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「適用除外」広げ、労働法制を骨抜きに(「デロゲーション」とは?)
2024年9月29日
【赤旗日曜版】9月29日 「適用除外」広げ、労働法制を骨抜きに(「デロゲーション」とは?)
 経団連は「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」(1月)を出しました。労働基準法について「画一的な規制で、多様な働き方の実現が難しい」「労働法全般が詳細・複雑化しており、労使双方が正しく理解し活用することの妨げ」だと批判。「法制度はシンプルに」、規制の細部は「職場実態をよく知る労使」に委ね「労働時間規制のデロゲーションの範囲を拡大」すう制度見直しを求めています。
 「デロゲーション」とは「原則の逸脱、適用除外、例外の容認という意味です。経団連は「労使の合意により、労働(時間)法制の原則的規制を適用除外し例外を認める仕組みを拡大せよ」と求めているわけです。
 現行法にもデロゲーションはあります。例えば1日8時間•週40時間の原則に対し、労使協定(36協定)を結べば時間外・休日労働が可能となるほか、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)も例外規定です。
 ただし、乱用を防ぐため対象業務•職種を限定したり、現場の働き方の実態をふまえた協定となるよう、事業場ごとの労使協定の締結や所管の労働基準監督署への届け出などの手続きを設けたりしています。協定を結ぶ労働者の代表を、現行法は従業員の過半数を組織する労働組合か過半数代表者に限っています。 
 経団連の狙いは、使用者の思い通りに適用除外を広げ、労基法を解体することです。
 現場の実態をふまえ事業場ごとに規制、労使協定締結を行ういまの仕組みを壊し、本社主導に変えることが一つです。さらに、労働者合意をとりつけるための新組織「労使協創協議制」の創設、社員親睦会の合意への法的効力の付与を求めています。親睦会の合意は使用者側の意に沿うものとの批判があり、現行法では無効です。
 デロゲーションの拡大による労働基準の多様化•柔軟化は、憲法27条2項(勤務条件法定主義)にも、労基法(特に1条2項=労働関係当事者による労働条件の改善努力)にも反しています。労基法は守るべき最低基準であり、下回ることは原則として許されません。労使は労働基準を上回る労働条件への向上に努力するものとされ、そこにこそ、労使自治の本来の意義があります。
 労働条件が低すぎることが日本経済の後退の原因であることを経団連は直視し、規制緩和方針を撤回するべきです。今必要なのは労基法の厳格な運用、安易な例外規定の撤廃と労働時間の原則の強化(1日7時間•週35時間の法定化)、法の適用対象の拡大(フリーランスの乱用規制)、法の履行確保のための労働基準行政の充実です。 
 日本政府は労働時間に関するILO (国際労働機関)条約を批准できていません。過労死の根絶、ジェンダー平等、少子化対策の視点からも、労働時間の規制を強め、男女ともに自由時間や子育て、介護の時間を確保できるようにすることが求められています。 
   伊藤圭一(いとう・けいいち全国労働組合総連合事務局)