学の授業料半減、給付制奨学金を実現できます。子どもの医療費無料化もできます。
労働者の非正規雇用が4割を占める一方、過労死や長時間労働が多くなる異常な働かせかたが問題になっています。ブラックな働き方をなくし、人間らしい生活ができる働き方や賃金を保証する必要があります。最低賃金は今すぐ時給1000円、さらに1500円への要求が広がっています。大企業の内部留保300兆円の一部を雇用に回すなど、貧富の差を広げないために税金の使い方や働き方を改めることです。
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世論と運動、選挙の結果いかんで中止も、減税もできます
世論と運動を高め、参院選で勝利すれば、消費税10% 「先送り」でなくキッパリ中止し、5%への減税、廃止に向かうこともできます。
世論調査では、7割を超える人が10%増税中止・延期と答え、8%になって「支出を抑えた」や「生活が変わった」が8〜9割にのぼり、暮らしの実態は深刻です。また「増税の撤回、10%中止」の国会請願署名は、ほぼ1000万人になります。この世論と運動が、安倍政権を追いつめ、アベノミクス・増税路線の破たん、参院選の「争点かくし」と相まって増税先送りとなりました。
歴史的に消費税増税問題は、時の政権の命とりにつながる大きな影響を及ぼし、主権者・国民が政党・議員を決めるうえで決定的な選択肢となってきました。
1948年導入の取引高税では、次の総選挙で連立与党は敗北、廃止を掲げた政党が大躍進し1年4カ月で廃止されました。今度の参院選で4野党党首は「来年4月からの消費税10%への引き上げに反対する」ことで一致しました。野党共闘が勝利するなら「中止」や「減税」への道も切り開かれます。 19年10月までさらに世論と運動を高めて総選挙、地方選挙、次の参院選で勝利することがカギとなります。
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Q |
7月の参議院選挙は、どんな選挙になるでしょうか? |
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戦後最大の歴史的選択を迫られる大事な選挙になります。
国の進路とくらしの分野をはじめ安倍政権の暴走をやめさせるのかどうか、戦後最大の歴史的選択が迫られる選挙です。
安倍政権は昨年9月、多くの国民の声を無視し、安保法制(=戦争法)を強行しました。戦争法は憲法9条を踏みにじって、自衛隊が海外で武力行使できるようにする違憲立法です。さらに安倍政権は憲法9条を変える明文改憲を言い出しています。また、消費税を2017年4月に10%に引き上げようとし、原発再稼働推進、TPP(環太平洋連携協定)協定の強行、沖縄新基地建設強行など、暴走はとどまることがありません。
一方、戦争法に反対するたたかいを通じて、国民1人ひとりが主権者として声をあげる戦後かつてない新しい市民運動、国民運動がわき起こっています。
「野党は共闘」の声にこたえ、5野党党首合意が行われ「安保法制=戦争法の廃止、立憲主義回復という大義の実現のために、思い切った対応を行う」ことを表明。参議院1人区での統一候補の実現をめざしています。日本の歴史で初めての市民革命的な動きの中で迎える選挙です。
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Q |
安倍首相は「消費税10%延期」を臭わせていますが? |
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増税反対の国民の声と運動が追い詰めているからです。
安倍政権は2014年4月に消費税を8%に増税し、17年4月には10%値上げを実施しようとし、わずか3年間で5%から10%へと倍増する横暴なことをやろうとしています。
麻生財務大臣は「5%から10%への増税で、国民1人当たり8万1000円、1世帯当たり18万4000円の負担増になる」と答弁。労働者の実質賃金は4年連続マイナス、失業者は222万人にものぼり、年金も据え置かれ購買力の低下で、商店の売り上げも低迷するなど国民の生活は大打撃を受けています。
「増税中止」や「延期」を求める世論は6割にも達し、私たちの運動の広がりのなか消費税中止を求める署名は975万人となり、安倍政権を追いつめています。安倍首相自身も「家計消費の落ち込みは想像以上」と国会答弁で認めています。政府が行った国際金融経済分析会合で、ノーベル経済学賞のアメリカ人学者2人が「増税はやるべきでない」と提言しています。
