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強まる株主資本主義―株価の大暴落の背景(「赤旗」8月7日)
2024年8月11日
【赤旗】8月7日 強まる株主資本主義‐役員に株式報酬・株価優先へ誘導
 日経平均株価の大暴落は、株主の利益を最優先にする株主資本主義の危うさをまざまざと示しました。近年、日本の大企業は株主資本主義への傾斜を深めてきました。急増した2023年度の役員報酬にもそうした傾向が表れています。(佐久間亮、杉本恒如)

 日本の上場企業は23年度に約58兆円の当期純利益をあげ、20兆円を株主配当に回しました。そのうえ、過去1年間(昨年8月~今年7月)に約14兆円もの自社株買い(市場から自社株を買い上げて株価をつりあげる行為)の取得枠設定を取締役会で議決し、株主還元を強めています。
 同時に、23年度に1億円以上の報酬を得た上場企業の役員は少なくとも501社1106人にのぼりました(各社の有価証券報告書から日本共産党政策委員会が集計)。前年度比112人も増え、初めて1000人を超えました。(グラフ1)
 ◆労働者犠牲でも
 他方、報酬1億円以上の役員がいた上場企業の従業員1人あたり平均賃金は2・2%増にとどまり、物価の伸び(3・5%)を差し引いた実質ではマイナスでした。名目で平均賃金が下がった企業も146社ありました。
 役員報酬トップ10位の役員がいる企業をみると、賃上げ率は1・5%以下に低迷し、5社の名目賃金はマイナスになっていました。トップ10人の役員報酬は各社の平均賃金の107倍から254倍に達します。
 労働者を犠牲にしても目先の利益をあげて株主に還元すれば役員が評価されるという、株主資本主義の強まりを示しています。
 役員報酬は①固定報酬②業績連動現金報酬③業績連動株式報酬―などに分かれます。その中で特に増加傾向にあるのが株式報酬です。23年度に報酬1億円以上の役員の人数が多かった上位12社の役員報酬は、22年度の約1・4倍に増加。そのうち株式報酬は1・9倍に増えました。(表2)
 自己資本利益率(ROE〕などの業績に連動して自社株や自社株購入権を支給するのが株式報酬です。役員への株式報酬を導入した企業の割合自体が17年の41%から23年の76・8%へ急増しています。(グラフ2) 
 トヨタ自動車は19年6月の株主総会で株式報酬を導入し、現金報酬枠を年30億円以内、株式報酬枠を年40億円以内と定めました。同社の豊田章男会長は23年度に16億2200万円(22年度比6億2300万円増)の報酬を受け取り、そのうち株式報酬が10億900万円(同2億7400万円増)を占めました。
 ◆止まらぬ悪循環
 株式報酬導入の主な目的は「株主と同じ目線に立った経営の推進を動機付ける」(トヨタの有価証券報告書)ことです。自社株を大量に保有させれば、役員が株価優先の経営(人件費や税負担の削減・配当増額・自社株買いなど)を志向するようになり、株主がもうかるという思惑です。
 株主資本主義の強まりによって株式報酬を導入する企業が増え、株式報酬の増加によって株主資本主義に拍車がかかる、という悪循環が進んでいます。
グラフ1
グラフ2


 □暗躍する機関投資家(別掲カコミ記事)
 株主最優先の株主資本主義の台頭は、巨額の資金を株式市場で運用し、経営者の生殺与奪権を握ることで企業経営を株主還元の極大化へと駆り立てる機関投資家の暗躍抜きに語れません。
 機関投資家が経営者に求めるのが自己資本利益率(ROE)の向上です。ROEは企業の当期純利益を純資産で割ることで求められ、当期純利益の増減に比例する一方、純資産の増減には反比例します。つまり不測の事態に備えて企業か『純資産を増やすと下がり、配当金を増やして純資産を削減すると上がります。機関投資家はROEが高いほど企業経営が効率的だといいますが、これは▽労働者からの搾取強化などによる当期純利益増大▽配当金増額などによる純資産減少一へ企業経営を誘導し、労働者の汗の結晶である剰余価値を自らが吸い上げるねらいです。
 日本企業のなかで最大の機関投資家・三菱UFJアセットマネジメント(運用資産額30兆円以上)の「議決権行使の方針」は、3期連続でROEが5%を下回った企業について株主総会で取締役選任に反対する可能性があると警告。さらに昨年10月の方針改定では、過去3年のROE平均が5%未満の企業は株主配当が少なすぎる可能性があると注文をつける記述を盛り込みました。多くの機関投資家が同様の議決権行使方針を公表し、ROF上昇へ圧力をかlナています。
 機関投資家の身勝手さを示す事例のーつがベルトコンベヤー大手のNCホールディングスの23年の株主総会です。英国系ファンドがNC社の純資産は過大だとして配当金の大幅増額を主張しました。NC社が反発し、労組も「十数年来ベースアップは見送られている」「雇用基盤を揺るがす」と反対するなか、多くの機関投資家が株主総会で配当金増額に賛成。l株当たりの配当金は15円から65円に引き上げられ、同社の配当金総額は当期純利益の20倍に達しました。