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GDPプラス成長―実態は消費低迷、賃金マイナス(「赤旗日曜版」)
2025年8月31日
【赤旗日曜版】8月31日<経済 これって何>GDPプラス成長―実態は消費低迷、賃金マイナス
 4~6月期の実質GDP(国内総生産)・成長率は前期比0・3%増(年率1・0%増)でした。同時に、前期(1~3月期)の成長率が統計の見直しでマイナスからプラスに修正されたことにより、5期連続のプラス成長となりました。
 今期のプラス成長は、設備投資が企業のソフトウエア投資などで1・3%増、輸出が米国トランプ大統領による高率関税適用を前にした駆け込みなどで2・0%増とそれぞれ伸びたことによるものです。
 とはいえ、5期ともゼロ%台の成長率で、GDPの5割強を占める肝心の個人消費は停滞し続けたままです。今期の個人消費も賞与時期にもかかわらず、わずか0・2%増でした。設備投資も企業のソフトウエア投資が一巡すれば再び低迷し、輸出も駆け込みが終われば減少に向かうと予想されます。結局、日本経済は依然として停滞状況から抜け出せていないのです。
 政府は、プラス成長の連続で「景気」は緩やかに回復しつつあるといいます。しかしGDPがプラス成長でも「景気」が回復しているなどとはいえません。GDPは、経済活動の結果としての経済規模や勢いを示しても、経済実態を示すものではないからです。GDPが増えたからといって雇用や所得、消費の拡大につながるわけもありません。問題はGDP成長率ではなく成長の中身です。
 GDPがプラス成長を示す中、政府の主張とは逆に国民生活は高物価に苦しみ、企業倒産件数は人手不足などから2022年から再び増大しはじめ、24年には11年ぶりに1万件を突破し、今なお増え続けています。実質賃金も人手不足にもかかわらず24年まで3年連続でマイナスを記録し、今年に入っても1~6月の6カ月連続でマイナスです。また、社会保険料などの国民負担が増え続け、国民の可処分所得は逆に減り続けています。さらに、減収減益に陥ったり希望退職募集をしたりする大企業も増え始めています。しかも、上昇し続ける物価を前に政府は有効な手だてを打てず、日銀も経済実態に配慮して金利の引き上げに踏み切れないでいます。
 さらに、日本経済の前には深刻な問題が横たわっています。それは、物価が高止まりする中で、米トランプ政権の高関税政策の影響を受けることです。輸出が抑え込まれれば、国内の設備投資や雇用、さらには賃金上昇にも水を差します。とくに、対米輸出の4割を占める自動車への高率関税は、自動車メーカーだけでなく膨大な自動車部品、素材メーカーの投資と雇用、さらには地域経済に打撃を与え、日本経済の停滞を助長します。
 IMF(国際通貨基金)の今年の世界の経済見通しは全体で3・0%増、中国4・8%増、米国1・9%増、先進国1・5%増、ユーロ圏1・0%増とする一方、日本は0・7%増と相変わらずの低い数値です。経済の循環構造が崩れ、自己再生能力を失い、さらに政府の的外れな政策が続く限り日本経済の再生はありえないということです。
                  工藤昌宏(くどう・まきひろ重昂工科大学名誉教授)