安倍首相は参議院選挙の得点稼ぎのため、延長のポーズをとっていますが、公明党は「10%増税をすべき」との強行姿勢です。しかも、法人税率の引き下げや複数税率・インボイス方式の導入も決めています。安倍政権のアベノミクス、増税路線の破たんは明らかです。10%増税を「延期」ではなく「中止」させることこそ、国民の願いです。
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増税は貧困と格差を拡大します。やめるべきです。
消費税増税は、物価を上げ、購買力を低下させ、貧困と格差を拡大し、中小業者を倒産・廃業の危機に追いやります。
消費税は、もともと所得の少ない人に重くのしかかる最悪の不公平税制です。
○消費税は、社会保障のためではありません。27年間に私たちが支払った消費税は304兆円、国民一人当たり約240万円になります。このうち87%に当たる263兆円が、大企業の法人三税の減
税・減収の穴埋めになりました。
○大企業は消費税を1円も負担せず、中小零細企業には「酷税」です。中小業者の6割は、消費税を売上げに上乗せできず、身銭を切って納めています。下請会社が大企業に消費税分を請求しても、逆に単価や消費税分を削るよう要求されます。すると下請け会社は、その消費税分も負担しなければなりません。
一方、輸出大企業は、商品の仕入れにかかったとされる消費税は全額還付され、そのまま懐に納めています。税率が上がれば上がるほど還付金が増える不公平な税制度です。
○リストラを促進させる税金です。
大企業は、正規雇用を派遣労働者や請負会社に置き換えるリストラをすすめ、消費税負担を減らすことを狙っています。派遣会社を通じて支払う賃金は商品と同じ扱いで、仕入れ税額控除になるためです。
いま大企業や富裕層は、優遇税制やタックスヘイブン(租税回避地)を利用し、税逃れをしています。これらに応分の負担を求め、消費税増税は中止・廃止させましょう。
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消費者も事業者も大きな負担増に。
「軽減税率」(複数税率)、インボイス制度とも、重要な争点です。
「軽減」と言っても、食料品と新聞を8%に据え置くだけで、他は10%に引上げられ、国民にとって大負担増になります。ですから「軽減税率」といって税が軽くなるかのように言っていますが、全くのごまかしでしかありません。
加えて中小業者や農漁民は、複数税率に伴う事務の煩雑さの負担がかぶさります。さらにインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入を自民、公明党が強行し、2021年から実施の予定です。
インボイス制度は、仕入れ先から、既に消費税をいくら払ったかを明記した「請求書」(税務署に登録した番号付き。「送り状」ともいう)を受け取り、自らも販売先に「請求書」を発行する制度です。この「請求書」がないと、納税の際に仕入れにかかった消費税額を差し引くこと(仕入税額控除)ができなくなります。売り上げ1000万円以下の現行の免税業者は、登録して課税業者になる過酷な道か、課税業者にならないと取引から排除され廃業に追い込まれるかの二者択一が迫られます。
10%増税中止、インボイス制度やめよ、の声を広げましょう。
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可能性がますます高くなる。
昨年9月19日に強行採決された憲法違反の安保法制(戦争法)が、3月29日に施行されました。自衛隊が海外で武力行使し戦争に参加することが現実のものとなりました。戦争法の強行と一体で安倍内閣は、防衛費(軍事費)を膨張させ今年度は過去最高の5兆円を突破しました。購入する武器は、オスプレイ、戦闘機など先制攻撃向けのものが重点。購入先はもっぱらアメリカで、2015年度は4657億円と12年度の3・5倍に急増しています(井上哲士・日本共産党参院議員調べ)。
戦争は長期化することがしばしばです。アメリカによるイラク戦争は「短期に終わる」との予想を覆して約9年近くにも及び、戦費やイラク駐留費などで支出は190兆円にもなりました。日本の年間予算の2倍にも及ぶ額です。
