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再エネ導入で開発―地域との共生住民合意は不可欠
2024年6月30日
【赤旗日曜版】6月30日<経済「これって何」再エネ導入で開発トラブル―地域との共生住民合意は不可欠
 
 再生可能エネル剖入をめぐり、調査した町村の4割以上でトラブルが発生し、約2割で解決の問題があるという深刻な実態が、総務省の調査(3月公表)で明らかになりました。
 林野庁の調査では、太陽光発電設備に関わる林地開発許可件数は2012年度以降22年度までに、累計1916件、開発面積は約1万7千㌶にもも及びます。
 再エネの固定価格買い取り制度(FIT)の創設(12年7月)以降、設置地域外の外資も含む大手事業者が、もうけ最優先で地元に十分な説明も行わず大規模開発を伴う事業を強行。安全面、防災面、環境への影響など地域の懸念が高まっていました。
 各地の取り組み、地方議会、国会論戦をうけ、22年4月、関係省庁(経産、農水、国交、環境)が共同で検討会を立ち上げ(総務省オブザーバー)、10月に提言を公表。関係の制度改正を行うことが決まりました。再エネ特措法(FIT)の省令改正(23年10月)では、FIT申請の前に林地開発や砂防法、地すべり等防止法、急傾斜地崩壊による災害防止法、宅地造成及び特定盛土等規制法にかかる許可を取得する事を要件としました。
 また、太陽光発電設備の設置を目的とした土地の形質変更を行う場合、都道府県知事の許可が必要な森林開発の面積を1㌶超から0・5㌶超に引き下げました。
 日本共産党の岩渕友参院議員は経済産業委員会(3月)で、「無許可での林地開発がこれだけある(22年度は17件、16年度は35件)のは深刻」、「住民合意をFIT認定の要件として義務化すべきだ」と追及。斎藤健経産相は「再エネ導入に当たり、地域とのコミュニケーションの中で適切かつ十分な説明を尽くして、地域との共生を図りながら進めていくことは重要」とし、改正再エネ特再エネ導入で開発トラブル2024年6月30日号措法(今年4月施行)で、FIT認定の際に周辺地域の住民向け説明会開催を認定要件としたと答弁しました。
 総務省の調査によれば、条例で住民説明を義務化している市町村からは、住民説明の未実施や設備設置後のトラブル等は少ないとの認識が示されました。
 改正再エネ特措法で、一定の効果が出ているのが、違法事業者への再エネ交付金の一時停止措置です。経産省は今年4月、森林法違反が明らかな9件に対し、この措置を実施しました。
 再エネは本来、その地域固有の資源であり、地域住民の利益につながるべきものです。協議会や適地の区分のあり方などの課題は残されていますが、地域に貢献する地域共生型の再エネ推進を目的とした農山漁村再エネ法に基づく事業や地域脱炭素化促進事業も進められています。
 気候危機が深刻化しているもとで、地域と共生しない再エネ事業を許さない実効ある規制強化、整備を行うとともに、真に地域のためになる再エネ導入を促進する予算、施策の大幅拡充が求められています。
               安部由美子(あベ・ゆみこ日本共産党国会議員団事務局)
日曜版6月30日