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2025年の世界と日本の経済㊤ 米新政権におびえる世界、同㊦ 国民に背を向ける政府
2025年1月10日
【赤旗】1月7日 2025年の世界と日本の経済㊤ 米新政権におびえる世界
         東京工科大学名誉教授工藤昌宏さん
 20世紀、世界は2度の大戦を経て、ようやく安定しはじめたかに見えました。しかし、21世紀になると、再び暴力が支配する世界に逆戻りしたかのようです。ある調査機関によれば、2023年時点で国家規模の紛争は第2次大戦後最多の59件に達し、今なお進行中であるといいます。
  対立への誘導
 先ごろ、北大西洋条約機構(NATO)事務総長は、「戦時思考に転換する時だ」と述べ、加盟国の国防費の引き上げの検討に着手しました。人類を滅亡させかねない核戦争の脅威も、かつてないほど高まっています。
 背景には、市場経済が宿命的に抱え込む矛盾が横たわっています。利潤獲得のための市場争奪競争は、20世紀末以降、情報技術の発展を契機に加速し、経済のグローバル化を一気に推し勧めめました。しかし、経済のグローバル化は競争をさらに激化させるとともに企業破綻や失業、格差、貧困といった市場経済が根源的に抱え込む問題を深刻化させて各国経済を停滞させます。そのことが逆に企業の利潤獲得を困難にしています。
 問題はそればかりではありません。各国経済の停滞は、世界を再び協調から対立へと誘導しています。とくに、米国と中国という二つの大国間の対立は、世界を分断し、「制裁」などといった経済的暴力までも横行し始めています。経済の停滞と、軍事力の行使、経済的暴力の行使は無縁ではないということです。 
 しかし、市場経済のもたらす混乱を少しでも和らげ、経済秩序をできるだけ持続させるには世界的な協調が欠かせません。それにもかかわらず、その役割を担うべき国際機関は機能不全に陥り、暴力の連鎖は出口すら見えない状況です。混乱は、外国為替相場や株価、さらには金利の乱高下となって表れています。
  孤立招く脅迫 
 このような状況の中で、米国ではトランプ氏が大統領選で圧勝し戻ってきます。圧勝の背景には、米国が置かれた現状への不満とともに、豊かさから取り残された人々の怒りがあるといいます。
 トランプ氏の掲げる極端な内向き政策である自国第ー主義が、それらの怒りの受け皿になったということなのでしょう。しかし、トランプ氏の自国第一主義は、これまで積み上げられてきた自然環境などをめぐるさまざまな国際協調行動を無視ないしは拒絶する姿勢と表裏をなしています。このような、国際協調体制を根こそぎ破壊し、世界を分断させる行為は世界をさらに混乱させ暴力的にさせます。トランプ氏の当選とともに、保護主義が強まり世界貿易が混乱するのではとの思惑から、早くも各国経済は動揺し始めています。 
 さらに、トランプ氏は世界中に圧力をかけ始めています。大統領選に勝利した直後には、ブラジル、ロシア、中国などを念頭に、米国のドルの基軸通貨としての地位を脅かす行動をとれば、「素晴らしい米国経済と別れを告げることになるだろう」と警告を発しました。 
 このことから米国が何を最も恐れているかがわかります。ドル基軸体制が崩れれば、米国経済は一気に窮地に陥ることになるからです。「制裁」という言葉を使ってでも、圧力をかけ続ける理由もここにあります。
 しかし、このような保護主義政策や脅迫行動は、世界経済を停滞させるだけでなく、逆に米国を孤立させ、米国内のインフレを助長します。結局、トランプ氏の政策はトランプ氏自身を追い詰めることになるでしよう。
 いずれにせよ、今後4年間、世界はトランプ政権の動向を前に異様な緊張感に包まれることになります。

【赤旗】1月8日 2025年の世界と日本の経済㊦国民に背を向ける政府
 昨年2月、日経平均株価は3万9千円台に上昇し、1989年12月の戦後最高値3万8900円台を34年ぶりに更新しました。さらに4月には4万円台に達しています。その後、平均株価は乱高下を繰り返し、4万円を天井に3万8000~9000円台で推移しています。
  不況下の株高
 株価の高騰は日本経済の活況を思わせます。しかし、実際はそうではありません。今回の株高は、日本経済や企業業績の改善によるものではなく、政府・日銀による株価つり上げ策を土台に、米国のテック株の急騰、急激な円安による輸出関連株の高騰など特殊要因によるものです。
 米国テック株の熱狂や円安が収まれば、日本の株高は一気に反転します。つまり、今回の株式市況の熱狂は、経済停滞下で行き場を探していた国内外のお金が特殊要因を背景に日本株に流れ込んだことによるもの、いわば不況下の株高ということになります。むしろ、急激な株価高騰は経済が不安定な状況にあることを裏付けます。そもそも、株価の最高値更新に34年もかかった国はありません。 
 株価とは対照的に、日本経済は今日に至るまで30年以上にわたって停滞しています。経済の体温計である長期金利は、1997年以降2%を割り込み、直近では1%程度で推移しています。日銀も、景気に配慮して金利を引き上げられないでいます。低金利は、利潤が上がりにくく投資先も細っていることを意味します。利潤が上がらないために、企業は人件費を削減し、そのため消費も停滞し続けてきました。
 経済の規模と勢いを示す実質国内総生産(GDP) も、先進国の中で唯一、日本だけが1990年代以降低迷し続けています。名目GDPでみると、2010年に日本は中国に抜かれ3位に、23年にはドイツに抜かれ4位に後退し、さらに25年にはインドに抜かれ5位に転落すると予想されています。
  劣化する生活 
 日本経済没落の背景にGDPの5割強を占める個人消費の停滞があります。その原因は、雇用不安、低賃金、国民負担(税、社会保険料)、将来不安(雇用、年金、医療など)、高物価など―つまり、停滞は国民生活の劣化によるものなのです。そして、その最大の要因は政府の失政にあります。
 政府は、これまで国民生活の劣化を食い止める施策を一切行わず、「科学技術立国」とか「電子立国」などの内実のない看板を次々に掛け替え、さらに効果のない的外れの施策を反省もないまま繰り返してきました。そればかりか、無駄遣いを放置したまま債務を増やし続け、そのツケをすべて国民に押し付けてきました。消費が上向くはずがありません。
 失政の根底には、誤った経済認識が横たわっています。政府は、長い間「成長と分配の好循環」をつくり出すといい続けてきました。その上で、まずは成長だとしています。しかし、そもそも成長と分配は別のことです。成長したからといって、分配が増えるわけではありません。
 また、政府のいう成長とは大企業の利益増大の言い換えにすぎません。しかし、大企業の利益が増えても国民への分配が増えるわけではありません。実際に、世界で唯一、大企業の利益にこだわり、そのための施策を繰り返し、大企業への富の偏在を促し分配構造をゆがめてきたのは、政府自身であることを忘れてはならないのです。
 結局、このようなでたらめな認識と施策が、今日の日本経済をつくり出してきました。つまり、日本経済の停滞は明らかに人災だということです。いずれにしても、国民生活に背を向け、的外れのスローガンを掲げ、国民に負担を押し付ける政府に、経済停滞からの脱出を期待することはできません。さらに、日本経済はこれからトランプ政権の厳しい洗礼を受けることになります。