戦争が長期化すると、日本でも通常の税収で賄いきれないとき財源探しが始まります。消費税のように税率を上げやすく、取りやすい税が狙われる可能性が高くなります。
戦争法は「殺し殺される」危険な法律であるとともに国民から収奪を強めるものです。
「消費税をなくす会」が訴えてきた「消費税 憲法変えれば 戦争税」が現実となってきました。
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法人税減税額の穴埋めに
「消費税は社会保障のために」というのが、導入時からの政府の宣伝でしたが、それは全くのごまかしでした。下の表にみられるように、消費税収はそのほとんどが大企業の法人税減税による減収の穴埋めになっていることが明らかです。
消費税が導入されて以降、2015年度までの27年間で、消費税の累計はなんと304兆円という莫大な額です。ところが企業の法人3税が消費税が導入された1989年の40%から、2015年には23.9%にまで減税され、その結果263兆円も法人税が減収になりました。この額を比較すると丁度消費税が法人税減税の肩代わりになっていることになります。一方で社会保障費は必要経費が毎年削られ、改悪されています。安倍政権になってからも大企業減税と社会保障改悪は毎年連続しています。
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安倍政権になってからも改悪続きです
社会保障費は高齢者の増加や医療技術の進歩などによって制度を維持するだけでも自然に増えます。ところがその自然増分を毎年カットし、本来なら1兆円の増額を必要としているのに、半分の5000億円以下に抑え込んできました。そのため毎年医療や年金、介護、生活保護などの改悪が行われています。安倍首相になってからの改悪の上にさらに今後の改悪計画が進んでいるのです。
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Q |
近代日本「税のたたかい」の歴史はどうでしたか? |
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間接税を阻止する粘り強いたたかいの連続でした
江戸時代については、「税のたたかい」として本誌に好評連載中です。近代日本(明治維新以後)の“税とのたたかい”は、『消費税革命』(北野弘久・湖東京至―こうち書房刊)の「日本の間接税―消費税導入までの歴史」という章は次の文章ではじまっています。
「日本人はよく諦めがいいといわれます。……しかし、こと税金、とくに間接税となると簡単には諦めません。そこには、先人達の長く粘り強い運動が見られる」と、次のように紹介しています。
大型間接税の草分けとされる営業税は明治29〈1896〉年実施されましたが事業者から猛烈な反対がおこり、大正15〈1926〉年に廃止されました。取引税は昭和11〈1936〉年国会に上程されるも事業者や業界団体から激しい反対運動がおこり、撤回させています。
売薬税も長いたたかいを経て大正2年(1923年)に廃止されました。戦後、昭和23〈1948〉年に実施された取引高税もわずか1年4ヶ月後には廃止されました。
さらに、今日の消費税導入前のたたかいとして、大平内閣の一般消費税、中曽根内閣の売上税をそれぞれ廃案に追い込んだのも国民的たたかいです。この時(1987年)、「日本橋問屋街で1700人ものだんな衆が売上税反対で決起」、「慣れぬ鉢巻姿で、賛成議員落とせ」と反対デモは、全国に広がりました。
消費税をなくす会は、まさに「先人達の長く粘り強い運動」をひきつぎ、天下の悪税、消費税の廃止をめざして、あらたな歴史をつくる輝かしい存在です。
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Q |
マスコミはなんでアベノミクスを褒めたたえ、毎日安倍首相をテレビにだすのでしょうか? |
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マスコミは本来の役割を放棄しているとしか思えません
「アベノミクスの効果が出てきた、景気が良くなった」とマスコミが煽るのは行き過ぎを通り越し、実体経済からかけはなれて異常だ、と多くの人が気付いています。
21世紀臨調というのが財界の旗振りでできたのは1999年。「新しい日本をつくる国民会議」が正式名称です。その目的に、「マスメディアを通じて日常的な世論形成を行い、政党や政治家の合意形成に努め改革を具体化し、実現できることに最大の力点が置かれた」と述べられています。ここのメンバーには運営委員として大手マスコミの主要な幹部が名を連ねています。
最近、安倍首相は、マスコミ関係者を次から次へと首相官邸などに招き、ごちそうの大盤振る舞いです。「食はペンより強し」という川柳が新聞にありました。日本のマスメディアは、権力を監視するどころか、権力言いなりの愛犬ポチになり下がりました。
日本新聞協会が制定した「新聞倫理綱領」は、「国民の『知る権利』は民主主義社会をささえる普遍の原理である。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない」と明記しています。
私たち国民は、マスメディアを監視し、批判精神をもって臨まなければなりません。
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得をするのは輸出大企業、困るのは勤労者です
消費税増税を要求しているのは、財界・大企業です。大企業は、消費税を消費者や取引先に全て転嫁できる力関係にあり、消費税を1円も負担しない実態があるからです。加えて輸出大企業は、輸出する商品の原料など仕入れにかかった消費税分を税務署から還付される「輸出戻し税制度」があり、国からの隠れた「補助金」となっています。輸出大企業が下請けなどの取引先に「消費税分5%値引きして」と押しつけ、払っていないために還付された金額はまる儲けになります。トヨタなど上位10社だけで1兆円近くなります。消費税が10%になれば還付金も2倍になります。
また消費税は、低所得者ほど負担が重く、富裕層ほど負担が軽いという「逆進性」があり、格差が広がる税金です。同じ消費税率でも収入のほとんどを消費に使う勤労者と、収入のごく一部しか消費に使わない富裕層では、消費税の負担割合は、天と地ほどの違いがあります。このように消費税は、負担能力に応じて負担する「応能負担の原則」に反する憲法違反の税金です。
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消費税増税と医療・介護保険料増など、1か月分の所得が消えてゆく
安倍首相は消費税を10%にするための前提として「物価の2%上昇」をすすめています。消費税が10%増税になった段階で、物価は10%も上がると見込まれています。庶民はすでにこの10年間に、所得税・住民税、社会保険料の引き上げ、消費税負担などで16.9万円の負担増がおしつけられる一方で、実収入は
46.6万円も減らされています。1年間の実支出は10年間で41万円も減っており、当然その分、買い控えで消費が落ち込み、景気も悪化しています。
政府は今後消費税を10%にし、社会保険料などを引上げる一方、子ども手当減額、年少扶養控除廃止などで、サラリーマン家庭に30万円もの負担を押し付けようとしています。高齢者夫婦世帯でも11年間で年金は23.5万円も減額される一方、社会と地ほどの違いがあります。このように消費税は、負担能力に応じて負担する「応能負担の原則」に反する憲法違反の税金です。保険料や直接税、消費税を合わせた負担は10.7万円も増えています。
この上さらに消費税10%、年金給付の3年間で2・5%減などが待ち受けているのです。
これもアベノミクスの正体です。その重要な位置にある消費税10%増税の阻止は、国民の暮らしを守る要の運動です。
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増税の推進か、中止かの見極めが大事です。
自民党 |
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消費税増税法を推進。消費税増税を当て込んだ13年度政府予算案を強行するなど、増税実施にまっしぐら。 |
公明党 |
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消費税増税法を推進。自民と政権を組み、増税実施にまっしぐら。 |
民主党 |
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公約違反の消費税増税法案を自民、公明と「3党合意」で強行。総選挙で国民の厳しい審判。反省はなく増税実施に突き進む。 |
維新の会 |
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「消費税増税はささいなこと」(石原代表)との態度。消費税率11%を公約している。 |
共産党 |
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消費税増税法に反対。富裕層、大企業への応分の負担によって増税の必要なしと、実施中止を主張している。 |
みんなの党 |
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「増税の前にやるべきことがある」と増税凍結を訴えたが、近い将来の増税を示す。 |
生活の党 |
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総選挙で消費税増税に反対を公約するも、財源は示していない。 |
みどりの風 |
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消費税増税は凍結と表明。社民党―消費税増税法に反対を表明。 |
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憲法改悪し戦争できる国へ
「デフレ脱却、景気回復」の旗手と経済政策をマスメディアがもてはやしている安倍首相ですが、改憲手続きを緩和する96条の改定を参院選の争点にすると公言したため、首相の国づくりの本当の狙いが鮮明になり、国民の不安が広がっています。
安倍首相の改憲手続きの緩和の狙いは9条の改悪をしやすくするため。安倍首相は、「自衛隊を国防軍にして交戦権を認め、集団的自衛権を行使できるようにする」と発言しています。日本を戦争できる国につくりかえるというわけです。それには9条は障害になります。そこで9条を変えやすくするための手続き緩和を狙っています。
自民党の改憲案には、集会、結社と一切の表現の自由を保障すると規定した憲法21条に「公の秩序を害するときには認められない」と制限を加える項が入っています。消費税をなくす会をはじめ、国民の運動に規制がくわえられる恐れがあります。
さらに「財政の健全性の確保」の名のもとに、財政赤字の穴埋めに、さらなる消費税増税と国民負担増の布石となるような文言を書き入れようとしています。
安倍首相と自民党などは、基本的人権は「永久の権利」と定めた97条を削り、憲法を権力をしばるものから、国民をしばるものへと危険な改悪をしようとしています。
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社会保障を民間企業に解放
昨年8月、民自公の3党談合で強行された「社会保障と税の一体改革」法の関連法である「社会保障制度改革推進法」の具体化の検討が進んでいます。
その最大の目標は社会保障費の削減にあり、左表のように社会保障全面改悪で、「受益と負担」「自立・自助」を押し付け、国の責任を投げ捨てています。
消費税増税は社会保障のためどころか、消費税10%であらたに生まれる税収13・5兆円を社会保障にはわずか2・7兆円だけで、残りの10・8兆円は財政健全化≠ノ振り替えると財務省。自民党では「国土強靱化」や「成長戦略」の財源にすると主張しています。
その行き着く先は、医療機関の株式会社経営や、混合診療の解禁、民間保険会社の参入など、社会保障を企業経営に解放することに他なりません。医療・福祉のTPP参加への推進です。憲法25条に基く社会保障の原則を守らせることがいよいよ重要になっています。
政府が検討中の社会保障削減策
医療
70才〜74才の窓口負担を1割→2割に。風邪など軽い疾病の保険はずし。風邪薬や湿布・漢方は自己負担。混合診療の解禁。終末期医療の在宅推進。国保の保険
料・税の大幅値上げ
介護
要支援1・2の利用料を1割から2割に。ケアプランの作成を有料化。生活援助の保険はずし
年金
3年間で給付2.5%削減。さらにマクロ経済スライドで引き下げ。支給開始年齢を68〜70才まで延長
生活保護
生活扶助基準の3年間引き下げ、期末一時扶助削減子育て 国の責任を縮小。保育所の基準を地方ごとに自由化。運営は株式会社もOK、保育を儲けの対象に
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Q |
法律は通ったのに、増税をやめさせることができますか? |
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運動と世論たかめ参院選で消費税増税ノーの政党・議員を!
参議院法制局は、これまでに法律が成立したが実施されず、廃止したグリーンカードなど「幻の法制度」があったことや、消費税も1989年に廃止法案が参議院で可決された(衆議院で否決)ことがあったことを紹介しています。
昨年、「社会保障と税の一体改革」の名による消費税増税法や社会保障解体法が審議された際も、増税勢力を廃案の一歩手前まで追いつめました。増税反対の多数の国民世論、それを束ねた1700万人の請願署名が増税反対の政党・議員を励まし、民主党の分裂、増税をすすめる国会議員に影響を与えたからです。
また、昨年成立した「消費税法の一部を改正する法律」には、実施前に「経済状況の判断を行う」という付則があり、安倍首相は、今年秋に検討すると国会で答弁しています。
参議院法制局 コラム集より
律子
「そういえば、消費税の導入後の
参議院選挙で与野党が逆転して、消費税廃止法案が議員提案されて参議院で可決されたことがあったわね」
法男
「そうそう。消費税の場合は、参議院については消費税を導入したときの構成員と異なる構成員による提案・可決だったわけだから、選挙を通じて国民の声を反映した結果として理解できるよね」
(中略)
法男
「国会は……その時々の国民意思を吸い上げ、真に不必要だと判断した法制度は、たとえ実施前でも、民主主義のルールの中で、廃止することができていいんじゃないかな」
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Q |
「社会保障・税一体改革法案」ってどんな内容ですか? |
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今国会で最大の争点となった消費税増税法案は、8月10日の参議院で強行採択され、成立しました。野田首相が公約違反と国民の多数の反対を押し切って、自民・公明との「談合」で作り上げた法案です。この法律は社会保障改悪と消費税増税が一体となって国民を襲うものです。法律の特徴を見てみましょう。
法律の名称は「社会保障・税一体改革に関連する法」と総称されています。その内容は、総論・子ども子育て支援・年金医療・雇用関係・障害者施策・税制の6項目があり、それぞれに独自の法律があり、8月10日に成立した法案は8つもあります。一つ一つがそれぞれに重大な問題、しかも改悪される内容であるにもかかわらず、十分な審議も保障されずに、一度に国会で採択されるなど、全く民主主義を逸脱した無茶苦茶な国会運営が見てとれます。 |
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正式の法律名は「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」と、長ったらしい名前です。中身は2014年4月8%、15年10%に引き上げるというものです。
ところがその中身は?「増税分は全額、社会保障に充てる」としていたものが、民自公3党の合意によって財政を大型公共事業や成長戦略に「重点的に配分する」との条項が付け加えられました。消費税法の付則18条2項に、「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」と明記されたのです。増税分を大型公共事業などに流用できるというものです。野田首相は法案が6月26日に衆議院を通過すると、待っていたように総事業費が約3兆400億円もかかる整備新幹線の未着工部分(北海道、北陸、九州・長崎ルート)を認可しました。
さらに、7月31日、野田首相は「日本再生戦略」を閣議決定し、首都機能拡充・強化、大都市圏の環状道路の整備など大型公共事業の推進へ予算を重点的に配分する計画をぶちあげました。
消費税が社会保障のためではなく、大型公共事業のためだったことがあきらかです。公約違反であるとともに、二重三重の国民だましです。 |
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「消費税は社会保障のため」といいますが、その中身をみると?
法律の名称は「社会保障制度改革推進法」ですが、その中心をなす「基本的な考え方」(第2条)は、憲法を真っ向から否定するものとなっているのです。憲法25条には社会保障にたいする国の責務と国民の権利を明記しています。国民の人間らしく生きる権利があり、それを実現するのは国の責任であることが明記されています。これを否定して、社会保障は国民の「自助・自立」が先にあり、それを「家族相互及び国民相互の助け合い」で支えるとしています。国の責任は埒外においています。「社会保障制度解体法」と言われる所以です。 |
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年金についてーー「支給開始年齢引き上げの検討」を明記しています。
現在国民年金は65歳支給です。厚生年金も65歳支給に引き上げ中です。これをさらに68歳から70歳に引き上げるというものです。68歳支給で約6兆円、70歳支給で約10兆円もの年金削減になります。
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医療についてーー 「給付の対象となる療養の範囲の適正化」を強調しています。
これは保険がきく医療を縮小して、個人の自己負担を大幅に増やすということです。すでに小泉内閣のときに案が出されており、「市販薬類似医薬品は保険外」にするとか、「保険免責制の創設」による自己負担を増やすことが考えられています。また70〜74歳の窓口負担増(現行1割から2割へ)も検討されます。
注)保険免責制とは →個人の自己負担のうち一定額を保険外にして自己負担を増やす仕組みです。医療費が5千円かかった場合、3割負担の場合は1500円ですが、保険免責制は5千円のうちたとえば千円は保険外とし、残りの4千円の3割負担で1200円となり、合計2200円もの自己負担となる仕組みです。保険の範囲を狭めていくやり方です。
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軽度の介護は削減。
介護については「介護サービスの効率化及び重点化をはかる」と記述されています。「より重度の人に重点化」する一方、軽度の人や生活支援のサービスは削られる事になります。すでに厚労省の審議会では *軽度者の利用料を1割から2割に増やす *ケアプランの有料化(つき1千円など)の案が検討されています。
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以上のように社会保障制度改革推進法は、社会保障について改悪につぐ改悪で、消費税が「社会保障のため」は全くのごまかしだということが明らかです。全くの国民だましです。消費税財源を大型公共事業につぎ込むだけでなく、法人税を5%も引き下げることを決めています。国民には消費税を10%に引き上げ、大企業には減税。ますますくらしが大変、景気も悪くなる一方です。
社会保障の具体的な法律は、新設する社会保障制度改革国民会議によって審議する(法第4条)、とされ、総理大臣が任命する20人の委員で審議することになっています。国民が選んだ国会議員や国会を無視して法律を作成するなど、「密室談合」に次ぐ国会無視のやり方です。
今の政治がいかに国民いじめ、大企業優遇かが露骨に進行していることが見てとれます。こうした政治を国民の生活第1の政治にかえることが、いよいよ大きな課題となっているのではないでしょうか。 |
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消費税は、人々が生きるための衣・食・住にそっくりかかる税金。
所得の多い富める人も、少ない年金や失業で、ぎりぎりの生活に追われている弱い人も、同じ消費に対して同じ税率です。所得の少ない人ほど負担割合が重い税制として、憲法が要請している応能負担の原則に反する不公正、不平等の税制です。子どもからも、寝たきりのお年寄りからも生きている限りとられる過酷な税金です。
税金における「公平」とは、平和と民主主義、社会保障を明記した日本国憲法にもとずいて、生活費には課税しない、税金は所得の多い人から重く、少ない人は軽くという「応能負担」でなければなりません。消費税はこうした税のあり方と真っ向から相反する「逆進性」の税です。税制は直接税を中心に、総合累進課税で課税、の租税民主主義の原則に立ち返ることが必要です。
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1989年4月、消費税導入の際、政府は「高齢化社会のため」と大宣伝をし、多くの国民はそれを信じ込まされました。しかし、この22年間に、健康保険本人の医療費自己負担は一割から3割に引き上げられ、老齢年金の支給開始年齢も60歳から65歳におくらされ、介護保険制度の創設で、保険料の負担に加えて利用者負担が請求され、さらに75歳以上の医療差別を行う後期高齢者医療制度の発足、などなど、社会保障は衰退の一途。「消費税導入は福祉のため」ということが真っ赤なウソだったことがはっきりしました。1992年9月3日号の「週刊新潮」で、当時の加藤寛政府税制調査会長が、「高齢化社会のためといわれ、われわれ税調もそう説明したが、本当はああ言えば一般の人にわかりやすいから」と国民だましを告白しました。 こうした事実から消費税は福祉のためではなかったことは明らかです。
では何に使われたのでしょう。
この22年間に消費税の税収は238兆円です。しかし、同じ時期に大企業などの法人3税は、相次ぐ減税と景気の低迷のなかで、223兆円の税収減になっています。これではまさに、消費税収が、そっくり法人税の穴埋めにされてしまったといっても過言ではありません。また、もうひとつ注目すべきは消費税導入の翌年から、日本の軍事費はぐんと伸びて、現在世界でもトップクラスの年間5兆円にもなっていることです。
消費税の導入が決まったとき、当時の竹下首相は「これで(消費税導入で)国債貢献することができる」と述べました。消費税のもう一つに目的は軍事費の拡大のためだったと言えます。 |
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民主党政権は選挙の時には「4年間は消費税を引き上げない」といっていましたが、6月には「社会保障と税の一体改革」の成案を決定、消費税を2010年半ばまでに10%まで引き上げるとし、通常国会に提出することを言明しました。同時に社会保障についても大改悪するというもので、年金額の削減、保育への公的責任放棄、高齢者の医療費負担増、外来受診時の定額負担などが議論されています。
これでは庶民は消費税増税と社会保障改悪のダブルパンチ、負担が増えるばかりです。各国の社会保障の財源構成を比較した表を見て下さい。イギリスでは消費税の割合は11.4%、ドイツは10.7%、フランスは4.5%、イタリアは8.8%、スエーデンは12.3%などで、ヨーロッパの社会保障は消費税によってささえられているのではないことがよくわかります。日本との決定的な違いは、大企業の「事業主保険料」です。そしてその他の税=所得税や法人税などの累進制度の税です。
日本が社会保障を充実させる最大の道は大企業が社会的責任を果し、社会保険料や税を負担することです。社会保障のために消費税をーという目的税になれば、社会保障をよくしたいといえば、消費税増税を、消費税増税がいやなら社会保障は改善できない、と泥沼になるばかりです。
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たしかに消費税(付加価値税)は、ドイツ19%、スウエーデン25%に対して日本は5%ですが、数字だけで高いか低いかとは決していえません。
日本は大根もダイアモンドも一律5%で非課税はほとんどないため、生活が消費税づけで、消費支出の何と89%にも消費税がかかっています。一方、欧州の消費税を見ると、例えばイギリスでは標準税率は17.5%ですが、食料品、上下水道サービス、新聞、雑誌、書籍、子どもの服や靴にいたるまで日曜生活費はゼロ税率です。生活費非課税が行き届いているために、消費税がかかっているのは消費支出の62%なのです。スウエーデンは標準税率が25%ですが、消費支出の割合は58%、イタリアは同じく20%に対して52%です。日本は消費税率は5%ですが、こうした結果、税収全体に占める消費税収の割合は、イギリスは17.5%の税率に対して22.0%、スウエーデンは25%の税率に対して24.6%と比べ、日本は税率が5%でもすでに14.7%になっており、決して低いとは言えません。
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日本はいま、国と地方合わせた借金は850兆円にものぼるといわれています。この膨大な借金を孫子の代まで残してよいのか、これは国民の借金だから、みんなで力を合わせて返すために消費税の二桁増税もやむを得ない、という宣伝がマスコミを通じて、まことしやかに流されています。
大事な事はこの借金を誰がすすめ、誰がトクをしているかをはっきりさせることです。まったく私たち国民の責任ではありません。1%で2兆5000億円もの税収を得られる消費税。この消費税があることで、歴代の政府が安易な放漫財政を重ねた結果の借金です。
消費税が実施されて以降、法人税の税率は10%、所得税の最高税率は20%、住民税の最高税率も6%も引き下げられ、大企業や大資産家ほど大きく減税されました。国民から消費税でがっぽり吸い上げ、大企業や大資産家の懐を大きく膨らませたのです。
国民から吸い上げた税収は、大型公共事業費や、大銀行の不良債権の処理、世界第2位にのぼる5兆円もの軍事費などに湯水のように使われ、国民の社会保障や生活はどんどん切り捨てられてきたのです。
国の借金を消費税で埋めるなどとんでもないことです。これまで減税などで大きな利益を上げてきた大企業の法人税や、大資産家の最高税率を元に戻し、社会保障費負担を増やすなど、税制のあり方を基本にもどすことです。
そして年間5兆円もの世界でトップクラスの軍事費にメスを入れ、国民のくらしと社会保障にまわすべきです。
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資料1:消費税が導入されても社会保障は悪くなるばかり
資料2:消費税20年…税・社会保障などをめぐる主な出来事
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